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サスティナビリティ

連載 | 森の生活からみる未来

なぜオーガニックか? その3つの理由

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 「なぜ、四角さんはオーガニックライフにこだわるんですか? 普通でいいじゃないですか」

 最近よくこの質問を受ける。

 好評だった前回の、ぼくが毎年行っている「欧州オーガニック・ジャーニー」のレポートの続編という形で、ぼくの回答をまとめてみたい。

 一般的には、オーガニックでは日本の10年先を行くと言われるドイツとフランスが、欧州の2大オーガニック先進国とされる。ちなみに、ぼくが訪れた中では、ベルギー、オランダ、デンマーク、エストニア、アイスランドといった小さな国々が、負けないくらい進んでいた。

 毎年訪れるパリのオーガニック・ファーマーズマーケット。毎週日曜の午前中に開催され、売られる飲食すべてが化学物質無添加で、人間や自然環境、そして「命」である食材たちに対して「フェア」なものばかり。

 野菜や果物は、無農薬無化学肥料が最低基準で、オーガニック栽培から自然栽培までが並ぶ。

 肉類に関して言うと、牛はグラスフェッド(牧草飼育)。豚と鶏はオーガニック飼料を与えられたフリーレンジ(放し飼い)。つまり、最近よく見る、異常なほど安く売られている肉類とは違い、「ちゃんとしたエサ」とストレスフリーな環境で育った動物の肉ということだ。

 そしてシーフードは、持続可能な漁法で獲られた野生のものか、水域への負荷が少ない環境で、まっとうな飼料によって育てられた魚介たち。

 日本で「オーガニック食材」と言うと、ほぼ植物性のものだけを指すようになっているが、欧米では上記のように、肉や魚介類までを網羅する。つまり、「フェアでサスティナブルな方法で育てられたり、獲られた食材」の総称として、「オーガニック」という言葉が用いられるのである。

 100パーセント・オーガニックとしては圧倒的に大規模なこと、食材の質の高さと種類の豊富さ、そしてここに漂うフレンドリーな空気感から、ぼくが世界一好きなファーマーズマーケットだ。

 さて、なぜオーガニックか。

 まず、そもそも地球や人類にとって、オーガニックこそが「普通」だということ。

 実は、農薬や化学肥料が使われるようになってから、まだ100年も経っていない。約20万年の人類の歴史で見ても、約46億年の地球の歴史で見ても、ほんの「最近のこと」。つまり、それ以前の世界は100パーセント・オーガニックだったというわけなのだ。

 にもかかわらず、そんな短期間で、あっという間に、大地、海、生物、人体を汚染してきたわけだ。この状況のほうがよっぽど「異常」だと言えないだろうか。

 そして言うまでもなく、ぼくたち人間の肉体は、100パーセント地球産の有機体である。どちらが「普通」か、いや「まとも」かは、議論の余地はないはず。

 しかし、ぼくらが生きるうえで、時に化学物質に頼らざるを得ない場面もある。だから、人類の叡智とも言える「化学の力」を全否定するつもりはない。

 ただ、現代の「行き過ぎた使い方」と「過剰な使用量」に関して、そろそろぼくらは立ち止まり、考え直さないといけない時期にきているのではないだろうか。

 ぼくのもう一つの意見は、オーガニックには「実利」があるということ。

 勘違いしている人が多いが、オーガニックというのは「流行」や「ファッション」ではない。そして、単なる「社会運動」や「インテリやセレブの趣味」でもない。

 では、その「実利」とは何か。シンプルに以下の2点だ。

 オーガニック食を中心にしていくと、脳と肉体のパフォーマンスが驚くほど向上する。必然的に、仕事の成果と人生の質が、間違いなく高まるわけだ。これはぼくの経験上、絶対だと断言できる。

 2つ目。オーガニックは、世界では猛烈な右肩上がりを続ける超成長産業ということ。つまり、今、オーガニック関連ビジネスには、大きなチャンスがあるのだ。実際に、世界中で超大手企業の参入が続いている。

 2017年の象徴的な事件としては、アマゾンによる自然食品チェーンの先駆け『ホールフーズ・マーケット』の買収が挙げられるだろう。日本では、もう5年も前に、NTTが自然食品会社『らでぃっしゅぼーや』を傘下におさめている。こういった例は、数限りなく起きている。

 オーガニックが「特殊」でも「異常」でもなく、「あたり前」で「普通」となる時代が一刻も早くくることを、心から願っている。

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