ESG投資の時代の中、中小企業もSDGsへの取り組みを見える化へ

ESG投資の時代の中、中小企業もSDGsへの取り組みを見える化へ

国内拠点を東京・名古屋・大阪・福岡に、海外拠点をシンガポール・香港・タイ・マレーシア・ベトナム・フィリピンに持ち、クライアントのアカウント数は3,500を超えるAGSグループ。 AGS税理士法人とともにAGSグループを形成するAGSコンサルティングは、ワンストップで企業成長を支援する総合コンサルティングファームです。今回はESG投資の現状や、SDGsにおける見える化の必要性について、代表取締役副社長 虷澤 篤志氏に話を聞きました。

全世界でESG投資が増加している背景

御社では、どのようなミッションやビジョンを掲げて業務をされていますか?

虷澤:AGSコンサルティングとAGS税理士法人を合わせて、AGSグループといいます。中小企業のお困りごとを、ワンストップで解決できる総合病院を目指しています。アドバイザリー業務に注力するために、AGSグループでは監査は行っていません。

AGSコンサルティングでは会計・税務等の専門家が中心となり、中小企業の応援団としてアドバイザリー業務を行なっております。内容としては税務・会計顧問からはじまり、組織再編コンサルティング、事業継承、相続贈与、医療機関サポート、ファンドマネジメント、公益法人設立・運用支援、国際税務・会計顧問、国際細部統制、クロスボーダーM&A、移転価格、海外進出・撤退、IPOコンサルティング、経営管理支援、企業再生、人事組織コンサルティング、システムコンサルティング、ファイナンシャルアドバイザリー、デューデリジェンス、バリュエーション、PMIの支援などです。

ニーズに応じて様々な規模で携わりを持たせてもらっています。

なるほど、よくわかりました。ところでSDGsに関して、御社にご相談に来るケースも増えていますか?

虷澤:そうですね。メインの営業先である銀行からも、最近ではSDGsの相談を受けておりますよ。私個人としてもSDGsコンサルティングを提供できるよう、ここ1年ほど温めておりました。

このSDGsが注目される背景には、2006年に発足したESG投資の世界的なプラットフォーム「責任投資原則(以下、PRI)」への署名機関数が増え、2020年12月時点で資産運用残高合計が1京円を超えるまでに成長したことが大きいですね。

PRIは、2005年初頭に当時の国連事務総長コフィ・アナンが旗振り役となり、世界の大手機関投資家に対し「投資分析と意思決定プロセスにESG(環境・社会・ガバナンス)の3要素を組み入れよう」と呼びかけて実現しました。

具体的には、PRIの6つのうち3つの原則にESGが盛り込まれています。ESG投資は世界的にホットな投資テーマなので、見過ごすわけにはいきません。このPRIにGPIFが2015年に署名しています。

一方のSDGsは、2001年に策定されたミレニアム開発目標(MDGs)の後継として2015年上期のGPIF署名後すぐに国連サミットの採択によりスタートしました。SDGsに関しては17のゴール、169の目標が設定され、232のSDGグローバル指標(SDG Indicators)で評価することになっています。ただし指標はあるものの、達成の目標値(impact)となるデータが提供されていない場合も多いのが現状です。

ところでSDGsとESG投資の関係性なのですが、受け手側と投げ手側といったイメージでとらえると分かりやすいです。投資家が資金を投げて、事業者が受け取ると。実は細かく言うと関連性があって生まれた2つの概念ではありませんが…

実際の現場では投げ手が投げやすいように、受け手は17のゴールを意識しながら自分たちが一貫してSDGsに取り組む姿勢を見せることが大事です。

現実的なことを考えるとSDGsのKPI目標設定では、本当はアウトサイド・インの方が目標を高く掲げられて良いのですが、様々な理由からインサイド・アウトと呼ばれる手法でも良いと個人的には考えます。大企業でも難しいインパクト計算を中小企業が行うのは困難です。

いわゆるソフトローですので会社自らが目標を立てて、実行し、検証する、というPDCAサイクルで行うことが大事です。

中小企業がSDGsに取り組むべき理由とは?

中小企業もSDGsに取り組むべきだとお考えですか?

虷澤:そうですね。そもそも上場企業でない場合には、あまりESG投資とは関係がないという考えもあるでしょう。しかしながら4つの観点から、中小企業においてもSDGsに取り組むべきだという考えを検証させていただきました。

「必要性」「トップラインの形成」「コスト削減」「50年後100年後を考えたサステナブル経営」の4つですね。

1つ目の必要性という面では、状況によっては差し迫った問題とも言えます。なぜなら、ESGを貫く上場企業がSDGsの取り組みについてPRしたとたんに、下請け企業は自動的にサプライチェーンの中に組み込まれてしまうからです。逆も然りで、上場企業にSDGsについてインパクトを出せる提案をすれば、中小企業は仕事を受注しやすくなると考えられます。

ムーブメントの一つとしてSDGsというネームと実(じつ)がある商品であれば、トップラインを形成しやすくなっている。これが2つ目です。

また、製造業などは単純にエネルギーの削減を行うことによるSDGsへの貢献がそのまま会社のコスト削減に結びつきます。これが3つ目の理由です。
4つ目は、SDGsを意識すれば、50年後100年後を見すえたサステナブル経営も可能だということです。SDGsは、日本で培われた近江商人の三方良しの概念にも似ています。企業を存続させるために必要なヒントを、SDGsに取り組むと得られるでしょう。

実際のところ、SDGsに取り組んでいる中小企業さんはどれぐらいなのでしょうか?

虷澤:本腰をあげてSDGsに取り組んでいる中小企業は多いとは言えません。しかしSDGsではなくエコなどの意識で、すでにSDGsを実践している中小企業は存在するでしょうね。

実態が伴わない過度なPRや、不都合な事実を隠してSDGsに取り組んでいるとPRすると、『SDGsウォッシュ』とみなされ評判を落とすので注意してください。今後はこの辺りをコンサルティングしていきたいなと思っております。

中小企業の経営でもこれからは、100年先を見すえてビジョンや方向性が大事です。SDGsを意識して固めて動いた方が社会の常識となる時代が到来すると思います。新しい製品の開発も、SDGsを意識していかないといけません。

SDGsに取り組むことは、誰一人取り残さない(leave no one behind)形で皆で一緒にという概念を持ち、限りある地球でどのように会社を経営すべきかを考える良い機会ではないでしょうか。

AIが自動的に可視化!SDGs効果を測るモノサシを提供

むしろスタートアップや小規模な企業さんこそSDGsに取り組むべきなのかな、と思いましたがいかがでしょう?

虷澤:おっしゃる通りです。ESG投資の潮流に乗るためにスタートアップ企業こそSDGsに取り組むべきだと思います。スタートアップ企業にとって、資金調達は課題のひとつですからね。

ただSDGsに取り組まない企業はダメだという風潮に対して、個人的にはダメだと言い切れないんですよね。どちらかというとESG投資は、輝かしい未来と概念が結びついた仕組まれたムーブメントかなと考えています。

もし仕組まれたムーブメントであれば、この流れに乗るのもひとつの選択肢ではないか?という考えなのです。

各社のSDGsやESGの取り組みについて、見える化は進んでいるんでしょうか?

虷澤:はい、今後は可視化・見える化へのニーズを高めていきたいと考えています。今までは測るモノサシがない状況でしたのでね。そのためSDGsへの取り組みを可視化・見える化するという機運が、まだ高まっていないのです。

弊社ではSDGs/ESGに関する非財務ビッグデータ専門家集団「サステナブル・ラボ株式会社」さんにご協力を頂き、参考数値を得てクライアント企業様を支援しています。

サステナブル・ラボは、全世界に公開されているさまざまな非財務情報をシステムで抽出し、AIによって比較処理・リアルタイム分析等を行うことで、SDGs/ESG貢献度をスコアなどの形で定量的に可視化できるサービスを提供しています。

今後、多くの企業がSDGs/ESGを当たり前に見える化し、事業に活かす日がくるかもしれませんね。

スタートアップ企業もSDGs/ESGスコアアップをねらった会社づくりをすることで、事業の社会的意義、成長の持続性などの企業特性を持つことができ、アピールしやすくなります。

弊社でもSDGsコンサルティングの一環として、SDGs Compassに基づいた標準的なテンプレートの提供を目指しているところです。

スタートアップに向けて虷澤さんなりの視点でメッセージがあれば、ぜひお聞かせください。

虷澤:まだまだ日本においてはスタートアップが少ないので、もう少しスタートアップしやすい環境が整備されてもいいかなと思っています。またスタートアップする際に持つべき視点として、日本市場は確実に縮小するので、市場および資金は外にある世界を見ようよ、と言いたいですね。

今上場企業が外国人投資家を見つけようとした際に聞かれるのは、ESGへの内部的な取り組みばかりです。「3年後は?」「2030年までにはどうしますか?」などみっちり仔細を聞かれます。

どのような技術でも世界で闘うことは可能なので、思い切って海外でスタートアップすることも視野に入れるべきではないでしょうか。

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