名古屋には、初見では読み方に戸惑う“難読地名”が数多く存在します。名古屋市西区、堀川の西側にある「四間道」という通りもそのひとつ。「よんけんみち」…?いやいや、「しまみち」…?あなたは読めますか?
正しい読み方は?独自の景観が生まれた理由とも関係が…
正解は「しけみち」。
四間道界隈は江戸時代の初め、名古屋城築城とともに造られた商人町。最近では素敵な雑貨屋や飲食店も増えていて、懐かしさと新しさが調和するエリアです。
地名の由来をさかのぼると、きっかけとなったのは300年以上も昔の出来事。
元禄13年(1700年)、この地は大火に見舞われました。そこで、尾張藩4代藩主・徳川吉通は、万が一また火事が起きたときに商家などの延焼を防ぐため、道幅を4間(約7メートル)に拡張させたのです。このことから、「四間道」という名がついたと伝えられています。
また、尾張藩は、防火壁の機能を持たせるため、通りの東側には盛り土を高くさせた上に土蔵を建てるよう奨励しました。この土蔵造りの建物がいまも残り、独特の風情ある街並みを形成しています。
都会の真ん中に残る、歴史と文化の香り
四間道までのアクセスは、地下鉄桜通線「国際センター」駅から徒歩約5分、名古屋駅から徒歩約15分。名古屋駅から徒歩圏内にあるため、散策に出かけるのにも便利です。駅前の高層ビル群を抜けると、江戸情緒あふれる蔵のまちが広がる…そんな不思議な光景に出逢えます。
喫茶文化を今に受け継ぐ「喫茶ニューポピー」でコーヒーと食事を
街並みを眺めながら歩くだけでも楽しい四間道。さらに周辺には、フランス料理店、手打ち蕎麦店、アンティークショップ、ギャラリーなど、幅広いジャンルの店が集まっています。
散策のひと休みにおすすめなのが、「喫茶ニューポピー」。小径に誘われるように、街並みに溶け込む蔵造りの建物へと入ってみましょう。
2019年にオープンしたこちらの店。新築でありながらも昭和の老舗さながらの趣を感じる、レトロモダンな雰囲気が魅力的です。
マスターの尾藤雅士さんは元々、30年近くにわたり名古屋駅近くで営業していた「喫茶ポピー」の2代目。早くに父を亡くし、閉店前の3年間だけ店を継いだそうです。その後、焙煎屋「BEANS BITOU」を開業し、場所を伏見に移して「喫茶神戸館」をオープンさせました。
ビジネス街にあった喫茶神戸館は毎日忙しなく、<もっとゆっくりコーヒーを楽しんでもらえたら…>という気持ちを抱くように。「喫茶ニューポピー」として父の店の名前を引き継ぎ、古き良き喫茶店のスタイルを蘇らせました。
「喫茶ポピー」で店頭に立っていたお母様は、現在も「喫茶ニューポピー」でお客様を笑顔で迎えています。
喫茶ニューポピーを訪れたなら、丁寧に焙煎してハンドドリップで淹れるコーヒーを味わって。ブレンドコーヒーは3種類。程よい苦味を感じる「ポピーブレンド」は、昔ながらの喫茶の味わいです。
この他、名古屋喫茶らしいモーニングや、「ポピーのコーヒーライスカレー」などのフード、契約農家から直接豆を仕入れるシングルオリジンコーヒーなど、バラエティ豊かなメニューが楽しめます。朝・昼・夜と時間帯を問わず、ほっと落ち着く時間を過ごせる喫茶店です。
株式会社Beans Bitou / 喫茶ニューポピー 公式サイト
こちらも難読地名!?「円頓寺商店街」もあわせて散策を楽しんで
四間道のすぐ横にあるのが「円頓寺(えんどうじ)商店街」。こちらも、なかなか読み方の難しい地名ですね。
かつてはシャッターを降ろす店が多かった円頓寺商店街ですが、現在は個性豊かな店がたくさん。その復活ストーリーは、商店街活性化の成功事例としてよく取り上げられます。商店街では多彩なイベントも開催されているので、ぜひチェックを。
四間道と円頓寺商店街の一帯は、「那古野(なごの)」と総称されるエリア。名古屋の歴史と新たな文化が交錯するこの地には、いつ来ても発見があります。じっくり歩いてお気に入りのスポットを探してみてください。