就職を機に、遠距離恋愛となるカップルは多いのではないだろうか。それぞれが遠く離れた地で新生活を始めながら恋愛を続けていくことは、きっと簡単なことではない。今回は、破局の危機を乗り越えて今も遠距離恋愛を続ける、ある一組のカップルの話を伺った。これから遠距離恋愛を始める予定の人や、遠距離恋愛中の人は、一つの参考にしてみてほしい。
遠距離恋愛を始めるきっかけは、就職
今回お話を伺ったのは、北海道で小学校の教員をしている20代男性のSさん。同い年の彼女と交際を始めて5年目だという。そんなSさんに、遠距離恋愛の経験談を伺った。
――彼女とは、どのような出会いだったんですか。
北海道にある大学の同級生でした。他の友達も交えて遊ぶうちに仲良くなっていくうちに、という感じです。大学一年の時に付き合ったので、今5年目ですね。
――遠距離恋愛を始めたきっかけと期間を教えてください。
遠距離恋愛のきっかけは就職です。彼女もぼくも小学校の先生で。今は遠距離を始めて約2年になります。就職する前から、お互い北海道の教員になるって決めていたので、学生の頃から遠距離になる覚悟はしていました。
――遠距離になることはお互い受け入れていたんですね。場所はどのくらい離れているんですか?
北海道内の、車で3時間半の距離です。
――3時間半という距離はどう感じました?
遠距離になることはわかっていたので、ぼくは「割と近いな、よかったな」という印象でした。もし北海道の端から端まで離れてしまったら、会うのにすごく時間がかかる可能性もあったけど、3時間半で済んだので。「それぞれの場所でお互い頑張ろう!」という気持ちでした。
でも、彼女は違って。寂しいと泣いていました。その時ぼくは「それはわかってたことだし、一緒に頑張ろうよ」と言ったんですけど、今思えば「そうだね」って言ってあげればよかったですね。
遠距離恋愛を始めてみて、大変だったこと
それからSさんカップルは、それぞれ小学校の先生となり、遠距離恋愛を始める。遠距離になってからの会う頻度や連絡の頻度、大変なことなどを聞いてみた。
忙しくてなかなか会えなかった社会人一年目
――実際に遠距離恋愛を始めてみて、率直にどうでしたか?
就職してからの数か月は、お互い仕事が忙しくて恋愛どころじゃありませんでした。社会人一年目の時は仕事で一杯一杯で。
――忙しい中で、会う頻度はどうだったのでしょう。
最初は月1,2回でした。今は月3回くらいは会っていますけど。お互い1時間半くらいで会えるので、中間あたりで会うことが多いです。
――なかなか会えない分、連絡の頻度は増えましたか?
日々忙しいので、連絡がなかなか取れないんです。今でも連絡は一日一回くらい。LINEで「おはよう」とか「お疲れ」だけですね。
教員は明日の授業の準備があるので、帰宅してからも結構仕事があるんですよ。一人暮らしなので、食事や家事をしてから授業の準備をします。一日6時間分の授業、を子どもたちに教えるのって結構大変。ちゃんとした準備をしないと、45分間の授業がもたないし、子どもたちに分かりやすく、考えさせながら教えるのって簡単には上手くいかないので。授業の準備に一番労力を使うので、電話もほぼしません。その分、会った時にたくさん話すようにしていますね。
――同じ職業だからこそ、離れていてもお互いの大変さを理解できているのかもしれないですね。
遠距離カップル、どこでどのくらい会ってる?
――会う時はどこで、どのくらい会っていますか?
中間で会うこともあるし、お互いの住んでいるところまで行くこともあります。大体金曜の仕事のあとに出発して、日曜まで2泊することが多いです。
――仕事のあとに!大変じゃないですか?
それは大変ではないですね。会う時間が息抜きになっているので。それに、行くまでに時間がかかるので、短時間で帰ってくるのはもったいないんです。
――確かに往復7時間もかけて会うんだから、一回に会う時間が増えるのも分かるような気がします。
一番大変なのは金銭面
――遠距離恋愛をする中で、特に大変なこと教えてください。
一番はお金です。一人暮らしなので、家賃や生活費を全部自分で払うだけも大変ですが、食事代やガソリン代など、彼女と会う時のお金もかかるので結構大変です。その中でも、特に負担になっているのは宿代ですね。毎月お財布はすっからかんです(笑)
――お金のやりくりはどうしているんですか?
節約が苦手なので、あまり我慢せずに使っています。その分、お金は溜まらないんですけど。
――お金のほかに大変なことはありますか?
あとは移動ですね。時間もお金もかかるし、冬は雪道。なるべくお互いの負担にならないように、状況をよく聞きながら会う場所も決めています。来てもらってばかりだと相手が大変だし、行ってばかりだと自分が大変なので、大変そうならやめようかとか、自分が行こうかとか。
破局危機を乗り越えた方法とは?
2度訪れた破局危機、どう乗り越えた?
――2度破局の危機があったそうですが、別れそうになった原因は何でしたか?
遠距離恋愛はあんまり関係ないんです。考え方の違いというか。例えば、仕事の愚痴を彼女にこぼした時に、ぼくはただ聞いてほしかったんですが、「でも相手はこう思ってたんじゃない?」とか「それは言わない方がいいよ」とか言われてしまって。たまに会う楽しいはずの時間で、自分の話に正論で応じられてしまうと、楽しくなくなってしまうんです。そういうちょっとしたことの積み重ねですね。
――なるほど。もしも近くにいたら、日々の大変な様子も見えてきて、仕事の話にも共感してもらえたかもしれないですね。
確かに、それはあるかもしれないです。まったくお互いの日々の様子を知らないので、どれだけ疲れて帰ってきたとか、落ち込んでいたかも見ていないですし。別れそうになった時は、2回とも同じような理由でした。
――どのように乗り越えたのでしょうか。
お互いが納得のいく妥協点を見つけるまで、その都度話し合いました。違う人間なので、意見が衝突するのは当たり前。じゃあこれから上手くやっていくためにはどうしたらいいか、時間をかけて話し合いましたね。気持ちが切れたわけではなかったので。
――お互いに気持ちを切らさず歩み寄ったからこそ、乗り越えることができたんですね。
遠距離恋愛を続けるために気を付けていること
――遠距離恋愛をする中で、気を付けていることはありますか?
相手の話をよく聞くようにしています。離れていると相手が普段どれだけ大変か分からないし、ストレス溜まってることもあると思うので。
――破局危機のお話の中にもありましたが、話していて喧嘩になることはないんですか?
喧嘩はよくあります。でも、帰るまでに仲直りしないと嫌な気持ちで別れることになるので、その場ですぐ話し合って、解決するようにしています。
――話し合ったらすぐ仲直りできるの、すごいですね。
ぼくの場合は、自分の悪かったところを探すかもしれないですね。内心は相手が悪いと思っていても。間違ったことは言っていなくても、自分の言い方が悪かったなとか。言いたいことが伝わってなかったら、自分の伝え方が良くなかったかなとか。自分から悪かった部分を認めると、彼女も「わたしも悪かった」って認めやすくなるんです。そしたらその話はもうおわり。解決策というよりは、悪かったところを認め合うみたいな感じです。
――なるほど。また楽しく会うためにも、すぐ仲直りするのは大事なことですね。
大変な時期を乗り越えた、2人だけの関係
会わない時間はお互いに仕事を頑張り、会う時間を楽しむための、ちょっとした心がけや思いやりを持つ。遠距離恋愛を続けるのは簡単ではないと、今回のインタビューで改めて感じられた。
大変な時期もあったというが、Sさんは「大変な時期を一緒に過ごしたからこそ、関係が深まり今を楽しく過ごせるようになった」と清々しい表情で話す。これからは結婚に向けて進んでいくのだそう。距離を越えてつながる2人を、これらかも応援していきたい。