MENU

地方

連載 | 田舎と田舎の二拠点生活

多拠点生活の長所・短所、向き不向き。

  • URLをコピーしました!

ひょんなことから、突如最終回に。これまで読んでくださりありがとうございます。最終話っぽくまとめます。あ、我が家は変わらず円満なのでご安心を(笑)

目次

一つの結婚スタイルを提案。

そもそも、私たちの二拠点生活を赤裸々に紹介する目的は、新しい結婚スタイルの提案。女性は、結婚を機に、暮らしてきた場所も、仕事も、苗字も失うことが多い。一方、日本では、晩婚化・未婚化、女性の社会進出が進み、地域にとっては若者の外部流出を防ぎたいと願う。そこで、「女性が多拠点を通う結婚生活」を視野に入れては?と思い、自ら実験し、伝えている。

さて、連載を始めた約4年半前と比べ、多拠点生活をする人や興味を持つ人が増えているが、女性が子連れで田舎と田舎を移動することは、未だ稀である。その理由は「大変」というイメージがあるからだろうし、実際に苦労は多い。

産後の多拠点生活の長所・短所。

まずは移動が過酷。前後の荷造りと片付けも。大人一人が移動するのとは訳が違う。住民票問題も大きい。例えば、認可保育園や幼稚園に預ける場合、住民票がある土地では無償になるが、ほかの拠点で子どもを預けるには、それなりの費用がかかる。このように、さまざまな子どもに対する補助は、利用する場所に住民票がある必要や、ほかの土地で利用できる補助があっても多くの手続きが必要なことが多い。

仕事においても、二拠点生活をしていると何かしら不都合が出ると思われがち。

しかし、それでも続けているのは、利点のほうが圧倒的に多いから。基本は旧姓で呼ばれているので、結婚前と変わらず仕事を続けることもでき、実家で暮らすときは、家事・育児・介護を、細部にわたって母と二人で臨機応変に進められる安心感がある。愛知県の家でも、夫の仕事を手伝う時間は学びが多く、人間関係や仕事内容、食の楽しみ方や世の中を見る視野も広がる。その多様性は自分の本質に気づかせてくれる。

多拠点生活の向き不向き。

人にさほど依存せず、ポジティブかつ軽やかに対応できる人が向いている。移動する人のみならず家族も。逆に、周りにお金や家事や精神を依存している人は難しいと思う。荷物が多い人、暮らしにこだわりが強い人にも不向き。なお、不審に思われがちなので、周りの人たちに「仕事のため」など、理由を公言しておくことも大切。

さて、連載が終わっても、私たちの二拠点生活はまだまだ続く。きっと思いもしない壁が待っているだろうが、先がわからないから人生はおもしろい。壁があっても乗り越えて、家族みんなと楽しんでいこう。

ある日の夫婦

 (92418)

昨年12月末から3月半ばまで移動を控えている。困ったのは夫の確定申告をするために必要な書類。例年なら夫と一緒に書類を揃えているが、今年はどうしよう? と相談したら、夫が笑顔で「送るよ!」。ちゃんとまとめて送ってくれた! 重ねてきた経験がものを言い、拠点の移動ができなくても、事が前に進むようになったと感慨深くなった。
くろしま・けいこ●醤油とオリーブオイルのソムリエ&Webとグラフィックのデザイナー。小豆島の醤油のまちに生まれ、蔵人たちと共に育つ。20歳のときから小豆島を拠点に全国の蔵人を訪ね続けては、さまざまな人やコトを結びつけ続ける。2017年7月に、愛知県の幡豆で無農薬で大豆と米を育て、米・豆・麦の麹を造る『宮本農園・みやもと糀店』の宮本貴史と結婚し、2018年7月に娘を出産。高橋万太郎との共著『醤油本』を出版。

記事は雑誌ソトコト2022年5月号の内容を本ウェブサイト用に調整したものです。記載されている内容は発刊当時の情報であり、本日時点での状況と異なる可能性があります。あらかじめご了承ください。

この記事が気に入ったら
いいね または フォローしてね!

よかったらシェアしてね
  • URLをコピーしました!

関連記事