「スマイル アフリカ プロジェクト」の現地協力法人である『ムパタ・サファリ・クラブ』は、東アフリカでのシューズ寄贈を精力的に行ってくれています。今回は、同法人代表の井上清司さんがケニアのマザレ・スラムで行ったシューズ寄贈のレポートです。
ケニアのマザレ・スラムでシューズ寄贈。
ケニアの現地スタッフからシューズ寄贈の活動レポートが届いた。
井上清司氏は、「スマイル アフリカ プロジェクト」の活動に協力してくれている『ムパタ・サファリ・クラブ』の代表で、これまでケニアのスラム地区やマラウイの孤児院など、シューズを必要とする多くの子どもたちのもとへ行き、シューズ寄贈を行っている。
2018年9月と10月にも、ケニアで2番目に大きいスラムであるマザレ・スラムを訪ね、小学校でシューズ寄贈活動をした。このスラムには約60万人が暮らすといわれている。
ナイロビ中心部から北東に、車で高速道路を40分ほど行くと、トタン屋根が連なる一帯が見えてくる。そこがマザレ・スラムだ。所狭しとトタン板の家屋がひしめくなか、車がやっと通れる細い道を入っていくと日用雑貨や衣服、籠に入った食用の鶏、揚げパンのような軽食を売る店などが軒を並べ、人があふれている。裏に回ると住居が「押しくら饅頭」さながらに立ち並ぶ。そんななかに数百人規模の児童数の小学校が数多く点在している。その多くは保育園や幼稚園も兼ねている。
今回、井上氏がシューズ寄贈に訪れた『エクセレント・ケア小学校』では、校舎と校舎の間の狭いスペースで600人余りの子どもたちが歌で出迎えてくれた。彼らの足元に目を凝らすと、シューズの必要性を感じざるをえない。寄贈を受けた校長は、「日本の子どもたちからみんなへ、こんなに素晴らしいシューズの贈り物をいただきました。感謝をしてください。そして、日本にも友達がいることを忘れないでください」と子どもたちに呼びかけた。足の踏み場もないようななか、子どもたちの笑顏でいっぱいになった。
スラムで信用を得るために。
10月も終わりに近づくとケニアは雨期に入る。マザレ・スラムの多くの家は浸水の危険性と隣り合わせで、シューズは必要不可欠だ。『カルナ小学校』でのシューズ寄贈は、その雨のためにトタン1枚の壁で仕切られた教室の中で行われた。
「教室の中とはいえ、真っ暗でした。電球はあるのですが、停電中とのこと。でも子どもたちは、カメラのストロボの光をおもしろがり、『ピガ・ピチャ!(写真を撮って!)』とハシャギながら撮影をせがんできました」
いつもこうした子どもたちの笑顏に救われる井上氏だが、スラムでのシューズ寄贈には治安対策が欠かせない。必ず地域の警察や行政担当者の協力を得て、正式な活動であることをアピールしなければ、住民の不信感を買い、問題になりかねない。
井上氏は最大限の注意を払いながら、各地のスラム地区で人的なネットワークを築いてきた。その積み重ねも踏まえ、「シューズを必要とする子どもたちはまだまだたくさんいます。訪問先の学校の先生から『私たちの学校や、子どもたちのことを忘れないでください』と言われたときには、この活動の意義や責任を改めて感じました」と話す。
マザレ・スラムでは、ほかに『キングスウェイ小学校』でも寄贈が行われ、3校で計937足のシューズが寄贈された。