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サスティナビリティ

連載 | NEXTSTAGE まちのプロデューサーズ2.0

誰かにとって助けとなる、もうひとつの居場所づくり。

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目次

オンライン・オフラインに関係なく、誰しもが「ここに居てもいい」という場所が生まれています。

お話を聞いた人

家入一真さん 『CAMPFIRE』代表取締役社長

横尾 今回お話を伺うのは、連続起業家の家入一真さんです。家入さんは、クラウドファンディングサービス『CAMPFIRE』をはじめとする、多くのインターネットのプラットフォームやサービスを運営するほか、
"現代の駆け込み寺"シェアハウス「リバ邸」などを通して、生きづらさを抱える人の居場所づくりに取り組んでいます。あらゆる活動の根幹に「居場所づくり」というキーワードがあると思うのですが、どのような背景でしょうか。

家入 中学2年生でいじめを受けて学校に行けなくなった時、親に「申し訳ない」と思い、家にすら居場所がなく、「人生終わった」と思い込んでいました。インターネットと出合う前は、自分以外にそういう境遇にある子がいるなんて思いもしませんでしたし、想像もできず、中学校で落ちこぼれて家に引き籠もっているのは世界中で自分だけなんじゃないかって思っていましたね。

 そんな中、高校1年生のときに、親にPCを買ってもらいました。一日中知らない人とインターネット通信をしている時に初めて、「自分はここにいてもいいんだな」と思えたんですよね。2014年の都知事選挙に立候補した時も、「リバ邸」をつくった時も、どうしたらみんなが落ち着ける場所をつくることができるかを考えていました。

横尾 「リバ邸」の利用者はどのような人が多いですか。

家入 本当にいろんな人がいるんですよ。新卒で会社に入ったけどいろんな理由で行けなくなってしまった人など。自分の居場所が家か会社しかなかったら、どちらもダメになってしまった時、どうしようもないじゃないですか。そんな時に"駆け込み寺"として、安心できる場所として使ってもらえたらいいなと思いますね。挑戦したけれど失敗した、そんな時に帰ってこられる場所があれば、もっとみんなが挑戦できるんじゃないかと思っています。

横尾 最近では、10代から20代前半の若者だけを対象にした起業やプロジェクトなどを支援する場「やさしいかくめいラボ」をつくって話題になっていらっしゃいましたが、設立の背景について教えてください。

家入 自分がインターネットに救われたように、インターネットはもっと多くの人たちの支えになると思っています。ただ、今のSNSを見ていると、自分の考えを述べたり、主張したりするのが難しくなっていると感じます。発言すればすぐに外から石が飛んでくる。すると、発信することに対して萎縮してしまうと思うんですよ。特に宗教とか哲学とかについては、発言できる場所がなかなかこの世の中にありません。自分が置かれている状況が苦しい人もいれば、誇りに思っている人もいる。分かり合うことができる人が集う少しクローズドな空間で、自由に発言できる場所をつくることができたらと思いました。

横尾 今後、ラボをどのようにしていきたいと思っていますか。

家入 今年中に、起業やNPO設立、個人プロジェクトなどあらゆる形で声を上げて活動していく人を、このコミュニティから100人創出していきたいと思っています。国や性別、肌の色、言語を超えてつながれるこの時代にこそ、オフラインのコミュニティで安心してつながることができる場所をつくっていきたいですね。

取材後記

 家入さんと初めて出会ったのは、家入さんが東京都知事選挙の候補者として活動されている時でした。当時、私はたまたま候補者を集めた討論会の司会を務めており、インターネットを駆使した参加型のまちづくりのビジョンと施策のアイディアに、大きな刺激を受けたのを覚えています。その時から変わらず、まっすぐに「居場所づくり」を追求されていること、またそのためのプロダクトを次々とつくられていることに敬意を表します。今は若者の人材育成にも力を注いでいらっしゃる家入さん。ここから、さらに将来を担う若者が巣立ち、誰もがやさしく、相手を思いやる社会がつくられていくのを心待ちにしています。またさまざまな企画でご一緒できるのを楽しみにしています。 (横尾)

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