日本の子どもたちから寄贈されたシューズをアフリカの子どもたちに贈る「スマイル アフリカ プロジェクト」。この2月24日に、ケニア・ナイロビ近郊の街・キアンブで、「ランニング・イベント2018@ケニア キアンブ」を開催しました。子どもたちが力走したイベントの模様をレポートします。
シューズが持つ大切な役割と可能性。
日本で集め、アフリカの子どもたちに贈るシューズには、大切な役割と可能性の、2つの要素が秘められている。
一つは未舗装の道路や、擦り傷から始まる感染症などから子どもたちの足元を守ってくれる「命のサポーター」としての役割である。
もう一つは子どもたちに生きる喜びを感じさせたり、夢を持たせたりする「夢先案内人」としての可能性である。シューズを履いて走る楽しさを知り、より速く走ることを学び、そして、たとえばオリンピックを目指す。まさしく生きる喜びであり、夢ではないだろうか。
2月24日、夢に向かって駆け上がっていくための道具となるシューズの寄贈式と、それを履いて夢への第一歩を刻む子どもたちのためのイベント「ランニング・イベント2018@ケニア キアンブ」を、標高約2000メートルに位置するナイロビ近郊の街・キアンブで開催した。
日本から船便で送ったシューズは『ナイロビ日本人学校』の倉庫で保管されており、イベント前日、「スマイル アフリカ プロジェクト」のスタッフは、そこからシューズを会場へ運搬した。
そして、イベント当日、青空のもと、まずはキアンブの4校の小学校の児童に対し、プロジェクトをサポートしてくれている『三菱商事』や『ロート製薬』のケニア駐在社員らの手も借りて、806足のシューズを寄贈した。シューズを履くや子どもたちは誰もが笑顏になり、その場で跳びはねたり走り出したりして喜びを体いっぱいに表現していた。
マラソン大国ケニアのDNAを感じさせる力走。
また、ランニングの前には、会場に設けられたステージ上で即興の音楽やダンス大会が始まった。イベント実行委員長で、ソウル五輪男子マラソン銀メダリストでもあるダグラス・ワキウリさんの計らいによる、アフリカならではの明るいノリだ。音楽に合わせて子どもたちも軽快なステップを踏み、ランニングのウォーミングアップにもなったはずだ。
そして、手にしたばかりのシューズを履き、夢への第一歩を刻む緊張のランニングスタートとなった。4校の小学校から参加した男女児童・計359人が一斉にスタートを切った。
コースは野原と森の中を駆け抜ける3キロの周回コースだ。アップダウンに富み、石ころも転がる未舗装の部分も残され、決して足元にやさしいとはいえないが、受け取ったばかりの「命のサポーター」が守ってくれるから心配はいらない。難しいコースもなんのその、さすがにマラソン大国ケニアのDNAを受け継ぐ子どもたちだ。みんな、元気に走っていた。
男子のトップは11分31秒でゴールした。もしこのペースでフルマラソンを走りきれば2時間40分台だ。「夢先案内人」たるシューズは、これからが楽しみな可能性をも示してくれた。