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地域が愛おしくなる「聞き書き」。

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 約3100人が暮らす秋田県・藤里町。この町の役場職員の佐々木吉昭さんは、「町制施行50周年記念事業」で町民の人生をインタビューして文章にする「聞き書き」を提案するも、「そんな高尚なことはできない」「できても誰が読むのか」と厳しい反応が返ってきた。しかし、賛同者をなんとか得て取り組むことになり、聞き書きの名手で作家の塩野米松さんや県内の大学生の協力も得て町民30人に聞き書きを実施し、一冊の本にまとめた。「楽しいことは何か、また、苦しい時をどう乗り越えたかを聞いて文にまとめているうちに、ここはいいところじゃないかと感じられた。そして、話を聞かれた人も自身の人生が文字になったことを喜んでくれた。町民1人ずつが元気になっていくことが、地域を興すことだと思いました」。

現在は地域おこし協力隊の森将太さんらさまざまな人が引き継ぎ、聞き書きを受けた町民が今年で100人を超えた。地域への愛着が地層のように積み重ねられていく。

藤里町で聞き書きの活動を引き継ぐ、地域おこし協力隊員の森将太さん。滋賀県出身の森さんは聞き慣れない秋田弁に四苦八苦しながら町民の言葉にじっと耳を傾け、一つの文章にまとめ上げる。

text by Mari Kubota

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