地球上すべてのものにやさしいブランドを目指し生まれた「ecuvo,」が繋ぐ、想いと笑顔。

地球上すべてのものにやさしいブランドを目指し生まれた「ecuvo,」が繋ぐ、想いと笑顔。

 手袋のまち、香川県東かがわ市。この地で1977年から手袋を作り続ける株式会社フクシンから、地球環境にやさしいブランド「ecuvo,」が誕生した。笑顔の象徴であるエクボをブランド名に掲げ、地球上のすべての笑顔を紡ぐため生まれたこの新ブランドの立ち上げに至った背景とそこに込められた想いとは。

手袋のまち、東かがわの小さな手袋屋さんが生んだ「ecuvo,」


 2020年2月。香川の小さな手袋メーカーから、「ecuvo,」は生まれた。このシンプルでナチュラルなデザインに、思いやりの温かな心が宿る。「地球上のすべての笑顔を紡ぐ」ことをコンセプトに作られる製品は、徹底的に地球環境のことを考えて作られている。


ecuvo,_イメージ


<「ecuvo,」コンセプト>


 たくさんの笑顔を紡ぐ



  私たちが作っている商品は、たくさんの人やものが関わっています。
  海の向こう、地球上のすべての笑顔を紡ぐには、どうすればいいか。
  答えはひとつ、やさしくなればいい。
  人に、動物に、植物に、街に、大地に、空に、海に、そして地球に。
  やさしい企業になることを誓います。

  すべては、笑顔のために。



 


 このコンセプトのもと作られる商品は、手袋や靴下をはじめ、マフラーやベレー帽など、計11アイテムが揃う。「パパもママも子どもも、みんな笑顔に」という思いから、それぞれのアイテムにおいて、メンズ/レディース/キッズと各種サイズが用意され、家族みんなでお揃いのものを身につけることもできる。


ecuvo,てぶくろ
「ecuvo,」のてぶくろ。今年2月の展示会では、「キッズサイズが可愛い!」と人気だったそう。

 「ecuvo,」の製品は、自然にやさしい素材を使って作られているのはもちろん、永久修理保証(※1)や片手・片足販売など長く使うためのサポートが用意されているのも嬉しい。無駄がなくシンプルなこのデザインをブランドの永久定番とし、毎年のシーズンごとにテイストの違う新作デザインを発表することもない。だからこそ、お気に入りを見つけてずっと使い続けてほしいと考えている。


 この地球にやさしい「ecuvo,」を立ち上げた手袋メーカー、株式会社フクシンは、手袋のまち・東かがわで40年以上手袋を作り続けてきた。長年手袋を作り続ける中で、今なぜこのような地球にやさしいブランドの立ち上げを決めたのか。株式会社フクシンの福﨑二郎社長に、話を訊いた。


(※1)保証条件に当てはまる場合のみ、修理が受けられる。保証条件の詳細は、公式WEBサイトで確認を。


始まりは、「たくさんの笑顔を紡ぐ」社内プロジェクト。


フクシン_社員のみなさん


 「ecuvo,」立ち上げのきっかけは、2018年から始まった「たくさんの笑顔を紡ぐ」という社内プロジェクトの始動だった。もともとフクシンでは、社是として「明るく 楽しく 元気よく」を掲げている。フクシンで働く社員全員がこれを達成し、楽しみながら健康的に働くことで、取引先や社員の家族、そして地元・東かがわの人びとにもそれが伝わり、結果的に会社の内側から外側へ、良い笑顔の循環を生むことを目指し始まったものだった。


 このプロジェクトによって、福利厚生や職場環境の充実など様々な取り組みが実施される中、SDGsの考え方に出会う。それまで、フクシンは手袋の卸問屋として創業し、近年ではファッション手袋やモコモコソックスなどの防寒物を中心に、自社製品の生産も行っていた。各年の売上は、その冬の気象状況にも大きく左右される。地球温暖化はとても身近な問題だった。


「どんなに頑張って可愛い商品を作っても、寒くなくては誰も必要としてくれません。近年は暖冬傾向のため、売上にも影響が出始めていました。そのような中でも、今まで私たちは神頼みをするだけでした」


 「ecuvo,」が誕生する前を振り返って、福﨑社長はそう語る。そんな状況の中でSDGsに出会い、「たくさんの笑顔を紡ぐ」というプロジェクトの対象を地球全体にまで広げて考えるようになる。社内のメンバーからも、地球環境にやさしい製品づくりに意義を感じるという意見も多く出てきた。会社として、暖冬が続く現状を憂うだけでなく、主体的かつ能動的に、地球と環境にやさしい企業活動をしていく方向へ向かうことを決めた。


 こうした会社の新たな方向性を体現すべく立ち上がったブランドが、この「ecuvo,」だった。


ecuvo,_社員さん


みんなで学びながら考えた、「ecuvo,」ができること。


 「ecuvo,」というネーミングや商品コンセプトは、ほぼすべて、社員の意見やアイデアから生まれている。有料無料問わず、社員自らが可能な範囲でSDGs勉強会へ参加し、フクシンができる環境にやさしいこととは何なのかを一人ひとりが考えた。そうして各々が考えたことを、週1回の商品開発ミーティングで共有し、形にしていく。


 そんな商品化までのプロセスからも、社内でのSDGsへの関心の高さや意欲がうかがえる。会社が社員のことを想い始まった「たくさんの笑顔を紡ぐ」というプロジェクトの延長線上で、社員みんなで地球のことを想い誕生したブランド「ecuvo,」には、笑顔とともに優しさの循環も生まれているように感じる。


 そうして生み出された商品には、地球環境を守るためにとことん考えられた、「ecuvo,」ならではの工夫が詰まっている。


ecuvo,社員さん



新素材「ecuvo yarn」の開発



「この大変さが、環境への想いに繋がる」ーー新素材「ecuvo yarn」の開発。


 まずブランド立ち上げあたり取り組んだのは、自然に優しい素材の開発。普段から付き合いのある紡績会社や糸商の業者とともに、再生素材を使った糸素材の開発に向け、何度も試作を繰り返した。この新素材の開発が最も大変だった、と福﨑社長は振り返る。


「初めは再生ウール100%で試したのですが、ごわごわで商品には向かず、再生ポリエステルを配合して何度もその割合を調整しました。最終的には、再生ウールと再生ポリエステルを50%ずつという比率に落ち着きましたが、それでも再生ウールは、セーターなどの古着や工場の残糸、残生地などを集めて作るので、なかなか色が安定しないというデメリットもあり大変です。ただ、この大変さが環境への想いにつながるのかなぁとも思っています」


ecuvo yarn


 “地球にやさしい”を求めるからこそ、簡単にはいかない。これまで人間本位で考えられてきた経済活動の在り方を見直す生産過程を追求したからこその実感だった。そしてこの新しい素材は、「ecuvo,」だけで独占するつもりはないと、福﨑社長は話す。


「開発時のサンプル代金や、編立代金などは我々も負担しましたが、弊社のモノポリーにすることはしていません。今回開発した糸が少しでも環境に優しいのであれば、それは弊社が独占するものではなく、広く使っていただければと思っています(※2)」


 独り占めするのではなく、良いものはみんなで共有する。そうすることで、地球にやさしい社会がどんどん広がっていけばいい。地球全体で考える「ecuvo,」らしい考え方だ。


 この「ecuvo yarn」とともに、オーガニックコットン、シルク、カシミヤ、ウール等の天然素材を使用して、「ecuvo,」の商品は作られている。


(※2)「ecuvo yarn」と呼べるのは、株式会社フクシンのみ。この新素材を取り扱う糸商では「premium eco」という名称で取り扱っている。


独自に確立した、ゴミを出さない編み立ての製法


 手袋のまち、東かがわで生まれた「ecuvo,」は、職人の手によって1点ずつ丁寧に作られる。特に手袋などの裏起毛は、ティーゼルという植物の実を使って、指先や指股の細かな部分まで丁寧に起毛させていく。ティーゼルを使った裏起毛は非常に珍しく、この技術が用られているのは、日本ではほぼフクシンだけだとか。


 また、商品の編み立てには、縫い目が体に当たることなく、付け心地も気持ち良い製品が出来上がるよう、ほとんど縫い目ができない最新の技術が用いられている。この編み立て時にできるだけ無駄になる捨て糸が出ないよう、独自に計算しながら、機械プログラムの研究開発を進めた。そうして確立した独自の編み立て製法で、生産時のゴミを限りなくゼロに近づけることに成功している。


ecuvo,_編み立て製法


 また、商品の包装にも、プラスティック素材ではなく再生紙を中心にした素材を使うといった基本的なところまで、徹底的に環境に配慮されている。地球にやさしいブランドコンセプトを実現するため、そしてフクシンという会社の進化を示すため、どんなに細かなことも丁寧に作り上げてきたのが、この「ecuvo,」なのだ。


長く使ってもらうことが、一番環境にやさしい。


ecuvo,_製造のようす


 使い捨てではなく、ものを大切に長く使うことも、環境にやさしい行動のひとつ。「ecuvo,」の製品には、できるだけ長く使ってもらうための工夫がいくつも取り入れられている。




  • 永久修理保証
    商品の包装紙が永久保証書となり、通常使用で穴が空いた場合のみ、何度でも修理してもらえる。あくまで修理のため新品同様に戻ることはないが、そうやって少しずつ直しながら、時と共に形を変えていく様子に、より一層モノに対する愛着も湧いてくるはず。
     


  • 片手・片足販売
    手袋や靴下など、片方だけ無くしたり傷んでしまった場合は、無くした方だけを買うことができる。片方無くしてしまったからといって、まだ使えるもう一方を捨てるのはもったいない。手元にあるもう一方とあわせて、さらに長く使ってもらいたいと考えている。
     


  • 永久定番
    流行り廃りに左右されることのないシンプルなデザインを、ブランドの定番デザインとして作り続ける。そうすることで、“売れ残り”を出さず、“廃棄”する商品も出さない。それは、デザイナーや生産者、販売者など、商品に関わるすべての人が傷つくことなく、ハッピーでいられるシステムでもある。


 これらを通して長く使われる「ecuvo,」の商品たちは、使うごとに使用者の生活にも馴染んでくれるのだろう。そんなふうに、信頼できるひとつのモノを大切に想い、丁寧に使うことは、物に溢れた世界の中で、心を満たしてくれるひとつの要因になるに違いない。


製品の裏に隠された、“想い”を見極める。


 この「ecuvo,」は、まだ今年の2月にはじめてお披露目されたばかり。地球環境への配慮をブランド全体で打ち出しているものは手袋業界でも珍しく、各展示会でも注目を集めた。今回発表された製品自体は、2020-2021年の秋冬に向けたもののため、実際の販売はこれから。


ecuvo,展示
2020年2月の展示会の様子。商品コンセプトや製造過程とともに、「ecuvo,」の商品が実際に展示された。

 「ecuvo,」のような環境にやさしいものを生活に取り入れることも、立派なSDGsだ。今手にしている製品はどのように作られているのか、そしてどんな想いが込められているのか、いないのか。改めて考えてみることは、同時に、自分の生活や地球環境を見直すことにも繋がっていく。


「ecuvo,」はこちら