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場づくり・コミュニティ

連載 | NEXTSTAGE まちのプロデューサーズ2.0

ビジネスの側面から「地方が稼ぐ力」を模索する。後藤寛勝さん

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目次

目指す場所は、ソーシャルな視点を持った政治の世界のプレイヤー。

お話を聞いた人

NPO法人『僕らの1歩が日本を変える。』代表理事 後藤寛勝さん

横尾 地方創生という社会課題をNPOとビジネスの両方の面から見ている後藤寛勝さん。最近、まちづくりの分野では、地域の課題を解決するため、若者を中心にさまざまな取り組みが展開されています。取り上げられるものの多くはNPOや地方自治体が主体となる活動です。でも、後藤さんは、主にビジネスの面から地方創生に取り組んでいますよね。

後藤 学生の頃、NPOの代表という立場で、「若者の政治参加」をテーマにした活動をしていました。全国各地から高校生を集めて、国会議員とディスカッションしてもらうイベントの開催や、中学校・高校での主権者教育のサポートなどは成果を挙げる一方で、NPOの活動では、活動の広がりに限界があることも感じました。この分野の特徴かもしれませんが、「社会によい」とされることがお金にならず、それだけでは食べていけない状況がある。そこに違和感を覚えました。今は、ビジネスで稼ぐ能力を身につけつつ、どうしたら若者に地域や政治に参加してもらえるか、日々試行しています。

横尾 実際、ソーシャルビジネスを展開する会社のサラリーマンとして働いてみて、どうですか?

後藤 学生時代は、世の中によいことをひたすら追求していればよかったのですが、現在は、社会によいこととお金になることをバランスよく両立させることが必要です。発見したことは、ビジネスを追求すると、実はソーシャルアクションにも一段上の付加価値をつけることができるのではないかということ。生活者に、お金を払ってまでそこにコミットしたいと思わせるには、より強い課題設定とサービスの提供が求められるんです。ビジネスの視点を取り入れることによって、結果的に多くの人を巻き込め、活動自体が、より大きなものになるような気がしています。

横尾 逆に、課題はありますか?

後藤 今やっていることが、まちがよくなることにどれだけ貢献できているか、その評価軸が見えにくいことです。まちに住む誰の生活がどうよくなるのかを真剣に考えることで、その部分をはっきりさせる必要があると思っています。ビジネスパートナーは地方自治体と企業ですが、その先にいる住民の姿を見て活動することが大切だと思います。自治体からしてみると、今後地域をもっと盛り上げるためには、自分たちの魅力を的確に表現することが大切。そのためには、住民の声にもっと耳を傾ける必要がある。そこに外部者としての僕たちもお手伝いできる部分があると思っています。

横尾 最終的には政治の分野で戦いたいと思っているんですよね?

後藤 新潟市の市長を目指しています。僕が政治を志した原点は、昔は口々に夢を語っていた仲間のほとんどが高校・大学へ進学し、サラリーマンになるという一本道を通って、いつの間にかそれを忘れてしまう姿を見てきたから。その背景には、地域の雇用制度に問題があると思いました。NPOにもビジネスにもできないことは、国や地方の制度や仕組みをつくること。これまで学んできたことを使って解決したいと考えています。政治には、ともすると見落とされがちな、取りこぼされてしまう人や課題に光を当て、状況を変えることができる。そう考えています。

取材後記

後藤さんは、実は僕の事務所でもインターンをしてくれていて、ピカイチの活躍をしていました。NPOを続けつつ、今年からはサラリーマンとしても地方創生に関わる仕事に携わっています。「修業の身」として、慣れないことばかりで大変なようですが、素敵な上司や同僚に恵まれ、「一刻も早く組織に貢献したい」とか。

NPOで感じた課題をビジネスで解決しようと考え、さらにそれを政治の現場で活かそうという姿勢からは複雑な社会課題を分野横断的に解決する視点がつくられることが想像され、きっとこれからの世の中で必要なスキルなんだろうなあと思いました。将来は市長になり、「稼ぐ」自治体をつくって、多くの社会課題を解決してくれるものと期待しています。(横尾)

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