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場づくり・コミュニティ

連載 | ソーシャル系大学案内

CCB2021

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年に1回、日本各地で自主的な大学を運営する人たちが集まるコミュニティ・カレッジ・バックステージ(CCB)。7年目を迎える今年は、2021年11月、大阪府交野市を拠点とする『交野おりひめ大学』と、大阪市天王寺区空堀町を拠点とする『2畳大学』によって実現された。ぎりぎりまで懸念されたものの、念願が叶い、一部対面を取り入れたハイブリッド方式で開催された「CCB2021」の様子をレポートしたい。

困難な状況から生まれる、新しくて自由な 学びの方法と精神、そして実践との出合い。

この日の会場は、『交野おりひめ大学』の活動の拠点であるグリーンビレッジ交野。大阪府、京都府、奈良県の間に位置する交野市は自然に囲まれ、ハイキングに出かける人たちを惹きつけている。この日は気温が低く、標高の高い交野は特に寒かったが、外に出るにはピッタリのいい天気で、清々しい開催日和となった。会場では、『交野おりひめ大学そば学科』の手打ちそばが出迎えてくれた。朝から、メンバーが職人さながらの手つきで用意してくれたという。
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続いてカフェ部お手製の粕汁が提供され、集まった参加者の冷えた胃を温めてくれた。交野の地元の豊かな自然を活かすような学科が多い、交野おりひめ大学の魅力が詰まったオープニングだった。
 
午後からは、この日のメインイベント「こんな授業やってます」がスタート。参加した13校から、合計16に上る個性的な授業が次々と披露された。誰でも、オンラインでも視聴できる開催方式だったため、全国から関心のある人たちが入れ代わり立ち代わりアクセスしてくる。
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最初は、『交野おりひめ大学カフェ部』から。カフェ部創設のメンバーは、女子高校生2人である。話し方、内容、パワポの資料、そして熱量に至るまでみごとな活動報告で、参加した大人みんなが圧倒された。続いて、拠点とする町の魅力が伝わる『京都カラスマ大学』の「下京暮らしの手帖と一緒に歩く、京都のまち」や、『信州アルプス大学』の「ワインエキスパート資格保持ガイドと行く! 5軒のワイナリー&景観を楽しむウォーキングツアー」、さらに社会課題を考えるプロジェクト型授業『テラコ学校』の「テラコ流、産学連携プログラム“シテコベース”」や、『柏まちなかカレッジ』の「柏まちなか映画館の試み」、コロナ禍の中で生まれたユニークな企画『みんなの尼崎大学』の「尼崎オンライン公民館」、タイトルだけではわからないが「なんだそれ!?」となるおもしろさがある『釜ヶ崎芸術大学』の「釜芸、井戸を掘る」、『まいづるご近所大学』の「ブンカの作り方」、『2畳大学』の「留年論文を書こう」などが披露された。
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バラエティ豊かすぎる発表に聴き入るうちに、予定した5時間はあっという間に過ぎ、ボリューム満点、笑顔満載でメインイベントは終了した。その後、会場に集まった参加者でバーベキューを楽しんだ。交野で酒造された「百天満天」、そして『交野おりひめ大学』が醸造したクラフトビール「CCBeer」を片手に、たき火を囲み、歌を歌った。翌日は、午前に交野、午後に空堀のまちを散策し、寒くて熱い2日間のCCB2021は終了した。
 
近年、やむを得ぬ理由で活動を休止する大学もある一方で、新しい学びの形を模索し活動を続ける大学や、コロナ禍のなかで新たに始動する大学があるとわかったのが、大きな発見だった。また、運営の難しさを感じながらも、それぞれの大学が実践する自由な学びの方法と精神を共有できたのも、とてもよい機会だった。参加するたびに、運営する側が新しい学びを得るという点が、CCBのもつ意味なのだとわかった2日間だった。
参考サイト 
交野おりひめ大学 HP:www.orihime-univ.com
2畳大学 HP:https://2joe.osaka.jp
さかぐち・みどり●明治学院大学社会学部教授。2000年、東京大学大学院博士課程単位取得退学。研究領域は生涯学習論。共著に『ポストリベラリズム』、共訳書にアーリー・ラッセル・ホックシールド『タイム・バインド』など。

監修●坂口 緑 写真・文●梅山晃佑(2畳大学)、川崎彩可(2畳大学)、甲斐 健(交野おりひめ大学)

記事は雑誌ソトコト2022年3月号の内容を本ウェブサイト用に調整したものです。記載されている内容は発刊当時の情報であり、本日時点での状況と異なる可能性があります。あらかじめご了承ください。

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