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場づくり・コミュニティ

日本の友人たちへ。

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 長年住んでいる人間よりも、よそから来た旅行者のほうがその土地の本質的な魅力に気づく時がある。その逆も然りで、土地にある煩わしい風習や人間の気質、風土のようなものがやがて明瞭に見えてくるのもまた、よそ者だ。不思議なタイトルの、それも外国人が日本語で書いたブログがとても胸を打つんだ、と友人から教えてもらったのはもう10年も前の話である。そのブログの主のガメ・オベール氏こと本名ジェームズ・フィッツロイ氏が10年にわたって綴った人気ブログが念願の書籍化を果たした。ガメ氏が日本語の練習と称し、戦後や性について、太平洋戦争や貧困などのさまざまな話題を日本の友人たちに語りかける。ただそれだけのことなのだが、鮎川信夫や岩田宏の詩をこよなく愛する彼が綴る、辿々しくも、時にセンチメンタルな文章には人生の真理が見え隠れする。
 彼が書きたかったこと、それは日本という奇妙な国で生きるわたしたちが、常識や慣習という名の鎖にがんじがらめになっている、ということの示唆と、彼が実際に友情を育んできた日本人たちのエピソードから見え隠れする、日本人であることの素晴らしさだ。この本から、あなたはどんなメッセージを受け取るだろうか。
目次

『ガメ・オベールの日本語練習帳』

著者:ジェームズ・フィッツロイ/出版社:青土社
text by Daisuke Hayasaka
記事は雑誌ソトコト2021年9月号の内容を本ウェブサイト用に調整したものです。記載されている内容は発刊当時の情報であり、本日時点での状況と異なる可能性があります。あらかじめご了承ください。

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