“タイヤ公園向かいのシーサーが目印の一軒家”
ローカルの人に説明するとこう表現される「はるさーカレー南国屋」は、京王線つつじヶ丘駅と柴崎駅の中間、最寄りの柴崎駅は各停しか停車せず駅からの目印などもない、ローカルの人でもちょっと行きにくい、分かりにくい場所にある。
出産を機に環境のよいところで子育てしたいと公園に面した住宅に引っ越した沖縄県石垣島出身の店主が、近隣に飲食店がないこの地域に、公園に遊びにきた親子連れも利用しやすいお店を開きたいと、自宅を改装して旦那さんと共に2020年9月にオープンした。
スパイスへのこだわり
飲食店の経営や調理の経験がある旦那さんは子どもの頃から料理をするのが好きで、父の仕事の関係で家にあったさまざまなスパイスを調合してよくカレーを作っていたという。夫婦ともに好きなカレーは子どもも食べやすいとカレー店にすることを決め、スパイスカレーを看板メニューとする店としてオープンした。
オープンするにあたり、高品質で香りのよい産地のスパイスや故郷石垣島の島コショウなどを取り寄せ、各スパイスの量や熱を入れるタイミングなど試作を繰り返し、厳選した約20種類ものスパイスを使用した完全オリジナルのカレーが完成した。その後もよりおいしく食べてもらえるよう、少しずつスパイスを入れ替え継ぎ足しているという。
「農家」のカレー
「はるさー」は漢字で「畑人」と書き、沖縄の方言で「農家」を意味する。野菜をふんだんに使うのも「はるさーカレー南国屋」の特徴で、使用する野菜は地産地消をモットーに主に地元調布の農家の採れたてを使用している。
看板メニューの「畑人(はるさー)カレー」には、季節や日によって内容が変わる色とりどりの見た目も華やかな野菜を10種類程度トッピング。それぞれの野菜の味をしっかりと味わうことができる。
「チキン畑人(はるさー)カレー」には、これまた試作を繰り返してできあがった柔らかいタンドリーチキンもトッピングし、ボリュームも満点。
キッズ用は「畑人カレー」とは全く別物で、スパイスを抑えたくさんの野菜を煮込んだ「キッズカレー」を用意する。
旅気分も味わえる
カレーに合わせる米は、インドの高級長粒米バスマティライスとオーストラリアの短粒米をブレンドしてカレーにぴったり、南国感もアップ。
玄関にシーサー、植栽にバナナの木やソテツ、店内に石垣島の貝殻や三線(さんしん)、スタッフはアロハシャツやかりゆしと南国感たっぷり。
「オリオンビール」や「ブルーシールアイス」など沖縄ならではのメニューもあり、ちょっとした南国旅気分も味わうことができる。
テークアウトして公園で食べる時用に簡易型の折りたたみテーブルと椅子も貸し出し、おむつ換え台も用意して、これもまたほんのちょっとの旅気分。
ローカルな立地のイメージとは異なる本格的なスパイスカレー。地域密着店でありカレーマニアも楽しめる店。季節ごとに訪れたい、地元民のみならずわざわざ足を運ぶ価値ある店だと思う。