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サスティナビリティ

特集 | まちをワクワクさせるローカルプロジェクト

『TABEL』代表取締役|新田理恵さんが選ぶ、ローカルプロジェクトのアイデア本5冊

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コンセプトは「食べることで人をよくしたい」。主に植物を用いて新しい提案を行っている新田理恵さん。新田さんには、食を通じたプロジェクトを進めるうえで、自分の知識をアップデートさせ、基礎力をさらに高めてくれる本を紹介してもらいました。

全国各地でリサーチした薬草や、各地に根付いた在来種ハーブなどの植物を使ったお茶や「クラフトコーラ」を製造販売しています。またそのほか地域の自然資源を活用した商品開発などをしています
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(左から)1.『ビジネス・フォー・パンクス─ルールを破り熱狂を生むマーケティング 』/2.『喫茶養生記』/3.食と健康の一億年史/4.マギー キッチンサイエンス
─食材から食卓まで/5.生物と無生物のあいだ

新田理恵さんが選ぶ、ローカルプロジェクトのアイデア本5冊

地域で食のプロジェクトを進めるうえで重要なのは、土地の歴史や、長い時間をかけて土地に根付いてきた文化、地域の言い伝えを知り、咀嚼し、大本のところにまで立ち返ることだと考えています。そしてその場に一番ふさわしいものは何かを考えることも重要です。
 
私がお茶のプロジェクトを進める際、お茶の効能だけでなく、どうしてお茶が健康によいのかを習慣や文化的ルーツを含めて深く理解できたのが、栄西の『喫茶養生記』です。栄西は鎌倉時代の臨済宗の僧侶で、宋より茶の苗木やその種を持ち帰り、栽培し、一時期日本で途絶えていたお茶を飲む習慣を復活させました。この本では、栄西が宋で見聞きしたことから、お茶を飲むことは肝・心・
脾・肺・腎の五臓を健全に維持するのに役立つこと、そして特にお茶の苦みが心臓によいと書いてあります。
 
古い本ほど、その伝承は本当に正しいのかという疑問も浮かびますが、時代を超えても必要性があるからこそ、今なお語り継がれているのではないでしょうか。科学的なことも大事ですが、先人の知恵と言葉は理論で語り尽くせない重要な何かを含むと気づかせてくれる一冊です。
 
また私は2014年に伝統茶のブランド『{tabel}』を立ち上げ、その後法人化した『TABEL』を経営しています。会社を経営するうえで役に立ったのが、『ビジネス・フォー・パンクス』。2007年に24歳の二人の若者が、イギリスのビール市場を支配していたラガーやエールに飽き、それを打開すべく、300万円相当の資本金からはじめたクラフトビール会社『ブリュードッグ』。その経営者が、わずか数年で70億円を超える急成長を遂げたマーケティング方法を語った本です。
 一番勉強になったのが、型破りなことをするためには、基礎は死ぬほどやっておけということ。ただビールをつくるプロフェッショナルにだけなればいいのではなく、ビールづくりを支える周りの仕事、例えば財務についても、経営する側が会計士に負けないほどの知識をつける必要があることを学びました。
 
基礎をないがしろにしては良い視点やものづくりはできないし、やはりそういった基礎が底力になるということに気づかされました。
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にった・りえ●『TABEL』代表取締役。管理栄養士、国際中医薬膳調理師の資格を取得後、全国各地の薬草を研究。薬草文化のリサーチや、薬草茶の調合や監修に取り組むほか、全国各地でワークショップも実施。2014年に『{tabel}』を立ち上げ、16年に法人化。
記事は雑誌ソトコト2022年3月号の内容を本ウェブサイト用に調整したものです。記載されている内容は発刊当時の情報であり、本日時点での状況と異なる可能性があります。あらかじめご了承ください。

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