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連載 | 田舎と田舎の二拠点生活

娘の成長度合いに応じて変わる移動方法

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多拠点生活において、「交通費」は大きな課題になる。私たちの場合、私と娘の二人で移動しており、これまでは娘の料金がかからない条件内で公共交通機関を利用してきたため、私一人分の料金しか発生しなかった。しかし、ついに「子ども料金」がかかる日がやってきた。

いち早くやってくる「指定席」の子ども料金。

皮肉にも、おおよそ額の高い公共交通機関から子ども料金がかかる。0歳児でも、飛行機や新幹線や特急などで指定席を利用する場合は子ども料金が必要だ。ただし同伴者の膝上に座らせるのであれば、年齢と手段に応じて子ども分が無料になる。国内線の『ANA』や『JAL』なら3歳未満、LCCなら2歳未満、新幹線や特急の指定席を6歳未満を膝上に座らせるのであれば無料だ。さらに、新幹線などでも自由席に6歳未満を座らせるなら無料である。

今の私と娘にとって、ちょうどいい移動手段は?

一人で移動する場合は新幹線の自由席でもよかったが、乳幼児連れで座れなかったら地獄。立って抱っこし続けるのもしんどいし、親の数倍ある乳幼児の荷物を置くためにも指定席を取ってきた。しかし、もう3歳にもなればそれなりに体が大きい。制しても元気一杯動く娘を膝の上に座らせていると、両サイドの席から苦痛の念がビシビシ伝わってきて、強烈に気まずい時間を過ごすことになった。決定的なこととして、隣の人が「グリーン車両でもいいから、快適な席にしてほしい」と、駅員さんにお願いし、席を移したのだ。もう懺悔の気持ちでいっぱいになり、今後は2人掛け指定席を2席取ると決意した。

なお、移動としては、「車」という選択肢もある。ただし、船に車を載せるのは7500円〜9000円と高額で、公共交通機関を使ったほうが安かったこともあって使ってこなかった。しかし、新幹線の子ども料金を足せば、車で移動しようと、公共交通機関で移動しようと、費用はほぼ同じ。ちなみに時間もほぼ同じ。「それならば」と、感染予防対策にもなる「車移動」を始めた。しかし、後部座席から娘が「抱っこ! もう降りる! 遊んで! DVD観ない! 電車やバスや新幹線に乗りたい!」と、ずっと喚く喚く……。わ……わかりました。やっぱり公共交通機関を使いますよ……。

まあ結局、私が移動手段を決める最強の決定打は「娘がなるべく人に迷惑をかけることなく楽しく移動してくれるか」であり、密かに使う船や新幹線の座席、遊ぶ内容など、マイナーチェンジも行っている。成長度合いに応じて今後はどんなふうに変わっていくのか、不安もありつつ楽しみだ。

 (80711)

ある日の夫婦
夫はクリスマスや正月などを祝う習慣も意欲もないので、「今年は正月を幡豆で迎えたから、来年は小豆島にしようか」と、過ごす場所を自由に選ぶことができている。小豆島の家族も、「お嫁にいった人と正月を迎えられるなんて」とうれしそう。夫も独身貴族のように自由に楽しんでいる。柔軟性のある家族でよかった。
黒島慶子(くろしま・けいこ)●醤油とオリーブオイルのソムリエ&Webとグラフィックのデザイナー。小豆島の醤油のまちに生まれ、蔵人たちと共に育つ。20歳のときから小豆島を拠点に全国の蔵人を訪ね続けては、さまざまな人やコトを結びつけ続ける。2017年7月に、愛知県の幡豆で無農薬で大豆と米を育て、米・豆・麦の麹を造る『宮本農園・みやもと糀店』の宮本貴史と結婚し、2018年7月に娘を出産。高橋万太郎との共著『醤油本』を出版。
記事は雑誌ソトコト2022年3月号の内容を本ウェブサイト用に調整したものです。記載されている内容は発刊当時の情報であり、本日時点での状況と異なる可能性があります。あらかじめご了承ください。

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