先日、富山県滑川市でランチを取材した時のこと。温かいそばの横にあった、真っ黒なおにぎりに目が釘付けになった。お店の人に聞いたところ、これは地元でよく食べられている昆布のおにぎりだ、とのこと。ほどよくお酢が効いた昆布があとを引くおいしさで、取材後すぐに近所のスーパーで購入した。ごはんのお供にもぴったりで、我が家の定番になっている。
富山県では、ほかにも昆布締めなど多くの料理で昆布が使われており、全国有数の昆布消費量を誇っている。とはいえ昆布がたくさん採れるわけではない。ではなぜ?始まりは、江戸時代に日本海を回っていた北前船に積まれていた北海道の昆布を、富山の人が買っていたことだという。その後、明治時代には多くの富山県民が北海道に渡り、昆布漁に従事。富山への帰省の際、昆布を持ち帰っていた。北海道とのつながりが、富山の食卓に昆布を定着させたのだ。これからは昆布が結んだ「つながり」にも思いを馳せながら、食べ続けていきたい。
富山県高岡市にある、創業72年の昆布屋さん『室屋』の「素材探求黒とろろ昆布」でつくったおにぎり。原材料は昆布とお酢だけなので、おいしいだけでなく、 身体にもやさしい。