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“窓越し”に生まれる関係人口。「ツール・ド・九州」×「NOMADOプロジェクト」の試み。

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「NOMADOプロジェクト」は、文化交流とテクノロジーで人と人をつなげ、「社会の壁に窓を空ける」ことを目指しています。今回はこの「NOMADOプロジェクト」のフレームワークを使って新しい関係人口をつくる、「ツール・ド・九州」×「NOMADOプロジェクト」の試みを紹介します。

目次

「窓」から生まれる新しい関係。

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窓型のインスタレーションを使って、遠い街で暮らす人たちとリアルタイムコミュニケーションを図る。
この丸窓の形をしたディスプレイは、『ツナガル株式会社(Tsunagaru Inc.)』が独自開発した、デジタルインスタレーション。「NOMADOプロジェクト」では、この窓を模したスクリーンで機会格差が存在する二つのコミュニティをつなげ、言語・国籍・宗教の違いや距離の制約などを超えた結びつきを得るための行動・態度に変容を促すプロジェクトを推進、提供しています。
「NOMADOプロジェクト」が考える「つながり」は、単発的なイベントによる瞬間的な交流ではなく、後世まで持続可能な関係性をデザインすること。つまり、「関係人口」の創出です。教育機関や地域事業者、自治体、企業との共創事業を軸に関係人口を創出し、コミュニティを運営し、新たなツーリズムの方法とそれらを生むためのフレームワークを提供し、時には国境を超えてコミュニティ間に関係をつくる機会をもたらします。双方向型の共創体験を通して、強固な関係創出を可能にするのです。

「NOMADOプロジェクト」の好例「ツール・ド・九州」。「窓」を使った地域間交流で盛り上げる。

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2023年10月6日~9日にかけて開催される「ツール・ド・九州」。画像は大分ステージのYou Tubeより。
福岡・熊本・大分を舞台に2023年秋に開かれるのが、国際サイクルロードレース大会「ツール・ド・九州」。プロアマのサイクリストたちが、景勝地や大自然で彩られた走行距離約400キロメートルの国際自転車競技連合(UCI)認定コースを駆け抜けます。国内外の約20チームが参加する予定です。
広範囲に及ぶレース会場は周辺の観光地にも足を延ばしやすいロケーションで、コースに組み込まれた地域はPRや観光客誘致に積極的。大分ステージに組み込まれた人口約6.5万人の日田市も、そうした地域のひとつです。
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日田の街並み。日田市は北九州エリアのほぼ中央に位置し、福岡県、熊本県に面している。江戸時代には町人文化が栄え、当時の街並みが現存することから、「小京都」とも呼ばれる。
「NOMADOプロジェクト」では「ツール・ド・九州」に向けた地域の機運を高めるために、ホストシティの大分県日田市と自転車の聖地、フランスのノルマンディー地方マンシュ県スルドゥヴァルの若者たちを、窓を模したインスタレーション(スクリーン)でつなぎ、豊かな関係人口やシビックプライドを生み出すセッション「ツール・ド・NOMADO」を4回(※)に渡り実施しています。
※この試み(体験)は2023年2月16日現在、2回目まで実施済みです。

スルドゥヴァル中学校と日田高校の生徒がタッグを組んで、イベント関連グッズをデザインする体験。

「ツール・ド・フランス」と言えば世界的に有名な自転車競技イベントですが、これを九州の地で恒例イベントに育て上げようという機運があります。そして、これには地元住民の強い関心が欠かせません。
「NOMADOプロジェクト」が着目したのが、自転車競技の聖地であるフランスと、「ツール・ド・九州」のホストシティである日田市の若者を窓型のインスタレーションで結び、「ツール・ド・九州」に対する地域内での関心を高めることです。
言語の壁を超えて国際的なイベントに能動的に関与するすばらしい体験を、地元への愛着(シビックプライド)や暮らしにつなげ、将来的には定住率の向上を期待するといった狙いもあります。
そのために行われているのが、スルドゥヴァル中学校と日田高校の生徒が共に、「ツール・ド・九州」の関連グッズをデザインするというプロジェクト、「ツール・ド・NOMADO」です。
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日田高校(右)とスルドゥヴァル中学校(左)に設置されたインスタレーション。スクリーンに映るのは、それぞれの学校の生徒たち。
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インスタレーションを使って、楽しくチームビルディングコミュニケーション。
1回目のセッションに参加した言語や文化的背景が異なる二つの地域の生徒たち。体験当日は、いきなりデザインを制作するのではなく、国境を超えた一体感のあるグループとなるための「チームビルディングエクササイズ」を体験しました。
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「スパークル」の頭文字「S」のジェスチャーで、体験の記録を撮る日田高校のみなさん(写真左)と、デザインコンセプト「ゴールデンレオパード」のジェスチャーをするスルドゥヴァル中学校のみなさん(写真右)。楽しい雰囲気でセッションは進む。
全身を使ったジェスチャーで自己紹介をしてもらったり、「もし自分たちが、ドラゴンだけが参加するレースの主催者だったら、どんな運営をするか」といった架空のストーリー設定で一緒にアイデアを出し合ったり、生徒たちの緊張をほぐし、決まった枠から飛び出して楽しみながら発想力やクリエイティビティを磨きます。
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プロ選手の手も借りながら、自転車に対する理解を深めるセッションも実施した。
2回目のセッション、実際のデザイン制作の場面では、「NOMADOプロジェクト」の体験フレームワークを使いながら、大分県を本拠地とする自転車ロードレースのプロチーム『スパークルおおいたレーシングチーム』の選手たちと一緒に物事の多面的な見方を学びました。
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「ゴールデンレオパード(Golden Leopards)」をイメージしたキーワードから「MidJourney(人工知能)」を使って作成したデザイン案。
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こちらは「ライトシャーク(Light Sharks)」をイメージしたデザイン案。
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どんなデザインが喜ばれるか、じっくり話し合う。

窓越しの国際交流が生徒たちにもたらしたものは……。

「NOMADOプロジェクト」では、実施した2回のセッションが参加者にどのようなマインドをもたらしたか、その効果についてアンケート調査も行っています。
日田高校の生徒からは「もっと海外の人と関わる仕事がしたい」「世界のスポーツに関わって支援をしたい」、スルドゥヴァル中学校の生徒からは「ほかの国にも友だちができることを知った」「修学旅行で日本に行きたい」といった声も。

両地域の間に、さらなる国際的な交流や長期的なつながりを望む気持ちが芽生えています。

セッションに参加した生徒たちが感じたこと。
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「フランス/日本に興味を持ちましたか?」という質問に対し、5人(25%)が「フランス/日本が大好きになった、フランス/日本に住みたい」、11人(55%)が「フランス/日本文化を知るために現地に行ってみたい」と回答。
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9人(45%)が「とても親密に感じた」と回答。言語・距離の制約を超えて心理的距離を縮め、相手文化への興味関心が育めた。
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体験前、「ツール・ド・九州」について「知っていた」と回答した生徒は0人。
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体験後、「ツール・ド・九州を応援したいと思いますか?」という問いに19人(95%)が「もちろん応援する」、または「応援する可能性あり」と回答。日田高校の生徒たちにとって、スルドゥヴァル中学校の生徒たちとの共創で「ツール・ド・九州」への関与意欲が向上したことがわかる。
日田高校とスルドゥヴァル中学校、遠く離れた二つのコミュニティの間にはセッション中だけの瞬間的な関係ではなく、つながりが長期的に続くようなエピローグ体験が待っています。生徒たちのアイデアが詰まったTシャツは後日、日仏の生徒たちの手元に届けられ、日田の生徒たちは「ツール・ド・九州」を応援する際の「ユニフォーム」としてTシャツを着用することとなるでしょう。

生徒たちの思いを市民へと伝搬する取り組みとして、このTシャツを数量限定で、大分県内で市民向けに販売するほか、『スパークルおおいたレーシングチーム』の選手団も同じTシャツで大会時のパレードに参加予定です。

「NOMADOプロジェクト」では、一人でも多くの人に地域への愛着や誇りを持ってもらうため、大分県内の別の学校でも「ツール・ド・九州」をテーマにしたセッションを今後計画しています。

問い合わせ先 : nomado@tsunagaru.co.jp

ツナガル株式会社

「人生を変える出会いをつくる」をコアバリューに、日本や海外の人々のつながりを広げ、新しい関係をデザインする事業を推進。「NOMADOプロジェクト」の他に、地域の事業者やガイドとの連携を通じて海外に向けて日本全国の自然や文化、アクティビティを配信するバーチャルツアーサービス「LIVE Travelers」などを展開している。
● 設立: 2010年5月
● HP:https://www.tsunagaru.co.jp/

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