多様な視点で、地元のよさに気づく機会を。

連載 | NEXTSTAGE まちのプロデューサーズ2.0 | 21 多様な視点で、地元のよさに気づく機会を。

今月のまちのプロデューサー ナカノヒトミさん


 今回紹介するのは、地元・長野県佐久市でフリーライターとして活動するナカノヒトミさんだ。東京での就職、長野への転勤を経て、独立。現在は本業のかたわら、地元の高校生を対象にしたWEBメディアの立ち上げに奔走している。


 大学卒業後、地域産品を掲載したカタログギフトを製作したり、Uターン人材を獲得したい企業の採用支援を行ったりする会社『株式会社地元カンパニー』に就職。入社した年の年末、長野県の魅力を発信するWEBメディアの立ち上げが決まり、そのライターを任され、長野県にある支社への転勤となった。地元好きではあったものの、東京で働くことが憧れだったナカノさんは、突然の転勤に驚き、戸惑ったという。


 半年に1回の社長との面談で、社長はそんなナカノさんの気持ちの変化を見逃さなかった。「仕事は、誰かのためにするものだ。お金のためではなく、それを考えて仕事をしなさい」。そんな社長の言葉に奮い立ったナカノさんは、本業により力を入れることになるのだが、同時に一つのプロジェクトを思いついた。「休日提供プロジェクト」だ。自分の休日を他人のために使うと決め、長野県内であればどこへでも赴いて、見ず知らずの人に自分の時間を提供することにした。引っ越してきたばかりの人に観光案内をしたり、お父さんから依頼された、子どものバレンタインチョコづくりの手伝いなど、さまざまなことを引き受けた。プロジェクトを通して「人のためになるとは何か」を学ぼうと思ったのだ。


 「普段なら関わらないような人と関わることができたことが新鮮で楽しかったし、何より人に感謝されることが嬉しかった」とナカノさん。自分の視点だけではなく、外からの視点で地元を捉え直すことができた彼女は、次第に「もっと違うやり方で地元の良さを伝えていきたい」と思うようになった。


長野県上田市のブックカフェでマンガ好きを集めたイベントも行っている。
長野県上田市のブックカフェでマンガ好きを集めたイベントも行っている。

 独立して地元の情報を発信するメディアのライターやイベントのファシリテーターなどを手がけるナカノさんが今一番力を入れていること。それは、高校生向けのWEBメディアの立ち上げだ。自分もそうであったように、地方の高校生は漠然と東京に憧れていることが多い。東京に出てみて初めて、地元のよさに気づくのでは遅いこともある。だから、高校生のうちに地元のことを深く考え、地元で働く選択肢についても考える機会をつくりたかったのだ。


佐久市の高校生向けメディア『KIPPIS(キッピス)』は「乾杯」の意味。
佐久市の高校生向けメディア『KIPPIS(キッピス)』は「乾杯」の意味。

 「地元が嫌いだから上京するのではなく、この街には、これが足りないから東京で学んでくるぞ、といった気持ちをつくることができれば。メリット・デメリットを考えず、思い立ったらすぐ行動したほうがいい」とエールを送るナカノさんの次の一手も、すごく楽しみだ。

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