MENU

多様性

写真を空間ごと味わう「京都国際写真祭」。

  • URLをコピーしました!

毎年春になると、「今年は行く?」と写真好きの友人の間で決まって話題に上がるのが、「KYOTOGRAPHIE 京都国際写真祭」だ。2020年、2021年はコロナの影響で春の開催が急遽、秋の開催となったが、10回目となる記念すべき今年は4月9日~5月8日になり、通常の春会期に戻るという。「KYOTO GRAPHIE」のおもしろさは、京都市内に点在する多種多様な会場で、さまざまな作品と出合えるところだろう。ギイ・ブルダン、アーヴィング・ペン、奈良原一高と著名な写真家の展示も見たいが、知らない作家と出会えるのも魅力のひとつだ。

なかでも気になっているのは、『ASPHODEL』で展示される、1995生まれ、ガーナ出身のヴィジュアルアーティスト、プリンス・ジャスィ。携帯電話のカメラを使って、社会から取り残されがちな人々の物語を伝える作品をつくっているという。iPhoneで写された、緑やピンクの空や大地の背景に映える、黄色やブルーの色鮮やかな衣装に身を包んだガーナの人たち。カラフルな世界の中でより存在感を増した、美しく黒い肌から目が離せない。そして、敬虔なクリスチャンの家系に生まれ、セネガルで過ごしたのちにイスラム教に改宗したというマイムーナ・ゲレージの作品にも注目。衣装と背景の色の組み合わせや植物を手にした人物のシルエットが絶妙だ。さまざまな文化が融合したようなこの作品は、明治16年(1883年)に建てられた日本の伝統的な町家建築である『嶋臺ギャラリー』で展示されるそうだ。

ふだん、インスタグラムなどで写真を一枚一枚見る感覚とは全く違って、空間全体で写真を味わう体験はとても刺激的。久しぶりに訪れる春の京都と共に楽しみたい。

「KYOTOGRAPHIE 京都国際写真祭」

4月9日(土)〜5月8日(日)
 (91105)

Sebaätou Rijal 2 BHC,2020
@ Maïmouna Guerresi,
Courtesy Mariane Ibrahim Gallery
text by Nahoko Ando

記事は雑誌ソトコト2022年5月号の内容を本ウェブサイト用に調整したものです。記載されている内容は発刊当時の情報であり、本日時点での状況と異なる可能性があります。あらかじめご了承ください。

この記事が気に入ったら
いいね または フォローしてね!

よかったらシェアしてね
  • URLをコピーしました!

関連記事