「ヤマガタ」と聞いて、あなたはどこを思い浮かべますか?さくらんぼや米沢牛が有名な、東北の山形県…ともうひとつ。実は、岐阜県にも「ヤマガタ」が存在するのを知っているでしょうか。
岐阜市の北側に隣接する、山県市。地名の由来となった「山方」は、日本最古の戸籍に残る名前だといいます。
山県市は名古屋からも気軽に行ける距離にありながら、豊かな自然が魅力。水や山の絶景や、ワカサギ釣りなどのレジャーも楽しめます。最近では、大河ドラマの主人公・明智光秀のゆかりの地としてもスポットが当てられました。
…さて、ここまで聞いたら、岐阜の「ヤマガタ」に興味が湧いてきたのではないでしょうか?
最古の戸籍が証明する、「ヤマガタ」の名の歴史
2003年に、高富町・伊自良村・美山町の3町村が合併して誕生した「山県市」。市の名前は、市制施行前の「山県郡」から採られています。
山の方にある集落だったことから、古くは「山方」と表記されていたそうですが、やがて「山県」と書かれるようになりました。
「ヤマガタ」の名は、奈良時代以前には既に存在していたと考えられます。奈良の正倉院に現存する日本最古の戸籍のひとつ、大宝2年(702年)の『御野国山方郡三井田里戸籍』に、その名が記されています。
※律令制の時代、現在の山県市一帯は、御野国(みののくに)山方郡(やまかたのこおり)と呼ばれていました。
誕生してから20年足らずの新しいまちですが、その名前が生まれたのは1300年以上も昔のことなんですね。
山県市へのアクセス
■電車+バスで
山県市へのアクセスは、公共交通機関ならばJR・名鉄岐阜駅から岐阜バスに乗るのが便利。市の南部までは約40分、北部までは約90分で到着します。
2021年6月1日には、「山県バスターミナル」が運用開始されたばかり。鉄道駅がない山県市。公共交通の利便性を高めようと、市の玄関口として整備されました。岐阜駅からのバスが乗り入れるほか、土日祝日1往復の高速名古屋線も運行されています。
■名古屋から車で
車の場合、名古屋から南部までは東海環状自動車道 山県IC経由で約60分、北部までは東海環状自動車道 関広見IC経由で約85分。
岐阜市や名古屋市からもう少しだけ足を伸ばせば、山に囲まれた美しいまちが待ち受けます。外出自粛が落ち着いた後のおでかけ先の候補にしてみては?
自然が生み出す神秘の絶景「円原の伏流水」
山県市の観光スポットとしてよく取り上げられるのが、「円原の伏流水」です。
伏流水(ふくりゅうすい)とは、流れる水がいったん地下に潜り込み、再び岩間から湧き出ること。こんこんと湧き出る水。その青さを引き立てる緑の苔。美しく神秘的な光景は、「ぎふ・水と緑の環境百選」にも選ばれています。
夏場の朝には、気象条件によって、「光芒(こうぼう)」の絶景が見られることで話題。光芒とは木々の間から差し込む太陽の光のことで、川霧に光が反射すると、輝く光のカーテンが出現するのです。
光芒が発生するといわれるのは、7・8月の早朝7時30分~9時頃(8時頃がピーク)。岩場の苔を踏み荒らさないよう、注意して楽しみましょう。
※大雨による落石・土砂崩れの治山工事を実施しているため、工事期間中は工事区間付近の市道は全面通行止めとなっています。工事期間は2021年5月24日~2022年2月15日予定(現場状況や天候により期間が変更となる場合もあり)。この工事により、伏流水の湧水ポイントへの通り抜けができませんが、その手前までの道中でも川へ降りられる場所、光芒が発生する場所があります。
ワカサギ釣りが楽しめる「伊自良湖」
「伊自良湖(いじらこ)」は、周囲約2.4km・水量54万tの人造湖です。春は桜、夏は深緑、秋は紅葉、冬はワカサギ釣り。どの季節に訪れても、一年中楽しめます。
ぜひ体験してほしいのが、ワカサギ釣り。9月の解禁日から春にかけて、湖上が釣りボートでにぎわう光景は、伊自良湖ならではの風物詩です。
湖畔にあるカフェレスト施設「ラブレイク」にて、釣竿のレンタルも行っています。手ぶらで気軽にワカサギ釣りに興じてみては。
伊自良湖は“恋人の聖地”として認定され、モニュメントが設置されています。これにちなみ、「ラブレイク」ではピンクラーメンやピンクカレーなどのメニューを提供。インパクト抜群のビジュアルですが、味もしっかりおいしいと評判です。
希少なイワザクラが自生する「舟伏山」
山県市にある山のうち、「舟伏山(ふなふせやま)」「釜ヶ谷山(かまがたにやま)」「相戸岳(あいどだけ)」の3つは「三名山」と呼ばれます。
最も標高が高いのは、舟伏山(1,040.3m)。希少なイワザクラなど、春には山野草花を咲かせます。道が整備されていて、登山もしやすい山。山頂までは2時間半程度で登ることができます。
大桑城跡の発掘調査&雲海の絶景が話題「古城山」
山といえば、もうひとつ紹介しておきたいのが「古城山」。美濃国守護土岐氏最後の居城であった「大桑城跡」がある山です。山頂には、30年ほど前に地元の方々が設置したという、ミニチュア大桑城もあります。
これまで謎が多い場所だった大桑城。国指定史跡登録をめざし、2020年度からは本格的な発掘調査が開始されました。
最近では、古城山は雲海が見られる絶景スポットとして知られつつあります。雲海がよく見られるのは、秋から冬にかけての早朝。天候や湿度・寒暖差などの条件が揃ったときに出現するとのことです。
雲海が見られなくても、山頂からの眺めは絶景。岐阜市の金華山(岐阜城)、天気が良ければ名古屋駅の高層ビル群、はるか伊勢湾まで見渡せます。
甘い干し柿に、柿渋染めに…山県の特産品「伊自良大実柿」
毎年11月中旬になると、伊自良北部の平井地区周辺で見られる、鮮やかなオレンジ色のカーテン。実はこれ、「伊自良大実柿(いじらおおみがき)」というここでしか栽培されていない渋柿なんです。干し柿を吊るした風景は「伊自良大実連柿(いじらおおみれんがき)」と呼ばれ、山県の秋の代名詞として定着しています。
連柿は、渋柿を天日にさらして甘い干し柿をつくる技法のひとつ。元の柿が渋ければ渋いほど、干した後には甘くなります。一般的な干し柿は糖度50度前後といわれるところ、伊自良大実柿の場合は糖度66度にもなるのだとか。
購入できるのは、農産物直売所「てんこもり」や「しゃくなげの里」。12月中旬あたりから出回ります。
伊自良大実柿はかつて、柿渋染めの染料としてよく使用されていました。時代の流れとともにいったんは途切れていた文化ですが、継承・維持しようと立ち上がった若者たちの力によって復活。伊自良の平井地区にある「柿BUSHI」にて、柿渋染め商品の販売や、柿渋染め体験を行っています。
「ヤマガタ」の名の通り、美しい山があり、山から派生した文化や歴史が残る山県市。魅力はまだまだ紹介しきれません。レジャーやグルメ、そして、まちの人との出会い…。まだ見ぬ山県市で、あなたなりの楽しみを見つけてみませんか。
▼山県市の魅力発信サイト「やまなび」
https://www.city.yamagata.gifu.jp/site/yamanavi/
▼「はじめての山県市めぐり」
https://www.kankou-gifuyamagata.jp/