瀬戸内海の真ん中、燧灘にある伊吹島には、「懸の魚」という独特なしめ飾りが伝わる。香川県・観音寺港から船で25分のところに位置する伊吹島。このしめ飾りを作ることのできる数少ない島民の話を聞きに、「しめ飾り研究家」の森須磨子さんと足を運んだ。今は讃岐うどんに欠かせない「伊吹いりこ」で知られる島だが、かつては鯛網漁が盛んで、しめ縄に干した鯛2尾を向かい合わせに付けたしめ飾りを飾り、大漁祈願をしたそうだ。ちなみに、寺社仏閣の屋根の下についている飾り板を「懸魚」と呼び、災いから守る意味が込められている。
伊吹島は湧き水がないので水田もなく、しめ飾りに使う稲藁が手に入らない。そこで本土や近隣の島から、人のつながりを辿って稲藁を手に入れていると聞く。瀬戸内海の島々は古代から船でつながってきた。人のつながりがこの島のしめ飾り文化を、長い間支えてきたのである。
伊吹島は湧き水がないので水田もなく、しめ飾りに使う稲藁が手に入らない。そこで本土や近隣の島から、人のつながりを辿って稲藁を手に入れていると聞く。瀬戸内海の島々は古代から船でつながってきた。人のつながりがこの島のしめ飾り文化を、長い間支えてきたのである。
ゆう さかな●神奈川県茅ヶ崎市出身のデザイナー。2010年、香川県高松市に移住。WEBメディア『物語を届けるしごと』では四国・瀬戸内海の美しい風景を世界160か国以上に発信している。https://yousakana.jp
photograph & text by Yasutoshi Kami
記事は雑誌ソトコト2022年1月号の内容を本ウェブサイト用に調整したものです。記載されている内容は発刊当時の情報であり、本日時点での状況と異なる可能性があります。あらかじめご了承ください。