日本全国から寄贈された、アフリカの子どもたちに向けたシューズ。定期的にコンテナ船でアフリカへ送っています。今年も3月末にケニア・モンバサ港にシューズを載せたコンテナ船が到着しました。その後、ナイロビで保管し、スラムにある小学校などで子どもたちに手渡されます。シューズの”長旅”を紹介します。
日本からアフリカ・ケニアまでのシューズの旅。日本の港を出航して1か月余り。
「日本からのシューズが、無事届きました」
3月末、「スマイル アフリカ プロジェクト」のケニア・現地スタッフの井上清司から連絡が入った。東アフリカ最大の海の玄関口であるケニア・モンバサ港に、日本全国から集まった、心がこもったシューズを積んだコンテナ船が到着したのだ。東京のコンテナターミナルを出港して、1か月余りの”長旅”だった。
そのシューズは一足一足、日本のどこかで、誰かが履いていたものだ。子どもが履いていたシューズが大半で、足の成長に伴い、まだまだ履けるのに、履けなくなったシューズが寄贈される。全国に広がる、学校会員、法人会員、個人会員からの寄贈だ。また、プロジェクト主催のランニングイベントを通じて寄贈されるシューズもある。
アフリカには、スラムなど貧困層が集中するエリアで暮らす子どもが多くいて、そこでは、シューズが必要とされている。裸足に近い暮らしで、路上の石やゴミで足に傷を負い、そこから感染症を招くことも多いからだ。
そこで、日本からのシューズが役立つのだが、現地の子どもたちの手に渡るまでの道のりは長い。まず、日本からの輸出の前には、輸送中の雑菌繁殖を抑えるため、燻蒸処理が必要とされる。
また、モンバサ港に揚がったコンテナは、貨物列車に載せられ、首都・ナイロビまで約490キロ運ばれる。ナイロビでは通関作業が待っている。
そして、ようやく現地スタッフが荷受けし、シューズの保管庫として借用させていただいている『ナイロビ日本人学校』の倉庫へと運ぶ。
ただ、今回はちょっとしたトラブルもあった。「コンテナを積むトレーラーがいつもよりも大き過ぎて、学校の門を通れませんでした。結局、トレーラーを門の前に横付けし、シューズが入った段ボール250箱を、学校の広い敷地の一番奥にある倉庫まで3時間かけて運び入れました」と、井上からのレポートだ。まさに汗だくの作業だ。
ナイロビで6月、ランニングイベント開催。
プロジェクトのシューズ寄贈は、今やケニアで広く認知され、高い評価を得ている。以前寄贈した先から、「また、ぜひ来てほしい」という問い合わせも絶えない。
「寄贈先は貧困地区に暮らす子どもを対象にしています。ただ、ナイロビだけでも巨大なスラムがいくつもあり、そのなかにある小学校は数えきれないほどです。周辺の生活道路が整備されず、シューズを運ぶトラックが入れない学校もあります。治安にも気をつけ、地元警察や行政とも連携をとりながらリサーチを重ね、大切なシューズを、必要とされている子どもたちに届けられるよう努めています」と井上は話す。
今年6月16日には、恒例となったプロジェクト主催のランニングイベントをナイロビで開催予定だ。プロジェクトから受け取ったシューズを履き、走る喜びを知った子どもたちの参加も見込まれる。プロジェクトのフロントランナー・高橋尚子は、現地でシューズ寄贈を行う。そのレポートもまた、本誌で紹介する。