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福島県南相馬市小高区で自分らしく働き、暮らす人たちが続々と生まれています!

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人口3813人(2021年11月現在の居住人口)が住む小さな地域自治区・福島県南相馬市小高区。このまちで明るい変化を起こしている新しい動きを紹介します。

 福島県南相馬市小高区は、2006年に小高町・鹿島町・原町市が合併し、南相馬市となったことをきっかけに生まれた地域自治区だ。福島第一原子力発電所で発生した事故によって区内全域が避難指示区域に指定されていたが、16年に避難指示が解除、20年にはJR常磐線が全線開通し、静かだったまちは少しずつ前の姿を取り戻しながら、新しい変化も見せている。
この「変化」は、地域で長年営んできた『双葉屋旅館』などの店舗や企業の営業再開はもちろん、スモールビジネスをいくつも創出している、『Next Commons Lab南相馬(起業型地域おこし協力隊)』や『小高ワーカーズベース』などの存在も大きい。さらには、Uターンだけでなく小高に縁のなかった30代の移住者がカフェをオープン。ここ数年だけでも、着実に地域に新しい風を送る場所と人が増えている。生き生きとこのまちで働き、暮らす人たちの姿から「小高のいま」を感じとることができるはずだ。

移住定住事業にも取り組む、地域を支えるタクシー会社。

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『富士タクシー』専務取締役・小林隼人さん(左)、社員・菅原元輝さん(右)。
 小高で創業して約50年。バスの路線が通っていないこの地域で、貴重な交通手段として住民から厚い信頼を得ている『富士タクシー』。三代目として専務取締役を務める小林隼人さんは、時代の変化と地域の人たちのニーズに合わせて既存のタクシー業務の枠を超えた取り組みを行っている。2020年から新たに始めたのが、移住を検討している人に小高のまちなかを案内する「移住定住事業」だ。事前に行きたい場所などを移住検討者にヒアリングし、それをもとにドライバーがプランを考え、実行する。地域の足として日々を支えている『富士タクシー』だからこそできることだ。

新潟県から21年に移住し、この事業を任された菅原元輝さんは、「毎日が楽しいです。今後は介護職だった前職の経験も生かしていきたいです」と明るく語る。小林さんがこの事業を通じて目指すのは「地域のつなぎ役」だ。「僕らの仕事は点と点を結ぶこと。場所だけでなく、人もつなげていきたいと思っています」。

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左/小高と隣接する原町区を結ぶ「乗り合いジャンボタクシー」の時刻表。これも震災後に始めた取り組み。右上/小高駅前で停車中の富士タクシー。右下/ずらりと並ぶ通常のタクシーとジャンボタクシー。

小高産の花を通して、まちの魅力も伝える。

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『hinataba』菊地直樹さん・沙奈さん。
 小高で花の栽培と販売を行う『hinataba』の菊地直樹さんと妻の沙奈さんは、花の生産に適した場所を求めて2020年にこの地へやってきた。年間で15種類以上の品種を育てる15棟のビニールハウスと、『hinataba』の実店舗があるのは、小高の中でも山側にある自然豊かなエリア。花の9割は東京の市場に出しているが、不定期で店とオンラインショップでも販売している。今後はさらに直接お客様とコミュニケーションがとれる機会を増やす予定だという。

「摘みたての花を販売できるので鮮度がよく、長持ちするので地元のお客様にもとても喜ばれています。最近は口コミで来てくれるお客様も増えています」と直樹さん。沙奈さんは「小高の人は最初から私たちを応援してくれました。だからその気持ちに応えたい。暮らし始めてこのまちのことを、もっといろんな人に知ってもらいたいと思うようになりました」と気持ちの変化を話す。小高に咲いたhinatabaという花は、これからも人々に幸せを与えるだろう。

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左/昨年のクリスマス用に作製したスワッグ。右上/ロゴには、看板商品のカスミソウがデザインされている。右下/元・直売所だった『hinataba』の実店舗。

職人としての技術を磨く、小高での充実した日々。

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『小高ワーカーズベース アトリエiriser』ランプワーカー・髙木香織さん(左)、清田翔衣さん(右)。
「小高らしいガラスブランドを作りたい」という思いから、2019年に生まれたハンドメイドガラスブランドがある。それが「iriser-イリゼ-」だ。『小高ワーカーズベース』が運営する『アトリエiriser(HARIOランプワークファクトリー小高)』で働くランプワーカー(ガラス職人)が手掛けている。アクセサリーの大きな特徴は、コンセプト設計からデザインまですべて自分たちで行っている点だ。

21年4月に新潟県から移住したランプワーカーの清田翔衣さんと、同年6月に愛知県から移住した髙木香織さんはガラスの専門学校の同級生で、先に働き始めた清田さんが高木さんに声をかけたのだそう。「小高のことは移住するまで知らなかったのですが、職場もまちの人もみんなやさしい。だから私もやさしい気持ちになれます」と清田さん。「私も地域の方に親切にしてもらいすぐに馴染めました。温かいまちだなって実感しています」と、髙木さんもうなずく。二人の小高での暮らしはガラスのように、キラキラと輝いている。

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左/「HARIOランプワークファクトリー小高』の看板が工房の目印。右上/「前途洋々」の花言葉を持つミズアオイをモチーフにしたiriserのピアス。右下/作業するランプワーカーたち。
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小高区を流れる小川沿いには、約300本の桜の木が並ぶ。(写真提供:富士タクシー)
photographs by Mao Yamamoto  text by Ikumi Tsubone
記事は雑誌ソトコト2022年3月号の内容を本ウェブサイト用に調整したものです。記載されている内容は発刊当時の情報であり、本日時点での状況と異なる可能性があります。あらかじめご了承ください。

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