タクシーを掘り下げる。
今回紹介するリトルプレスは、タクシーにまつわる雑学やエピソード、運転手さんの話などをまとめたタクシー専門誌『Hey TAXI』。
クリスマスやお正月のシーズンになると、子どもや孫に絵本を贈る方も多い。『451ブックス』は、大人のための絵本を選んで置いているので、キャラクターものや戦隊ものなどは置いていない。といっても、子どものための本がないわけではなくて、大人になっても楽しめる本や、子どもも大人も楽しめることを基本に選んで品揃えをしている。
その中で、よく聞く言葉に「〇〇の本はありますか? 子どもが好きなので」。〇〇には、恐竜や電車、動物や昆虫などが入る。いろんな本が出版されている中で、僕たちがこれならと選んだ本の中から紹介する。
それらの本で喜ぶ子どもたちを見たり、想像しながら、自分の子どもの頃はどうだったんだろうと思いつつ、どれもそんなに執着がなかったような気がして、そのまま忘れてしまっていた。
カラフルな車体色に彩られている『Hey TAXI』を見ていると、地元・岡山で子どもの頃に見ていたタクシーを思い出した。社名と車体の色や模様、行灯(ランプ)の形や色まで、各社のタクシーの外見がそれぞれに蘇ってくる。オレンジのチェッカー模様を持つタクシーに乗るのを楽しみにして、絵まで描いていた。ただ、車は思ったように描けず(車は意外と要素も多く、曖昧で複雑)、簡単なロケットやロボットに関心が移っていき、忘れてしまったのかもしれない。
バスでは、最後部席に乗ってタクシーを探したり、デパート横にあるタクシー乗り場に並ぶ車や、家族旅行先でもタクシーから目が離せなかったことを思い出す。
『Hey TAXI』は今までに3号が刊行され、1号は緑色の車体の『東京無線』、2号はチェッカー模様の『チェッカーキャブ』、3号は黄色い車体の『日の丸タクシー』を取り上げている。
各号それぞれ、ディレクター、ライター、イラストレーターを代えてつくっていて、ポスター形式、リーフレット、カード形式など、外見もそれぞれ異なり、タクシー外装のグラフィックデザインから醸し出す楽しさが形からも表現されている。
日本のタクシーのデザインは、ロンドン・タクシーや、ニューヨークのイエローキャブからヒントを得てつくられ、独自の文化を反映しているように思う。
身近にありながら意識することの少なかった、タクシーのデザインを、『Hey TAXI』と共に、久しぶりに楽しんでみるのもよいと思う。
『Hey TAXI』編集部から一言
ただの移動手段として認識されている方も多いタクシーですが、よくよく観察してみると多種多様な行灯や車体デザインに各社ごとの特徴などさまざまな魅力が詰まっています。『Hey TAXI』 はそんなタクシーの世界に興味をもってもらえる「きっかけ」としてつくり始めました。みなさんもタクシーの世界を覗いてみませんか。特集を組ませていただけるタクシー会社様も随時募集中です!
今月のおすすめリトルプレス
『Hey TAXI Vol.3 ヘイ! 日の丸タクシー』
タクシーにまつわる雑学や、エピソードをまとめたリトルプレス。
発行:Hey TAXI編集部
2019年8月発行
182×257ミリなど(カード13枚組)、650円