地域の温かなつながりから、多様な人たちの雇用をつくる。

連載 | NEXTSTAGE まちのプロデューサーズ2.0 | 35 地域の温かなつながりから、多様な人たちの雇用をつくる。

スポーツトレーナーとして育んだつながりを生かして、障がい者雇用の新たなあり方を模索し、形にしています!


お話を聞いた人


中村宣明 『太陽住建』社員


横尾 今回お話を伺うのは、住宅リフォームや太陽光パネル設置などを主な事業とし、「横浜型地域貢献企業」にも認定されている『太陽住建』で働く中村宣明さんです。『太陽住建』は、社会福祉法人などが持つ建物の屋上を借りて太陽光パネルを設置し、その際、賃料代わりに屋根の防水工事を格安で請け負うという独特のビジネスモデルがあります。作業の一部は障がい者支援施設に依頼し、障がい者らの就労支援にもなっています。中村さんはどのようなきっかけでこの事業に関わることになったんですか?


中村 実は私、もともとスポーツトレーナーだったんです。フィットネスクラブやリハビリ施設などに勤めて運動指導を行ったり、ご縁をいただき、地元で発達障がい児のトレーニングに携わったりしていました。弊社の社長とは、たまたま地域の集まりで会って意気投合し、グリーンバード横浜南チームを立ち上げる際にはサブリーダーを務めさせていただくことになりました。パーソナルトレーナーとして独立しようと考えていた矢先、妻が重い病気に。先が見えない段階で独立するより、就職して安定したいと思い、社長に直談判して会社に入れてもらいました。


横尾 地域のつながりから、思わぬ形でキャリアチェンジをされたんですね。仕事内容が大きく変わることに不安はなかったんでしょうか?


中村 会社がやろうとしていた障がい者の就労支援に、トレーナーとしての経験が役立つと思いました。会長からも、「これまで地域でつくってきたつながりを活かし、事業を一緒につくってほしい」と言われました。今では、太陽光パネルが設置できそうな施設を障がい者の方々にGoogle Earthで探してもらい、その後、平均年齢75歳のシニアスタッフがアポを取るという仕事の流れが確立しました。


横尾 仕事のやりがいはどんなところにありますか?


中村 障がい者の自立支援に少しでも貢献できていると感じられるところです。彼らの就労といえば、これまでクッキーをつくったり裁縫をしたりと、建物の中での作業が中心でした。そんななか、外でのパネル設置などの作業は、本当に生き生きとした顔でやってくれています。さらにシニアスタッフとの交流は、双方にとって新鮮で楽しいようです。


 また、自分が運動指導をしていた子どもたちが18歳になり、世に出ていかなければならなくなった時、彼らに十分な賃金が払われ、自立できるような環境をつくっておきたいとも思っています。そのために他の企業にも呼びかけ、新しい障がい者雇用のあり方を模索していきたいです。


横尾 行政との連携も大事なポイントになってきそうですね。


中村 地域と行政、それに民間がもっと連携していくべきだと思います。最近では、グリーンバードの活動に地域の小学校やキッズクラブの子どもたちのほかに、役所からの紹介で、生活保護を受けていた人やひきこもりだった人にも参加していただき、社会復帰の第一歩として役立ててもらえるようになりました。特別養護学校の先生が生徒さんたちを連れて来てくれたりもしていて、さまざまな人々の交流の場所になっています。そうした地域のつながりから、自然と仲間同士の助け合いや雇用が生まれるのが理想だと思います。


取材後記


 「地域で活動したことでさまざまなご縁をもらい、おかげさまで今、やりがいのある仕事に就くことができている」と語る中村さん。大切にしているのは、「ゆるいつながり」だそうです。ごみ拾いの活動などでなんとなくご近所さんとつながって、たまに顔を合わせる。無理なく交わって、困った時には助け合う。ゆるいつながりを広げる分だけ新しい出会いがあるし、人と人がつながる場をつくれば、自分が直接関わらなくても自然と交流していく。そしていつか自分にも返ってくる。中村さんの周りには、素敵な生態系ができていて、地域の関係性や雇用のこれからのあり方を見た気がしました。グリーンバード横浜南チームに気軽に参加し、ぜひ「ゆるいつながり」を味わってみてください!(横尾)