多様な人々が“自分らしく”生きるまち、陸前高田の挑戦。

多様な人々が“自分らしく”生きるまち、陸前高田の挑戦。

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2022.09.13

東北のことを知るきっかけをつくり、東北ファンを増やすための取り組み「Fw:東北 Fan Meeting」(フォワード東北ファンミーティング)では、東北への移住をテーマとしたオンラインイベント「東北暮らし発見塾」を開催しています。2022年度の第2回となる8月9日の「陸前高田校」は、「地域と関わる暮らしの楽しみ方」というテーマで行われました。

だれもが快適に暮らせる、持続可能なまちに。

最初にインプット・トークとして、戸羽太(とばふとし)・陸前高田市長より地域の魅力や取り組みについての紹介がありました。「震災前は外との交流があまり得意ではなかったまちですが、震災を機にさまざまな人と知り合うことができ、生まれ変わりました。外からの声やアイデアも参考に、よいものはどんどん取り入れています。それが継続的な交流につながっていると思います」と戸羽市長。陸前高田市は、交流人口の拡大に向けて、国内外の姉妹都市などとも連携を図っています。

今回の「東北暮らし発見塾(陸前高田校)」は、岩手県陸前高田市からオンライン中継で行われ、19名が参加した。ファシリテーターは『エイチタス』代表の原亮さん(写真右)が務めた。
オンライン会議サービスzoomを使って対話する、戸羽太・陸前高田市長(写真左)と、「ソトコト」編集長の指出一正。

戸羽市長はまた、「真の共生社会を目指して、『ノーマライゼーション』という言葉がいらないまちづくりを進めています」と話します。ノーマライゼーションとは、障害者や高齢者など社会的に弱い立場の人たちも他の人と同じように生活できるようにすること。それが当たり前になり、「ノーマライゼーション」や「バリアフリー」という言葉を意識する必要のないまちをつくろうとしているのです。「震災後、ゼロからまちづくりを行うにあたって、安全・安心をキーワードに、だれもが快適に過ごせるまちにするため、ユニバーサルデザインに配慮しました」と戸羽市長。市内各所で、ハード面・ソフト面でのバリアフリー化を進めています。

これらの取り組みは、持続可能なまちをつくることにつながっています。「高齢化、人口減少、公共交通の脆弱化など、たくさんの社会課題がある地域ですが、逆にそこにチャンスがあります。移住者のみなさんには、それらの課題をソーシャルビジネスで解決してほしいと思っています。古きよきものを大切にしつつ、新しいことにチャレンジする。陸前高田ではそれが可能です」と、戸羽市長は力を込めて話します。

菜の花越しに見える、かさ上げされた陸前高田の市街地。

戸羽市長の話を受け、「ソトコト」編集長の指出一正は「陸前高田市は確実に前に進んでいますね。だれもが幸せに生きる基盤をつくられている。すでに出来上がったものを変えるのは難しいのですが、多様な人を受け入れるまちづくりを設計段階から推進してきたのは陸前高田の強みであり、オリジナリティですね」とコメント。それに対し戸羽市長は「昔アメリカに行ったとき、障害のある人も皆、生き生きとされていて、日本にも障害者の方々が素で生きられるまちが必要だと思いました。それを実現しようと考えたのです」と返しました。

また指出は、市長の話に出てきた「ソーシャルビジネス」に関して、「漁業、農業、林業などの第一次産業は可能性に満ちあふれています。DXや福祉などと掛け合わせることで、伸びていくのでは。陸前高田では、特に漁業に関してのオープンイノベーションが起きている印象があります」と考察。戸羽市長は「特に震災後、第一次産業の重要性を痛感しました。食料問題といった社会課題を解決するという意味でも、第一次産業をきちんと見直さなければいけないと考えています」と話しました。

陸前高田市では、“獲る漁業”ではなく“育てる漁業”に力を入れている。
陸前高田市の「二大七夕」のひとつ、高田町地区の「うごく七夕」。お祭りは準備を通して地域の結束が高まるので、移住者がまちに関わるチャンスだという。

やりたいこと、欲しい暮らしを実現する。

続いて、移住経験者および移住支援者の自己紹介が行われました。福岡県出身の山本健太さんは、震災ボランティアがきっかけで東北へ。「ご縁があり陸前高田に移住し、10年目になります。『ここで歯を食いしばってやっていくしかない』という地元の人の言葉が印象的でした。人口減少のなかに身を置くことで学べるものがあるのではと、移住を決意しました」と振り返ります。

パートナーの山本ひろみさんは長崎県出身。震災時は和歌山県に住んでいましたが、健太さんとの結婚を機に陸前高田へ移住しました。「引きこもりがちな高齢者が外に出るきっかけづくりなど、コミュニティ活動を行っています。子育て世帯の孤立を防ぐための取り組みも、少しずつやっていきたいです」と話します。

フリーランスとして防災伝承事業などに携わる久保玲奈(れいな)さんは、大学時代に月1回のペースで陸前高田に通っていました。卒業後に移住し、1年半ほど建設会社に勤めましたが、周りの期待がプレッシャーとなり、いったん陸前高田を離れます。「ほんとうにやりたいことは何かをじっくり考えたうえで、自分を認めてくれた陸前高田の人たちに恩返しがしたいという気持ちで、陸前高田に戻りました」。

左上から時計回りに、一般社団法人『トナリノ』の山本健太さん・山本ひろみさん、『トナリノ』の防災・伝承事業のディレクターを務める久保玲奈さん、特定非営利活動法人『高田暮舎(たかたくらししゃ)』の多勢瞳(たせひとみ)さん、牡蠣漁師見習い兼ワカメ漁師の佐々木快昌(よしまさ)さん。

4人目は佐々木快昌さん。岩手県久慈市出身で、3年前に移住しました。震災後に陸前高田に移住した高校の同級生に誘われ、盆踊りの復活に関わるため陸前高田に通うように。「それがほんとうに楽しかったんですよ。それから陸前高田のことを考えるようになり、『10年後にやってよかったと思えることをやろう!』と移住を決意しました」と佐々木さん。生産者フェアで知り合った牡蠣漁さん師に弟子入りし、昨年からは広田町でワカメ漁にも挑戦しています。

最後は多勢瞳さん。転職を考えるタイミングでパートナーから地方移住の提案を受け、オンラインの移住イベントで陸前高田に惹かれました。2020年9月に勢い半分で千葉県から移住。特定非営利活動法人『高田暮舎』で移住希望者のサポートを行っています。「ここでは一人の人間として認識してもらえ、人とのつながりが実感できます。『死ぬことはないな』と思えますね」と笑顔で話します。

『高田暮舎』の多勢瞳さんらが制作した冊子、「高田暮らしの手引き」。「高田暮らしの手引き」でweb検索するとリンク先から全ページのPDFを見ることができる。

イベント後半は、ブレイクアウト・セッションで登壇者と参加者が小グループで交流を行いました。最後に指出が 「まちを知るには人が見えることが大事です。その人の温度感がまちの“平熱”なので。まちの“平熱”がご機嫌な温度であるかどうかが、移住を考えるうえでポイントになります。本日登壇されたみなさんは、やりたいことをやりながら、好きなまちで素敵な暮らしをつくっているので、陸前高田の温かさというものが伝わってきましたね」とコメントし、無事に閉会。陸前高田の魅力や温度感が伝わった2時間でした。

今回の「結びの一言」は、戸羽市長のコメントより!

「最近まちに入って来る若い人は、『こうでなければいけない』ということに縛られず、人間らしく生きている人が多いですね。相手の立場に立って、新しい発想でいろんなことを考えてくれます。行政の手が届かないところに取り組んでくれる移住者も多いので、ありがたいです」

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次回「東北暮らし発見塾(洋野校)」は9月15日(木)19:00~開催予定! 参加申し込みや最新情報は「Fw:東北 Fan Meeting」のfacebookページTwitterをご覧ください。

text by Makiko Kojima