2024年2月4日(日)、東京都世田谷区尾山台の『タタタハウス』で開催された、和歌山県田辺市の魅力を東京で発信する「たなコトマルシェ」。
田辺市と『ソトコト』が開講した、関係人口育成講座「たなコトアカデミー」の5期生が企画・運営をしました。このマルシェの開催レポートを、たなコトアカデミー5期生の荒井駿介がお届けします!
開催までの道のり
2023年9月の和歌山県田辺市でのフィールドワークを終え、マルシェに向けての準備が始まりました。会場準備、ワークショップ、販売、PRの班で分担し、田辺の良さを来場者に伝えられるように準備を重ねました。
たなコトアカデミー5期生は、関東と関西在住の大学生で構成されていたため、直接顔を合わせることは少なかったのですが、より生産者の思いを伝えるにはどうしたらよいのか、来場者に田辺をより身近に感じていただくにはどうしたらよいのか、オンラインミーティングで意見をぶつけ合う日が続きました。
尾山台の『タタタハウス』
今回のマルシェの会場は、東京都・尾山台にある『タタタハウス』。たなコトアカデミー講座1回目(8月3日)、訪れた際の印象は普段からさまざざまなイベントが実施され、多くの出会いを生むコミュニティースペースとして愛されているように感じました。
『タタタハウス』のオーナーで、たなコトアカデミーのゲストサポーターでもある高野雄太さんは、マルシェ開催までこの場所の効果的な使い方のアドバイスをいただきました。
田辺を感じられるさまざまな工夫
当日、会場設営を進めていくと徐々に田辺を感じられる空間に『タタタハウス』が変わっていきました。私のお気に入りは、会場内のテーブルに飾られていた梅の枝です。田辺の梅・柑橘農家の『十秋園』野久保太一郎さんに送っていただいたもので、まだ花は蕾の状態でしたが、田辺の春の訪れを東京で感じられる展示だったのではないかと感じます。
また、梅の枝に来場者の「田辺へ行きたい!」という思いを綴ったメッセージカードを展示するという企画も行っていました。時間が経過するにつれて、梅の枝が田辺への思いでいっぱいになっていったのが印象的でした。
生産者と一緒に話しながら作った「梅シロップ」
会場では、来場者と生産者が直接関わりを持ってほしいと企画した梅シロップづくりのワークショップも行いました。ワークショップ班と、田辺で梅や柑橘をつくっている『日向屋』の岡本和宜さん、野久保さんと参加者が会話しながら進められていきました。
当日、準備した梅の品種は「露茜(つゆあかね)」という品種。そのまま生で食べられるくらい甘く、生産量がとても少ないことや、紀州南高梅よりも梅のエキスが出やすいことなどを教えてくれた岡本さんと野久保さんの話が印象的でした。
梅と氷砂糖を隙間なく容器に詰めていくのに、悪戦苦闘している人もいましたが、あっという間に終了しました。容器に入れた梅と氷砂糖は、1日2回程度振って溶けた氷砂糖を梅に行き渡らせる必要があり、完成まで1週間程度かかります。梅シロップの瓶を振るたびに、「たなコトマルシェ」や田辺のことを思い出すきっかけになっていたらいいなと思います。
田辺の魅力が集結「たなべかけご飯」
飲食班では『旬菜居酒屋 膳』の稲垣基さんがつくる紀州南高梅の梅びしお(ソース)を使った「たなべえサンド」やみかんジュースの提供、柑橘類の試食などを会場内で行っていました。その中でも、特に来場者の関心が高かったのが「たなべかけご飯」です。
米穀・炊飯の販売会社『たがみ』の田上雅人さんがつくる熊野米の上に、『とりとんファーム』の平飼いたまごを載せた一品。田辺産の天然醸造の醤油、梅干し、しらす、金山寺味噌などをトッピングにして、田辺の食の魅力を提供しました。おいしい卵かけご飯の食べ方を田上さんが説明するなど、生産者と来場者の交流が生まれ、田辺を感じていただけたかなと思います。
田辺の魅力をより多くの人に知ってほしい
PR班ではマルシェ開催前から、田辺を多くの方に知ってほしい!そして、当日、たなコトマルシェに来てほしい! 田辺の魅力をより多くの方へ届けたいという思いでチラシの作成やInstagramアカウントの運用などを進めました。当日は、幅広い年代の方に来場いただき、少しでも田辺の良さを発信できたのかなと感じました。(Instagramアカウント「@tanakoto_5th」)
受講生全員で、田辺の食の良さを紹介!
当日は朝から天候が悪く、とても寒かったため本当に人が来てくれるのかという不安がありました。しかし、野久保さんの柑橘、岡本さんの梅干しやみかん・梅ジャム、田上さんの熊野米、稲垣さんの「たなべぇサンド」、『キャラバンサライ』の更井亮介さんの「みんなの梅仁豆腐365」など多くの人の協力で準備することができた商品を、田辺の食の良さを東京でPRしながら売り切らなくてはなりません。
受講生全員がそんな責任を持って行動しているようにも感じました。『タタタハウス』の前を通る人に声をかけることや、チラシ配り、みかんの試食にみかんジュースの試飲などさまざまなことで「たなコトマルシェ」や田辺に興味を持ってもらえるように頑張りました。
無事に、すべての商品を終了予定の18時より前に売り切ることができました。さらに、田辺市に行ってみたいとアンケートに回答した人が多かったことが、少しでも田辺の良さを伝えられた結果なのかなと思います。
これからの田辺との関わり方
今回、私は和歌山県田辺市のことを知り、さまざまな田辺の人との関わりができました。
たなコトマルシェを開催し、田辺との関わりを持つ関係人口を増やすきっかけのお手伝いをすることができました。大阪に住み、奈良県立大学に通学しているため田辺と定期的に関わりを持っていきたいと思っています。
今回の貴重な体験の手助けをしてくださった人々への感謝を何らかの形で田辺に還元できるような関わり方を模索していきたいです。
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photographs & text by Syunsuke Arai