人は人、自分は自分。やりたいことをやるのに年齢は関係ない|フリーランスエディター&ライター・平井安芸子さん

連載 | フェムコト | 17 人は人、自分は自分。やりたいことをやるのに年齢は関係ない|フリーランスエディター&ライター・平井安芸子さん

2022.12.14

地方で働く女性、都心で働く女性、子育てをしながら働く女性、さまざまなライフスタイルを送る女性たちを取り上げ、女性の健康課題や社会課題について考える対談コンテンツ『フェムコト』。 今回対談させていただいたのは、フリーランスエディター&ライターの平井安芸子さん。日本とイタリアの2拠点生活を目指す中で、マインドに大きな変化があったと言います。ライフスタイルやパートナーについてなど、イタリア移住を経て感じたことを、お話ししてもらいました。

−平井さんの3つのルール−

RULE1.勇気を出す前にまず行動する

RULE2.自己肯定感高めに生きる

RULE3.自分の心や体に正直になる

〈Profile〉
フリーランスエディター&ライター・平井安芸子(ひらい・あきこ)さん
●ファッション雑誌『GLITTER』副編集長を務めた後、NYLON JAPAN編集部にて勤務。同時に専門学校のマスコミ学科非常勤講師として約7年間、雑誌編集者を目指す生徒の指導にも携わる。2015年よりフリーランスとして活動しつつ、2019年マルタ島短期留学、2020年イタリア留学をきっかけにイタリアへ活動の拠点を移す。現在は、日本とイタリアの2拠点生活を模索しながら、夜な夜な大好きなイタリアワインを堪能中。

instagram:@hey_aco

収入が減っても心や体が満たされるライフスタイルに変化

フェムテックtv:2019年にマルタ、2020年にイタリア留学をされて今に至るとのこと。まずはその経緯をお聞かせください。

平井さん:マルタ留学を決めたときは、35歳。英語は22歳くらいのときに1年ほどオーストラリアに住んでいたので、英語力がゼロではありませんでしたが、もっと勉強してキャリアに活かしたいと思っていました。でも日本にいると仕事が優先になってしまう。だったらいっそ海外に行ったほうがいいと思ったのがきっかけです。留学先にマルタを選んだのは、英語圏で海があったから。小豆島で育ったからか、ライフスタイルに「海」の存在は欠かせませんでした。友人が留学エージェンシーの仕事をしていたこともあって、マルタにできた新しい学校を勧められ、行くことにしました。

「マルタのSaint Julian’sにあるロックビーチ。自宅から近かったので時間があればサクッと泳ぎに来てました」

フェムテックtv:一歩踏み出す際、勇気は必要なかったですか?

平井さん:んー、なかったです。ただ友人には「その年齢で行くの?」 「フリーランスになって仕事が増えるいいタイミングなのにね」と言われたり、親には驚かれたりという反応はありました。でも、それはそれ、自分は自分。生きていく中で、あとから“これをやっておけばよかった”とは思いたくない。年齢も関係ないと思っています。まずは行動したほうがいい。

1回行ってみて合わなくて帰ってくるのと、行かずに行けばよかったと思うのは全然違いますから。リスクはあるかもしれないけど、行かないほうが自分にとってマイナスだと感じました。今回のことだけでなく、いつもそう思って生きている気がします。

とはいえお金の心配はあったのである程度お金を貯めること、担当連載のことやお世話になっているクライアントへの報告など、いろいろあり、準備期間に2~3年ほどかかりました。

「マルタから帰国する数日前に仲良しのPilarとルーフトップバーへ。彼女とは今でも頻繁に連絡を取る仲」

フェムテックtv:現在、イタリアを拠点にしていらっしゃいますが、日本で編集者として働いていた頃のライフスタイルやメンタリティと、違いはありますか?

平井さん:そもそも私のイタリア留学は、6カ月計画でした。ダメなら帰国しようとビザも6カ月しか申請せず、フットワーク軽めに来ましたが、気づけばそこから約2年半経ちましたね(笑)。

日本で働いていたときは、あれもこれもとやりたいことが多すぎて、すごく欲張りな自分がいました。出版社で働いていた頃は、月刊誌を制作しながら季刊誌や別冊、それに加え海外出張などをこなす日々。刺激的で充実していたので苦ではなかったですが、あまりプライベートを重視しない生活を送っていました。

ただ、フリーランスになってからは、実家である香川の小豆島に長期間戻れるようになったり旅行に行ったりと、心に余裕が出たと思います。イタリアに来てからの最初の2年半はコロナ禍でのパンデミックもあり、自宅で学生として過ごすことがほとんど。仕事もあまりなかったので、ゆっくり自分のことを考えたり体を大切にしたりする時間が取れました。今はいろんなものが削ぎ落とされて、軽くなった状態で過ごしています。

「ミラノの語学学校のクラスメイトと。パンデミック前はよく友達の家に集まって遊んでいました」

フェムテックtv:収入的にはだいぶ減ってしまいますよね? 

平井さん:だいぶ減りましたね。ただ日本にいるときのように、お金を使うこともないんです。東京って、情報も多ければ誘惑も多い。もちろんミラノも大都市ですが、東京とは全く違います。夜中に営業してるお店も少ないので、飲みに出かけることが減りました。

さらに、お酒が飲みたいなら、友達と公園や外のベンチに座って飲めばいい。ここには、お金を使わなくても満足できることが、いっぱいあるんですよね。旅行とは違い時間に焦るというのもないので、自分のペースで過ごしています。

フェムテックtv:1日のスケジュールはどのような感じですか?

平井さん:大体6~7時に起きてエスプレッソを飲んでニュースを見たら、7~8時くらいから仕事をしています。イタリアと日本では8時間、サマータイムだと7時間の時差。イタリアが12時のとき日本は19~20時なので、日本企業の終業時刻なんですよね。だから午前中には仕事を片付けないと、効率が悪くなるんです。そして、お昼にパートナーが仕事から帰ってくるので、一緒に食事をします。午後からは、忙しい時期や締め切りがあると仕事をしますが、それ以外は、家のことをしたり友人と会ったり、自分の時間を過ごすことが多いですね。

そして、イタリアには、アペリティーボという習慣があるんです。食事の前にお酒を飲みながら、オリーブなどをつまむ時間なんですが、パートナーと“アペ”をすることで、会話の時間も増えます。その後、二人で夕食を作るのが日課です。

「ミラノに住んでいた時によくアペしに来ていたDEUS CAFÉ。アペの時間になると満員になる人気スポット」

仕事もしたいし子供も欲しい……女性として葛藤はある

フェムテックtv:イタリア人パートナーとはマルタ留学の際に出会い、その後イタリアで一緒に住み始めたんですよね。

平井さん:そうですね。そのときは、イタリア語は全くわかりませんでした。パートナーとは国籍が違うからこそ、文化や習慣の違い、将来のことなどいろんな話をすごくたくさんします。最近だと子供の話をするようになりましたね。ただ、自分の中で葛藤もあります。仕事もしていきたい、でも子供も欲しい。どうしても出産にはリミットがありますよね。なら卵子凍結する?とか。日本では周りでも始める人は増えている印象ですが、イタリアではあまり理解されてないなと感じます。

イタリアでは自分たちのタイミングで欲しいと思ったときにもしできなかったら、養子縁組をするという考えもあるんですよね。あまり血の繋がりにこだわらないのか、養子縁組のハードルは日本ほど高くないと感じます。イタリア人からすると、年齢の制限があるからって無理やり標準を合わせるのではなく、そのときできる最善のチョイスをする。大前提として“自分の人生を楽しむ”というのがあるのかなと思います。

「パートナーと南で過ごすバカンス。Santa Mariaにあるタラソスパからの帰りで、身も心も解放されてリラックス状態」

フェムテックtv:日本とイタリアの医療制度の違いもあるのでしょうか。

平井さん:イタリアでは国民健康保険に加入すれば、公立病院での医療費が無料で、優れたシステムだと思いますが、病院で感じるストレスは日本の10倍です。実際に私もイタリアで骨折して手術をしましたが、病院で受付をしてからレントゲンをとるまで8時間も待たされました。さらに手術当日も、病院で待機していると緊急患者が入ったということで、手術が翌日に延期されました。病院の予約も2~3カ月後になるのが普通なので、日本のように簡単に病院へ通うことができないんです。日本の医療施設は素晴らしくて充実しているので、そういう背景もあるかもしれません。

さらに、住んでいるエリアにもよりますが、体外受精や人工授精などは公立の病院だと無料で行えるらしいのですが、予約が1年後、2年後、さらに対応がかなり雑だと聞きました。待ちたくない人は、プライベートの病院へ行くという選択肢があるのですが、医療費は高額になります。

「2022年の夏、スケートボードの世界大会ファイナル前に、選手にインタビュー中」

フェムテックtv:子供について考えるとき、自分の体のことも少なからず考えると思います。平井さんが抱える健康課題などはありますか?

平井さん:6~7年前に子宮頸癌の円錐切除(えんすいせつじょ)をしてるんですね。見つかったのは20代後半で、同じ病院に年4回定期的に通う生活をしていました。当初はお医者さんも「2年くらい様子を見よう」という感じだったのですが、忙しくしていたからか3~4年経っても一向によくならなくて。「急に悪くなって手遅れになってしまわないように手術しようか?」ということで手術しました。
今はゆったりした生活を送っているので、手術後の経過も順調で、体調もいいと思います。

フェムテックtv:体調がいいと心も健康になりますよね。

平井さん:イタリアに3年住んでいて一番感じるのは、イタリア人の自己肯定感の高さ。その影響を受けていますね。パートナーや友人もそうですが、自己肯定感の高い人って「すごいじゃん!」 「絶対できる!」と人を褒めたり自分を高めたりする能力がすごく高い。だから一緒にいて幸福感を感じられ、それが自分の自信と強さに繋がる。それだけで心が満たされ欲がなくなり、笑顔も増えた気がします。

執着せずに手放すことで見える世界がある

フェムテックtv:イタリアのフェムケア事情に関しても教えてください。

平井さん:小さいドラッグストアでも、デリケートゾーンのソープだけで種類がたくさんあります。イタリア人女性は、自分のコンディションに合わせてソープも使い分けているという話も聞きました。男性にとっても、デリケートゾーンケアは主流みたいです。

フェムテックtv:平井さんが取り入れているフェムテック・ケアはありますか?

平井さん:私は日本の製品を愛用しています。今まで使用したデリケートゾーンのソープで一番のお気に入りは『FI ME KA(フィメカ)』。泡タイプで使い勝手がよく、洗い心地がいいんです。『KI’ORI(キオリ)』のピュアシルク100%オーガニック布ナプキンは開発者の方自身が肌のかぶれに悩まされ、そこから生まれた商品。だからすごく信頼できます。

「ドラッグストアのフェムケアコーナー。手に持っている右側がUOMO(男性用)、左側がLittle girls 3-14Y(小さい女の子用)用のデリケートゾーンソープ」

フェムテックtv:心身ともに心地のいいライフスタイルを過ごされているように感じますが、今後のライフプランはどう描いていますか?

平井さん:好きな仕事なので、ずっと続けていきたいですね。現在、30歳を過ぎてから海外で暮らし始めた友人3人と『IM HERE』というサイトを立ち上げ、海外で暮らす方々にインタビューをしています。サイトを通じ“海外に行きたいけど行けてない”人に何か伝わるものがあればいいなと思っています。

パートナーとは子供を授かったら籍を入れるかもしれませんが籍を入れること自体にはそこまで重きは置いてないです。イタリアでは離婚するのに最短でも6カ月~1年間別居しないといけないなど決まりがあるので、事実婚が多いらしいですが、私もライフスタイルの多様性は良いことだと思うので、自分たちに合うパートナーの形を取れればそれで良いと思っています。

「サルデーニャ島。ボートを漕いで沖まで行ったら海へジャンプ、ここで眺める景色が最高に気持ち良い」

フェムテックtv:日本とイタリアでのあらゆる違いに、驚きました。最後に、平井さんが思うウェルビーイングな社会とは?

平井さん:自分の心や体にナチュラルでいること。例えば、お腹が空いたらパンを食べる、疲れたら寝る、うれしかったら笑う哀しかったら泣く、ムカついたら怒る。自分の感情や体が欲しているものに従って健康に生きる。

さらに、夢ややりたいことを仕事やプライベートで叶えていく中で、絶対主義者になってしまうのはよくないとも思っています。ほどよく執着しない、思い切って手放してみることも大事なことだと感じます。

フェムテックtv
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