地方で働く女性、都心で働く女性、子育てをしながら働く女性、さまざまなライフスタイルを送る女性たちを取り上げ、女性の健康課題や社会課題について考える対談コンテンツ『フェムコト』。今回対談させていただいたのは、TWIN PLANETのアーティストプロダクション部でタレントIMALUさんを中心に所属タレントやアーティストのマネージメントを行っている前原美奈都さん。学生時代の過度な減量経験による生理への思いから、人と自分のケアの両立についてなどお話ししてもらいました。
RULE1.なんでも楽しんでやる
RULE2.わからないことはちゃんと聞く
RULE3.心を開いてほしい人には自分の心も開く
〈Profile〉
TWIN PLANET アーティストプロダクション部マネージャー 前原美奈都(まえはら・みなと)さん
●1991年生まれ。日本女子体育大学 運動化学科卒業。3歳から大学卒業まで体操競技に打ち込む。大学卒業後、テレビの制作会社へ入社。制作スタッフとしてフジテレビで約2年半情報番組のアシスタントディレクターを担当。その後、日本テレビのバラエティ番組やスポーツ番組でデスク業務に。2020年4月より、タレントマネージメントへ転職。
1週間で10kg減量の過酷な体操競技部時代
前原さん:高校時代のコーチは、とにかく体重計で出た数字しか信じないという考えで、500g増えてるだけでも、練習をさせてもらえませんでした。正直いうと体重計の乗り方のコツさえ覚えちゃえば、500gくらいは誤魔化せるんですけど(笑)。決められた体重を切れてなくて、大会当日にメンバーから外されたこともありました。体操は採点競技で見栄えが重要だし、体重が重くなると怪我に繋がるっていう考えももちろんあります。ただ女性の体が変わるとき、それこそ生理がある女性は体重の増減があるのは仕方がないことですよね。
前原さん:とにかく食べない。まるでボクサーですね。水でも体重は増えるので、うがいをして喉を潤すだけ。でも練習量は異常なまでにあるから、倒れてもおかしくないくらい。おにぎり一個食べて個体として体に残るくらいなら、汗として出る水を飲んでお腹を膨らます。という勝手な持論で、本当に知恵のない減量をしていたので、体への影響は相当あったと思います。高校時代に街で食べ歩きするとか、ほとんどしたことがない。コーチがどこで見てるか分からないので。ただコーチは車移動しかしなかったので、改札の中にある立ち食い蕎麦屋が唯一外でご飯が食べられる場所でした。制服を着た女子高生が、サラリーマンのおじさんの横で蕎麦を食べてました(笑)。
体重は朝・昼・夜の3回測るのが決まりで、体重が変わっていてはいけないんです。前日の夜の体重のまま翌日の朝練に来ないと、ランニングからスタートする羽目に。一時期は体重がなかなか減らず、「交通機関は使うな」と言われたので、家から高校まで16kmの距離を毎日自転車で通ってました。朝練は7時からだったので、3時半に起きて、家の周りを1時間ランニングして、30分半身浴して汗を全部出して、そこから自転車で学校へ行ってまずは体重測定。朝練終わりがご飯を食べられるチャンスなので、お母さんが作った小さいおにぎりを食べてました。食べた分は、昼に走って減らして夕方の練習に臨んでましたね。
前原さん:当時は身長150cmで、体重が38~40kg。体脂肪は8~13%だったこともあり、当然のことながら女性らしい身体ではなかったし、実は20歳を迎える1週間前まで生理がきませんでした。生理が来ないことに対しては、幸せとも考えていましたね。ただ高3のときに生理が来てないことを母親が心配して、産婦人科へ検査に行きました。制服で産婦人科に入ることはなんだか気まずいし、検査で何をされるのか不安だったことを覚えています。検査で、18歳にして子宮のサイズが閉経後のサイズくらいにしか育っていないことがわかり、女性ホルモンの投与を勧められましたが、体重が多少増える傾向になると説明を受け、大学でも推薦で体操を続けることを決めていたので断りました。今思うと、目の前のことしか考えていませんでしたね。
20歳になる寸前で初経を迎え、生理×スポーツの問題に直面
前原さん:なんだか恥ずかしかったです。それまで生理用品を買ったこともないし持ったこともなかったので、トイレの中で叫びました。「来てる、来てる、来てる!」って。友達がいたのでナプキンはもらえましたが、開けたこともないからどうつけたらいいかも知らなかった。練習中もレオタードなので「見えてないかな?」「いつ変えに行けばいいの?」って考えてしまい、全然練習に集中できなかったです。
フェムテックtv:スポーツをしている人にとって生理というのは精神的にも負担になりますよね。
前原さん:そうですね。大会と生理日が当たってしまうと「今回の大会は無理だわ」と言ってる子もいました。レギュラーの争いもあるなか生理などで思うように動けないというのは、側から見たら体のメンテナンスがうまくできてない人と思われちゃう。だからみんな必死に頑張る、みたいな。本当にスポーツをしている人にとって生理は、大きな問題だと思っていました。
前原さん:AD時代もそうですが、マネージャーという職業柄、四次元ポケットのようにいろんなものを常にカバンに入れてるんです。タレントさんが急にロケ先で……近くにコンビニがなかったら……などいろんな場面を想定していろいろ持ち歩いてる。だから正直、急な生理に関しても困ったことはないです。最近では、フェムテックの仕事関係で教えていただいた吸水ショーツも愛用しているので、不定期ながら今週そうかもな?と思う日には履くようにしています。
フェムテックtv:スポーツをしてる人にとっても、吸水ショーツは画期的ですよね。
前原さん:体操選手時代にあれば使いたかった!ってすごく思いました。GUやユニクロでも安く買えるので、友だちにも勧めてます!
納得いくことを楽しくオープンマインドで実践する
前原さん:新型コロナウィルスの影響で仕事が一気に減ってしまったことを機に、IMALUさんが興味を持っていたフェムテックについてクラブハウスで配信を始められたんです。私は正直、人の性に対して興味を持ったことがなかったので、最初は業務的に聞いていました。ただそこで音声配信を拡大しようという話になり、AD時代の経験から「簡単な編集ならできます」ということで、私がYouTubeの編集をお手伝いすることに。それが『ハダカベヤ』という番組です。
前原さん:いざ知ると当たり前のことなのに、フューチャーされてなかったことに気づいて。生理のことは女性なら誰しも通る道だけど、なんとなく友達とは話さない。まだ人に話せる環境は少ないのかなと思います。
フェムテックtv:マネージャーという仕事は体力的にも、人のケアという部分ではメンタル面でも強くなければいけないのかなと思います。現在は、ご自身の健康やメンタル面はどのようにケアされていますか?
前原さん:正直ヘルスケアは、何もしてないです(笑)。メンタルケアは、仕事でもなんでも楽しんでやることを心掛けています。毎日が違う現場なので、常に刺激があり日々学ぶことばかり。忙しくしているほうが性に合ってるので、仕事に対して苦に思ったことはありません。高校時代の減量を思うと、あれ以上の苦はないです(笑)。
それから、休みの日はとにかく好きなことをする。アイドルが大好きなので、ライブに行ったり音楽を聞いたり。昔からテレビっ子でテレビを見るのも好きなので、録画したものを見続けたり。エンタメが好きなんです。ADになったきっかけも、芸能人に会いたいから(笑)。“仕事してお金もらって、芸能人に会えるなんてご褒美じゃん!”って。ただそれまで体操一本でやってきたので、パソコンも使いこなせず。体力と根気だけある何もできない子が入ってきたという印象だったと思うんですが、変なプライドがないので、わからないことはちゃんと聞く。聞くことに恥ずかしさを持ってないんです。やったことがないから、分からなくて当たり前。でも同じことを2回は聞かないようにしようと。聞けば、みんなちゃんと教えてくれますしね。
前原さん:自分のこともオープンに伝えること。マネージャーとしてタレントさんにはいろいろ聞くけど、タレントさんだけがオープンにするのも対等じゃないと思って。IMALUさんとは他愛もない話からディープな話、フェムテックの話まで……移動中や楽屋では、ヘアメイクさん、スタイリストさんも一緒にうるさいくらい話してます。お互いがオープンでいれるので、些細なことも伝えてくれるんですよね。そうすることで、距離感も上手く取れるようになりました。コミュニケーションを取るテーマが増えると、より親密な関係性が築ける。フェムテックに関しても、商品を試したり、詳しい方のお話を聞いたり一緒に学んでいきたいです。
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