お笑い芸人と、就活アドバイザー。自ら新たな道を切り開き、活動されています!
お話を聞いた人
就活アドバイザー芸人 森川 剛さん
横尾 今回お話を伺ったのは、「就活アドバイザー芸人」として、若者の就職のミスマッチを解消するキャリアカウンセラーでもありながら、お笑い芸人としても活躍している森川剛さんです。なぜこのような働き方をするようになったんですか?
森川 高校卒業後、一度は就職したのですが、「お笑い芸人になりたい」という思いが捨てきれず、1年で仕事を辞めて、この世界へ足を踏み入れました。でも、お笑いだけではすぐに食べていけませんし、周りの芸人が目の前でどんどん有名になっていくのを見て、同じレースでは勝てないと思うようになりました。ご縁を得て、就活をしたことのない自分がキャリアカウンセラーの職業に就くことになり、現在は正社員として日々業務に取り組みながら週末を中心にお笑い芸人をしています。
横尾 会社の人も理解してくれているんですね。
森川 役員の方々は、理解したうえで採用してくださいました。でも、「特別な待遇」でいるのが嫌でした。同僚にも胸を張って芸人を続けたいと思い、カウンセリングの仕事で結果を残すことに注力しました。働ける時間が少ないから、逆に一つ一つの仕事の濃密さや生産性を重視するようになりました。はじめこそ大変でしたが、考え方を変えてから楽になりました。「就活アドバイザー」と「芸人」という2つの職種ではなく、「就活アドバイザー芸人」という一つの職種だと捉えるようになったんです。実際、就活の知識は芸に活きていますし、ネタづくりで調べたことや自分のキャリアも、コンサルティングに活用できます。僕にとってはどちらも本業なんです。また、芸人をやっているおかげで、「夢追い人」の気持ちが分かります。だから、アーティストや俳優を目指す人たちのセカンドキャリアについても、彼らと伴走できるんです。
横尾 最近、「働き方改革」を受けて個人がNPOで働いたり、自分が発見した社会課題を解決するためにソーシャルビジネスを起こしたりできる余地がたくさん出てきました。でも、何から始めたらいいか分からないという人もいます。そういう人たちにアドバイスするとしたらどんなことでしょうか?
森川 とにかく分からなくてもやってみることじゃないですかね。調べればすぐに答えがでてくる今の時代、重要なのは自分自身の経験だと思います。また、「夢追い人」に対しては、アルバイトではなく、就活をするべきだと言っています。舞台に立つために、シフト制のアルバイトに入る人が多いのですが、途中でお金が足りなくなって、だんだんアルバイトのほうに多く時間を注がざるを得なくなってしまいます。どうせ働くなら、また夢が叶わなかった時のリスクマネジメントを考えても、就職がオススメです。
横尾 最後に、今後のご自身のキャリアについて教えてください。
森川 まずは、「就活アドバイザー芸人」という唯一無二のポジションを確立したいです。そして、養成所や芸能事務所などと提携し、キャリアカウンセリングをしたいと思っています。夢を追いながらも一般的な社会に戻れる道を切り開いていきたいですし、「自分で道をつくる」という方法もあるということを多くの人に伝えられたらと思っています。
取材後記
異色なキャリアの持ち主の森川剛さんですが、取材中、強い眼差しで語っていたのは、「どうしたらこのレースで勝てるのかというよりも、自分だったら勝てるレースはなんなのか、なかったらつくってしまえばいい」ということでした。「自分にしかできないこと」を追求している森川さんは、今はプログラミングの勉強にも励んでいるそうです。これまでとは異なる考え方で、若者の就活のミスマッチを解消し、日本でも多様性のあるキャリア社会を実現していってもらればと思います。(横尾)