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サスティナビリティ

連載 | リトルプレスから始まる旅

ローカルメディア3 vol.4

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目次

地震から、1年が経った熊本の姿。

今回紹介するリトルプレス『ローカルメディア3』のテーマは、九州で暮らす人たちが互いにつながり合い、都市と田舎を融合させながら、地域に根ざした暮らしを生み出すこと。

実際に顔を合わせる「つながり」を大切に考え、人から人へと手渡せる小冊子として、2014年6月から熊本で発行されている。

第1号は愛のつたえ方、電気をDIY、第2号はソウル&フード、九州のマルシェと朝市、第3号は子どもの食や給食をテーマにして、インタビューや特集などを掲載してきた。

第3号の発行は16年3月。その翌月、熊本地震が発生した。地震の後、1年を過ぎて発行された第4号のテーマは、「熊本へのラブレター」。

益城町に揚がる 気球から生まれる、笑顔と夢。
益城町に揚がる気球から生まれる、笑顔と夢。

特集「と巡る熊本地震」。熊本・阿蘇神社の主祭神・健磐龍命は、大地を切り開き農耕を伝えた神として祀られ、多くの伝説が残っている。

昔、阿蘇は巨大な湖で、健磐龍命はこの湖の水を流し出し、開拓することにした。まず二重の峠を蹴破ろうとしたができず、長陽村の立野のスガルを蹴ると山は崩れ、水が流れ出し、健磐龍命は水がなくなった阿蘇を、作物が実る豊かな土地にしたという。

このとき大量の水と共に流れ出た、湖の主である大鯰の辿った道筋が、今回の地震で被害が大きかった布田川断層帯と重なっている。『ローカルメディア3』はこの伝説をたどって、それぞれの地域を取材している。

阿蘇市──阿蘇神社は楼門、社殿、拝殿、翼廊などが倒壊し、一部再建に見込みが立っているが、見通しの立たない建物もある。

ローカルメディア3 vol.4

南阿蘇村──大きく報道された阿蘇大橋の陥落。村の約3分の1に大きな被害が出た。そのなかで神楽の里は再出発し、深刻な被害を受けた地獄温泉も再開へ向かっている。

西原村──大きな被害のなか、仮設住宅が建てられ、ボランティアの支援活動が躍動している。「ガレキと一輪の花プロジェクト」や、『にしはらたんぽぽハウス』など、地域振興に向けての取り組みが始まっている。

益城町──甚大だった地震による被害を受けた地域。そのなかで「気球を飛ばそうプロジェクト」は、地震後の暮らしに笑顔を届けている。

ローカルメディア3 vol.4

ここにまだまだ紹介しきれない事例が誌面には掲載されている。編集長の澤田佳子さんやスタッフが、現地を訪れ、見て、聞いて、人と向き合うことを継続しているからこそ、伝えていくべきことが表れてくる。

地震直後の衝撃だけを伝えるマスメディアとは異なる、継続的な人と暮らしのつながりの中に見えてくる真実が、「熊本へのラブレター」として僕たちに公開されている。

『ローカルメディア3』編集長より一言

『ローカルメディア3』編集長より一言

つながりのある地方の暮らしが幸せな地球をつくる。そんな思いから『ローカルメディア3』は、九州で人と自然が調和した暮らしや地域づくりに取り組む人たちをつないでいます。キーワードは「役立つ情報」。vol.4は熊本地震のリアルな体験談だけでなく、防災の知恵がぎゅっと詰まっています。

今月のおすすめリトルプレス

ローカルメディア3 vol.4

『ローカルメディア3 vol.4』

地球が愛であふれるよう、暮らし・アート・カルチャーを発信する熊本発の小冊子。

編集・執筆・撮影:澤田佳子
2017年4月発行、148×210ミリ(121ページ)、1296円

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