「オルレ」という言葉を聞いたことがありますか? 韓国の済州(チェジュ)島から始まったもので、島の方言で「通りから家に通じる狭い路地」を意味します。韓国ではトレッキングコースの総称として親しまれています。今回、済州オルレの姉妹版である「九州オルレ」のうち、福岡県・八女のコースの一部を歩いてみました。山頂を目指す登山も楽しいですが、オルレにはオルレならではの魅力がありました。
いざ、出発。
八女コースは、スポット①山の井公園から始まり、⑨岩戸山歴史文化交流館まで続いています。全部で11km。わたしは、巨大古墳である②童男山古墳を一目見てみたかったので、近くの駐車場に車を止め、ここからスタートしました。
いきなりすごい巨石です。どうやってここまで運んだんでしょう。ここだけヒンヤリとした空気。中は朱塗りの跡が残っており、棺身が収められていました。これまでいくつか古墳を見たことがありますが、中まで当時の状態が残っているのはめずらしいのではないでしょうか。
山の紅葉が色づき始めています。人が集中しないので、ゆっくり堪能できるのが嬉しいですね。
細い道を選んでこそ出会える景色
コース内の要所に標識が設置されているので、それに従って歩けばOK。
すると突然、道が開け、目の前に茶畑が! さすが「八女茶」の八女です。コース案内にはなかったので、思わぬ収穫でした。
近寄ってみると、可愛らしい花が控えめに咲いていました。ミツバチも音を立てて飛んでいます。遠くから茶畑を眺めていては見つけられなかった光景です。
コース選びから感じるセンスと気遣い
次のスポットへ導くリボンを発見。描かれているのは「カンセ」と呼ばれる済州島の馬です。カンセのオブジェがあった場合は、馬の頭が進行方向になります。木製の矢印の場合は、青は正方向、赤は逆方向を示しています。
道なりに進むと、なにやらドラマチックなアプローチが。どこへ導かれるのか、期待が高まります……。
道が開けました。かなり高いところまで登ってきたようです。ふうーっと深呼吸。先ほどまでいた茶畑があんなところに。山に囲まれた地域であるのがよくわかります。
少し息があがってきたところに、ちょうどよく(?)クイズが。これが意外とむずかしい……。しばらく立ち止まっていたので、いい休憩になりました。体力が戻ったので次のスポットを目指すことに。
新旧いりまじる文化を肌で感じる
次のスポットは③「犬尾城」。趣ある看板を発見しますが、これはオルレの標識……ではなさそうですね。昔から親しまれている遊歩道なのでしょう。
ちょっと踏んばってしばらく階段を登ると、犬尾城址に到着です。ここは、1191年に猫尾城主・黒木助能の嫡男・河崎貞宗によって築かれたのだそうです。
標高180mから見下ろす町の景色はこんな感じ。
ここまで約1.3km、ゆっくり歩いて40分ほどでした。次のスポット④八女中央大茶園は八女コースのハイライトのようなのですが、2km先のようなので、またのお楽しみに……。このあたりで折り返すことにしました。
山の名前も知らずに歩き始めましたが、歴史スポットや土地の暮らしを感じる茶畑、展望所、そして紅葉と、見所たくさんのコースを楽しむことができました。
その後、④〜⑧を車でスキップして、⑨岩戸山歴史文化交流館に寄って帰ったのはここだけの話……これも選択肢のひとつですよね。
ふだん自分では選ばないスポットに出会わせてくれるオルレコースは、とにかく発見の連続。ほかの地域にも行ってみたいと思いました。みなさんもぜひ、挑戦してみてください!
オルレの魅力まとめ
わたしが感じたオルレの魅力をまとめてみました。
・狭い路地を選んでいるので、その土地をより身近に感じられる。
・目印がていねいに配置されているので、初心者でも安心して歩ける。
・コースのうち歩きたいところだけ歩けばいいので、マイペースに楽しめる。
・観光地ではないスポットが組み込まれているので、新しい発見がある。
・密を避けて楽しめる。