2020年6月1日、沖縄県宜野湾市にオープンした「REPRESENT OKINAWA(レペゼンオキナワ)」。県内41市町村の名称をカレッジ風デザインに落とし込み、表現されたTシャツが話題を呼んでいる。子どもから大人まで幅広く着られるデザインで、お土産にも喜ばれそうだ。運営する合同会社ミドル 代表のCUE(キュー)さんに話を聞いた。
ホームタウンを誇り、愛していく
ブランド名でもある「REPRESENT OKINAWA」のREPRESENTは“代表する”という意味。
自分の生まれ育った故郷、移り住んだ土地の自然や文化にもう一度目を向け、「ホームタウンを誇り、愛していく」事をコンセプトに2018年に立ち上がった。
沖縄県出身もしくは在住であれば、店内に並べられたたくさんのTシャツの中から思わず自分の出身の市町村を探してしまうのでないだろうか。
デザインも市町村によって1つ1つこだわりが見られる。
カレッジ風と呼ばれるスポーティーなデザインは、シンプルでありながら洗練された印象を受ける。うるま市の「闘牛」や、東村の「パイン」など、デザインのモチーフとして各市町村を象徴するものが表現されているのも魅力的。
老若男女問わず親しみのあるデザインは、日常の中で着る人に馴染み、特別な一着になりそうだ。
REPRESENT OKINAWA 代表 CUE(キュー)さん
ソトコト(以下ソ):CUEさんのこれまでの簡単な経歴と、ショップオープンまでを、きっかけなどをふまえて教えて下さい。
CUEさん(以下C):大学卒業後は、グラフィックデザインを中心にweb, イラスト、サウンド制作など垣根を作らずいろいろなお仕事をさせてもらっていたのですが、アパレル業界にも興味があり、自身でデザインしたグラフィックをTシャツに落とし込み販売したのがきっかけです。
クリエイティブの垣根を越えて様々なお仕事をさせていただいている中で、ある日ふと、
「自分って何なんだろう?」
と考えたことがありました。
好きな事をしているはずなのに何がしたいのか分からない…そう思うようになり、自分自身が分からなくなってしまいました。
そんな中、偶然立ち寄った古着屋で「SAN DIEDO(サンディエゴ)」や「TEXAS(テキサス)」とプリントされたTシャツを見たときに
「これだ!沖縄の地名のTシャツがあったら面白いな」
と思ったんです。
外国の人は自分の出身校や、出身地に誇りを持って堂々と着ているけど、日本人って、出身校や出身地がプリントされてあると恥ずかしくて着づらいんだろうなと。
そこで、沖縄の地名をカレッジ風なデザインに落とし込んでみようと考えたわけです。
ただ単純に地名をカレッジ風にデザインするだけでは面白くない。
自分の故郷にもう一度目を向け、その素晴らしさを知り、誇り、愛してほしい。
「REPRESENT OKINAWA」というブランド名にはそんな願いを込めました。
2018年にこのブランドを立ち上げ、店舗オープンまでにポップアップストアやイベントなどで商品を販売してきました。
生まれ育った場所や思い入れのある街のTシャツを着用したり、お土産やプレゼントにと購入されたりと、お客様の笑顔に元気をもらってきました。ネットでも販売しており、県外の方々にも好評を得ています。
ソ:41市町村のデザインを考えるだけでもかなり大変だったと思いますが、幅広い世代に好まれるデザインってとても難しいイメージ。デザインへのこだわりや大変だったこと、また周囲の反応などはどうでしたか?
C:大変だったことは、デザイン数の多さでしょうか。
Tシャツの制作はシルクスクリーンプリントを採用しているので、デザインの数だけ版が必要ということになります。
その製版作業ももちろんですが、ブランド立ち上げ時にはデザインからプリントまで一人で対応していたので、単純にマンパワー不足が最大の問題でした。
しかし、全市町村揃っていないと意味がないと思っていたので、どんなに小さな離島であってもデザインして展開すると決めていました。
初めてお披露目した時の周りの反応は、ありそうでなかった!やられた!って声が多かったように思います。
ソ:ありがとうございます。最後に今後の展望や野望などはありますか?
C:いつかは沖縄を飛び出して県外・海外に住むウチナーンチュ、沖縄を愛する人へ届けられるよう、しっかりブランディングしていけたらと思います。
プロフィール
◆CUE(キュー)/ 宮城 創(みやぎ はじめ)
沖縄県浦添市出身 。1979年5月5日生。
県内でグラフィックデザインやWEBデザイン、ゲーム音楽など、多岐にわたるクリエイティブに携わりながら、2007年に「合同会社ミドル」を設立。2018年に「REPRESENT OKINAWA」を立ち上げ、県内41市町村をテーマにしたTシャツの販売を行う。2020年6月宜野湾市に実店舗をオープン。
Alocasia vintage(アロカシア ヴィンテージ) 友知洋乃さん
「REPRESENT OKINAWA」店内にはもう1つ、「Alocasia vintage(アロカシアヴィンテージ)」の洋服が並べられている。
代表の友知さんにもお話を聞いた。
ソ:友知さんの経歴と、CUEさんとのショップオープンまでの道のり、今の仕事に至ったきっかけなどをふまえて教えて下さい。
友知さん(以下:友):私は京都の大学を卒業後、京都のヴィンテージショップを複数経営する会社に就職しました。
アメリカ、ロサンゼルスで駐在員バイヤーとして勤務していましたが、結婚を機に退職後、東京へ移り住みハイ
ブランドを取り扱うセレクトショップで働いていました。
その後、沖縄へ戻り、ヴィンテージのオンラインショップを開設するも、出産育児に追われ専業主婦歴約6年。子供の成長に合わせ少しずつヴィンテージの仕事を増やし、オンラインショップに加えイベント出店や取扱店での販売をスタートさせました。
2019年から1年間、夫の仕事の都合により一家でバルセロナに移住。1年かけてユーロヴィンテージを買い付けていました。
帰国後、沖縄で「REPRESENT OKINAWA」を立ち上げた弟に誘われて、一緒にお店をオープンさせ今にいたります。
ソ:ヴィンテージのお洋服や小物は都度現地で買い付けているのですか?また買い付け時のこだわりや大変な事、楽しい事はありますか。
友:商品のほとんどはスペイン・バルセロナで直接買い付けたものになります。
買い付けのこだわりは第一にコンディション重視。次に大人の女性が今のお洋服にも落とし込めて無理なくスタイリングできるもの。その他にヴィンテージやアンティークとして希少価値のあるもの、普遍的な美を感じられるもの、等があります。
大変なことはあまり無く(笑)、楽しいことはたくさんあります。これまで何万点ものヴィンテージを取り扱って来ましたが、それでも期待を遙かに超える、初めて見る素晴らしいアイテムとの出会いがあることが何よりの喜びです。
ソ:今後CUEさんと一緒に「REPRESENT OKINAWA」をどんなお店にしていきたいですか?
友:いつきても何か欲しい物がみつかる、宝物探しのわくわく感を感じられるお店にしていきたいです。洋服好き、音楽好きが気軽に集えるようなお店にもしたいですね。
プロフィール
◆友知洋乃(ともち ひろの)
沖縄県浦添市出身。ヴィンテージのバイヤーとしてLAに4年間在住。東京で3年間ハイブランドを取り扱うセレクトショップの商品部在籍。帰沖後6年間は専業主婦をしながらヴィンテージのオンラインショップを運営。その後県内外での取扱店で商品を展開、またイベント出店やポップアップショップ等による販売活動を開始。2020年弟の運営するREPRESENT OKINAWA内に直営店を開店。