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移住・定住

瀬戸内海に浮かぶ江田島へ移住。田舎で古民家をDIYしてカフェとホステルをオープン

鍋田ゆかり

鍋田ゆかり

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フェリーで島へ行くのはもちろん、広島県呉市から橋を渡って陸路でも訪れることができる、江田島。2015年に江田島へ移住した吉井貴子さんと、夫であるアメリカ人のブレンダン・エドワーズさんは、自分で改修した古民家でカフェや民泊を行っています。彼らがホストを務める「EDO FIRE HOSTEL」に宿泊したライターが、移住の経緯や現在の暮らしについてリポートします。

目次

なぜ江田島へ移住したのか

広島市内で生まれ育った吉井さんは、ワーキングホリデーでカナダを訪れたときにブレンダンさんと出会いました。二人でベトナム、日本、ハワイ、アメリカ、カナダなどを旅して、南米には2年滞在。
チョコレート作り

チョコレート作り

ペルーで現地のカカオ生産者に、チョコレート作りのワークショップをするエドワーズさん。 写真提供:Edwards Roastery Cafe
「ペルーはどこに住んでも家族みたいで、人のオープンさが印象的でした。日本には建前があって息苦しさや生きにくさがあるけど、南米にはそれがなくて、どこでも息をするのが楽で、生きやすい印象がありました」

そう話す吉井さんは3歳のときにアトピーだった経験があり、南米を訪れた30歳で再びアトピーになってしまったそうです。カナダではナチュラルメディスンであるハーブについて学んでいたので、それを南米で試して半年で治したのだとか。

旅を終えてそれぞれの国へ帰った二人ですが、吉井さんがアメリカへブレンダンさんに会いに行ったとき、「一カ所で何かをやってみよう」という話になり、ブレンダンさんが日本へ来ることになりました。

山口県の島も見に行きましたが、吉井さんの実家が近くてアクセスのいい江田島の空き家バンクで、今の家を見つけ暮らし始めた二人。ブレンダンさんと出会ったカナダのソルトスプリングアイランドと、島のサイズ感やライフスタイルが似ていたことが決め手でした。

ソルトスプリングの様子

ソルトスプリングの様子

ソルトスプリングの様子。 写真提供:Edwards Roastery Cafe
江田島は、マリンスポーツや何かを始めようとする移住者が増えていて、熱気を肌で感じられる場所でもあるそうです。

めぐりめぐって元の場所へと還る、循環する暮らしとカフェ

吉井さん夫妻が運営している『Edwards Roastery Cafe(エドワーズロースタリ―カフェ)』は、住宅が点在するエリアの一番奥地にあります。もともと、カフェをする予定はなかったと吉井さんは話します。

「家が奥地にあるから、人に訪れてもらうための場所を作ろうと思いました。最初は、“コミュニティ・クリエイション・サンデー・パーティー”を不定期で開催。誰もが出店を初体験するような場で、みんなで飲食店やガレージセール、レザークラフトの体験、染め物をやったりジュースを作ったり、ミュージシャンが来て音楽の演奏などもしたりしていました」

コミュニティ・クリエイション・サンデー・パーティーの様子

コミュニティクリエーショサンデイパーティーの様子

コミュニティクリエーショサンデイパーティーの様子。 写真提供:Edwards Roastery Cafe
二人は解体現場からもらってきた廃材などを利用してコツコツと家の改修を進めつつ、2019年4月にようやくカフェがオープン。自作の薪窯で焼いたピザや、パンなどを提供しています。
ピザ窯でピザを焼く

ピザ窯でピザを焼く

直火で焼くカフェの手作りピザ。 写真提供:Edwards Roastery Cafe
一番おいしく料理ができて、灰を畑へと循環させることができる薪料理にこだわるエドワーズさん。それは『EDO FIRE HOSTEL』のトイレにも表れていて、コンポストトイレを自作して設置しています。
畑で採れたニンジン

畑で採れたニンジン

畑で採れたニンジン。 写真提供:Edwards Roastery Cafe
「お金や無駄なエネルギーを使わなくてもいいナチュラルシステムは、スマートでベストだ」

エドワーズさんはにっこり笑いながら、そう言います。

子育てをサポートする人をサポートするカフェ

エドワーズさんがコツコツとカフェやホステルをDIYしている間に、吉井さんは独学で保育士の資格を取得。現在は広島市内にある放課後児童クラブで働き始めて、6年目になります。江田島から車とフェリーで市内に通勤する人も多く、特別大変なことではないそうです。
収穫体験

収穫体験

畑で野菜の収穫体験をお手伝いする吉井さん。 写真提供:Edwards Roastery Cafe
「子どもたちが人付き合いで困ったことや、問題をかかえたときに、1mmでもいい方向に行けるお手伝いができたらと思っています。まずは集まる場を作って、のびのびと息ができる場を増やして、横のつながりである親や、教える人教えられる人といった縦のつながりである関係だけでなく、それ以外の斜めの関係がいっぱいできるようにしたい。そういう場でしか出せない、子どもの顔も大切にしていきたいと思っているんです」

そう話す吉井さんは、カフェで「エドワーズ的子育てカフェ」を開いています。子どもたちは昔遊びやボードゲームを楽しみ、親はゆっくり話しができる場を提供。今は親の看病をしているため、吉井さん自身時間に余裕がありませんが、「子育てをサポートする人をサポートするカフェ」から何か始まればいいなと思いながら、自分に余裕があるときに、他の人の手伝いを無理なくやるというのが吉井さんの考えです。

エドワーズ的子育てカフェ

エドワーズ的子育てカフェ

エドワーズ的子育てカフェの様子。 写真提供:Edwards Roastery Cafe
無駄なエネルギーを使わずに循環する暮らしを目指すエドワーズさんと、子育てをする人をサポートしたい吉井さん。二人が作り上げるカフェは、これからもより一層心地よい場所へと変化していきそうです。

エドワーズさんの手作り料理や、コンポストトイレを取り入れた循環する暮らしを体験したい人には、「EDO FIRE HOSTEL」もお勧めです。窓から見える田園風景に癒やされながら、ゆったりとした時間と美味しい食事を堪能できますよ。

ウェルカムコーヒー

ウェルカムコーヒー

エドワーズさんが淹れてくれたウェルカムコーヒーと、部屋の窓から見える雨上がりの景色。
facebook:https://www.facebook.com/EdoFire/

写真:Edwards Roastery Cafe、鍋田ゆかり
文:鍋田ゆかり

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