下京区の大通りの交差点近くに立つ、『しづやKYOTO』と書かれたモダンな看板。石畳の細い路地に入り「離れ-HANARE-」を通り過ぎると、女性専用のゲストハウス「母屋-OMOYA-」の入り口にたどり着いた。外国人観光客に人気の京都では、ユニークなゲストハウスが増えてきたとは聞いていたが、ここには類を見ない特徴がある。歴史を感じるむき出しの梁が印象的な2階には、大きさ違いの個室が14室もあるのだ。
当主の松井知史さんは、祖母が長年簡易宿所を営んでいたが10年前に亡くなり、松井さんが予約管理を行っていた。築約60年の建物は老朽化が進んでいたが、松井さんは「京都に生まれ育っているので、残していく気持ちが自然に芽生えました」と話す。そして、伝統を守りながら維持していくことを考えた末に生み出されたのが、このコンパクトな個室だった。ホテルや旅館は気が引けてしまうが、静かな夜を楽しみたい一人旅の女性にふさわしいこの空間。京都での時間がより深いものになりそうだ。
2階の隠れ個室はコンパクトながら、クローゼット、デスク&チェア、京都の老舗寝具店『洛中高岡屋』のマットレスを備える。寝室は奥まったスペースにあり、秘密の隠れ家のような雰囲気が楽しい。