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【自転車旅入門1-1:予行演習】神奈川県・久里浜港~南伊豆町で自転車キャンプ旅の練習

鍋田ゆかり

鍋田ゆかり

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初心者サイクリストが、借りものロードバイクで初めてのチャリキャンプ旅に出発。夏に1カ月以上の自転車旅を予定しているので、練習を兼ねて千葉の金谷から南伊豆の下賀茂まで片道3泊4日の旅程だ。帰りのことは、無事たどり着いてからそのときの状況で決める。無事下賀茂にゴールして無事千葉に帰ってくることを目標に掲げた。自転車100%の旅にこだわらず、臨機応変に自転車を袋に入れて公共交通機関を利用する、輪行を取り入れながら旅を楽しむことも。生まれてはじめての、自転車とキャンプの一人旅が今始まる。

<今回の自転車旅のルート>
久里浜港⇒熱海銀座A邸⇒河津町「大池キャンプ場」⇒下賀茂・南伊豆A邸

<今回の旅の目的3つ>
1. 本番の自転車旅に向けて、装備の確認
2. 電車での輪行練習と、自転車でのフェリー乗船
3.体力と走行距離の確認

<自転車旅入門のパートナーはこの子>

真っ赤なロードバイク

真っ赤なロードバイク

真っ赤なロードバイクにフロントバッグとパニアバッグを付け、パニアバッグの上にリュックを乗せている。
今回の旅で使用する自転車は「アウトドアショップZEN」が貸してくれた真っ赤なロードバイク。My自転車は、2023年3月納期のため、購入したショップのオーナーのご厚意でレンタルしたものだ。
目次

初日の走行ルートは久里浜港~熱海銀座A邸(89.8 km)

東京湾フェリー 自転車

東京湾フェリー 自転車

旅のスタート地点を目指し、まずは千葉県富津市・金谷港から東京湾フェリーで神奈川県横須賀市・久里浜港へ。写真は久里浜港。
いよいよ、はじめての自転車旅がスタート。
この日久里浜港から目指すのは、今日滞在予定の「ADDress」物件、熱海銀座A邸だ。

「ADDress」というのは、「定額で全国どこでも住み放題」を提供している多拠点生活プラットフォームのこと。私は家守(物件を管理する人)をやっているので、その特典が使え、勝手知ったる仕組みということもあって初日の目的地とした。

<初心者サイクリストが、1日で走れる距離はどれくらいか?>

久里浜から熱海銀座A邸までは89.8km。Googleマップで経路検索すると、所要時間は5時間42分。自転車初心者の私にとっては心配な距離だが、とりあえず、目標走行時間は8時間に設定した。

今回の旅の相棒(自転車)を貸してくれたショップのオーナーからは「初心者にはキツい距離かも……」と言われ、私も「自信ないかも……」と思いつつ、その時は小田原あたりからの輪行も視野に入れて決行することにした。自転車を持って公共交通を利用する予行練習にもなりそうだ。

ちなみに、自転車で旅をする人は一日に100kmほど走るらしい。もちろん、それ以上の人もそれ以下の人もいて、超初心者サイクリストの私は当然「それ以下」だ。

今日の天気は1時間の降水量最高9㎜、最高風速6m/s……。

自転車 輪行

自転車 輪行

輪行の予行演習もバッチリ!
無事にゴールしたい私は、おとなしく輪行での熱海行きを選んだのだった。

2日目は熱海銀座~河津町「大池キャンプ場」まで(62.2 km)

2日目。今日はキャンプ場を目指して62.2キロのチャリ旅だ。今日を乗り越えれば、明日は今日より短いから何とかなる。決戦の日は今日だ!

10時に熱海銀座A邸を出発。

<トイレ休憩・ランチ休憩は道の駅。携帯できる甘味があると便利>

ひたすら海沿いの道を進み、途中右折してキャンプ場へとたどり着く予定。天気は曇り、サイクリング日和だ。海沿いの公園や道の駅があると率先してトイレ休憩やランチ休憩を取る。坂が続くともうヘロヘロで、安全な場所で水分補給と小休憩。エネルギーチャージは、ようかんだ。疲れたときは甘い物に限る。
道の駅伊東マリンタウン

道の駅伊東マリンタウン

「道の駅伊東マリンタウン」で食べた伊東市民のソウルフード「ぎおんのいなり寿司」と、まる天の紅ショウガ入りの磯揚げ。

<初心者の例に漏れず、道に迷う。ちゅうちょせず人に聞くべし>

途中、海を眺めながら快調に坂道を下っていい気持ちだったのも束の間。行きついたT字路に表示されていたのは、右に行っても左に行っても行き止まりという表示。ひたすら海沿いを真っすぐきたのになぜ? 理解できず港にいた人に声をかけ、河津町に行く道を尋ねてみた。すると遠くを指さし、

「あの道を上にあがって行かなきゃだめだよ。ほら、今白い車が行った道」

結局のところ、気持ちよく下ってきた今の道を戻らなくてはいけないのだ。しかたなく自転車をこぎ始めると、さっき声をかけたジョギング中の人がこちらに向かって走ってきた。なんだか恥ずかしいけど、ペコッと頭を下げて挨拶すると

「がんばってくださ~い」

と言ってくれたので元気をもらい

「ありがとう!」

と答えながらペダルをこぐ。そして正しい道に出たと思ったら、かなり急な上り坂。自転車から降りて押して歩いてもヘロヘロだ。がんばって自転車に乗ってこぎ出すが、やっぱり坂がきつくて降りる、また乗ってまた降りる、を繰り返しながらの前進。信号の先が二岐になっているのを見て、近くで信号待ちをしていた車の助手席の人に道を確認。

「ここをずっと真っすぐで大丈夫だよ。どこから来たの? がんばってね!」

と親切に教えてくれて、応援までしてくれた。その後も坂道をぜぇぜぇ言いながら登っていたら、通り過ぎていく車から

「がんばれ~!」

と声が。日本て、なんていい国なのだろう。

自転車 旅 南伊豆

自転車 旅 南伊豆

熱海出発から約6時間後、無事、河津町入り!

<続・道に迷う。人の厚意が身に染みる>

再び、何かおかしい。予感が確信に変わったのは、河津駅右折の看板を見たときだ。目指すキャンプ場は駅よりももっと手前で右折するはず。もうすぐ17時。陽のあるうちに到着してテントを張りたいけど……。道路で工事をしている人たちがいたので、道を聞こうと声をかけたそのとき、携帯が鳴った。大池キャンプ場からだ。

大池キャンプ場「今どこにいますか?」

「それが、河津駅右折の看板まで来てしまって。これって行き過ぎですよね?」

大池キャンプ場「あ~、行き過ぎだね。分かった。じゃあ駅で待ってて。迎えに行くから!」

17時に駅に着いて待っていると、軽トラで来てくれた大池キャンプ場の山本オーナー。お陰様で17時半にキャンプ場に到着し、陽のあるうちにテントを張ることができた。

河津町 大池キャンプ場 自転車 旅

河津町 大池キャンプ場 自転車 旅

大池キャンプ場にて。自転車だと1000円で泊まれた。夜は雨。楽しみにしていた星空は、残念ながら見られなかった。
次のページでは『3日目は、河津町~道の駅「下賀茂温泉湯の花」(約32km)』を紹介する

3日目は、河津町~道の駅「下賀茂温泉湯の花」(約32km)

河津町 大池キャンプ場 自転車 旅

河津町 大池キャンプ場 自転車 旅

さぁ、出発するぞ!
三日目、キャンプ場からADDressの南伊豆A邸までは、32kmほど。前日に60km以上走ったので、その半分と思えば気が楽だ。

<思いがけない偶然や親切を楽しむ >

山本さん「どこまで行くの?」

「道の駅下賀茂温泉湯の花の近くです」

山本さん「軽トラで送ってってあげる」

「!!!!!」

有難すぎて断れず、お言葉に甘えて軽トラに乗り込む。

出発して1時間後の11時30分、道の駅下賀茂温泉湯の花に到着。自転車での移動を思うと、軽トラはワープするように早い。下賀茂は快晴。滞在先は近いので、道の駅でのんびり過ごす。

ADDress 南伊豆A邸の温泉

ADDress 南伊豆A邸の温泉

南伊豆A邸離れにある温泉を独り占め

<「ADDress」利用×自転車旅でもたらされるマジック>

南伊豆A邸の特徴は、90度の源泉が出る立派なお風呂があること。ゆっくり温泉に浸かり、静岡県限定のビールを飲む。そして、この日この場所に滞在していたほかのADDress会員はなんと、以前南房総と小田原で一緒に飲んだことがある会員さんだった! これぞADDressマジック。料理を仕事にしている真理子さんが手早くツマミを用意してくれて、友だちのちひろさんも一緒に3人でかんぱい!
ADDress 南伊豆A邸

ADDress 南伊豆A邸

キンキンに冷えたビールで再会を祝して。

人生初のチャリ&キャンプ旅をしてみて

何かあっても輪行をすれば楽に移動できると思っていたが、予想外に輪行が大変だった。自転車に積んでいる荷物と解体した自転車の大荷物を持って、見知らぬ駅で乗り換えるときなどエレベーターがあればラッキーだが、結局探している余裕もなく階段を使うことになり、かなり体力を消耗。電車に乗っても、できるだけ邪魔にならない場所を探して荷物を置き、その近くでずっと立っているのにも疲れたし、もし輪行中にトイレに行きたくなったら大変だと想像した。

<輪行前にやっておくべきこと>

・自転車を解体する前にトイレへ行く
・後輪を外しやすくするため、停車する前にギアをトップに入れておく
・荷物は自転車意外で運ぶときのことを考えて用意する(パニアバッグに紐を通して肩にかけられるようにするなど)
・余裕があれば、ネットでエレベーターの位置を事前に調べておく
自転車 輪行

自転車 輪行

先頭車両だとスペースを確保しやすかった。

<パンク修理以外に、チェーン周りの修理技術もあるとベスト>

パンク講習は受けていたが、有難いことに今回はパンクすることはなかった。が、チェーンが切れるというハプニングが。人がいるような場所だったので、地元の方たちが近くにあった車の修理屋さんに軽トラで運んでくれたり、16kmほどの場所から「Recycle A Bicycle JAPAN TOK’S HOME下田ベース」の徳田さんが修理のために駆けつけてくれたりした。
Recycle A Bicycle JAPAN TOK'S HOME下田ベース

Recycle A Bicycle JAPAN TOK'S HOME下田ベース

現場近くのコンビニにひと声かけてから、駐車場を借りて出張修理中。
今回はたまたま親切な人たちに助けてもらえたが、やはり自分で修理できるようにしておかなければ。

自転車旅の魅力

自転車にキャンプ道具を積んで走っていると、信号待ちをしているだけで声をかけられて会話が生まれ、応援してもらえた。人との距離がぐっと縮まって、人とのご縁がぐっと広がる。こんなにおもしろくて便利な旅の道具はなかなか無い。自転車キャンプの魅力にどっぷりはまる旅になった。

自転車キャンプ、興味がある人には200%の力を込めてお勧めする。もちろん、無理なく自分のペースで行うのが大事なので、まずは気軽にサイクリングや輪行から挑戦してみるといいだろう。

写真・文:鍋田ゆかり
取材協力:大池キャンプ場、TOK’SHOME下田ベース株式会社アドレスアウトドアショップZEN ※順不同

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