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サスティナビリティ

連載 | やってこ!実践人口論

自炊の先にタモリがいる

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「実践人口」を増やすための合言葉が「やってこ!」である。「やってこ!」が世代を超えたつながりを生み、ローカルをおもしろくする。自炊で心身ともに回復してこっ!

 世界中が新型コロナの影響でざわついている。この原稿を書いている3月末時点では「外出自粛要請」が出ていて、いかに自宅で過ごすのか? が話題だ。電子書籍で名作マンガが無料で読めたり、任天堂の人気ゲーム「あつまれ どうぶつの森」が発売3日で販売本数188万本を記録したり(私も現実逃避で死ぬほどハマッている)、”自宅エンタメ”の娯楽には事欠かない。

だが、人間にとって大事な生命活動は食事だ。特に30代後半以降は「旨い食事」にありつきたい欲求が強くなってくる。その根底にあるのは「エネルギーのある食材から栄養を摂取して、元気に日常を送りた〜い」だ。これは運動不足のおじさんの願い。働き盛りで仕事量と行動量が増えるのはもちろん、人生を憂う試行錯誤が体力と精神力を奪う。英気を養うべくフラフラと吸い込まれて行く先は、本来なら居酒屋やレストランなどになるのだが、新型コロナの影響で外食も危ぶまれているではないか。

だったら、自宅での肩の力を抜いた自炊に挑むしかない。というわけで今回は”自炊の効能“についてお届けしようと思う。

目次

小さな課題を自炊で解決。

経営者としての会社も、日々取材しているローカルの現場や社会課題も、考えれば考えるほどに正解がない世界だ。いわば見えない大きな壁に立ち向かっている状態。実践者は悩みの尽きない日々の中で、「小さな課題の解決」を組み込む必要がある。要は大きな課題にウンウン唸って考え続けても仕方がないから、目の前の小さな課題(=自炊)を手軽に解決して気持ちをスッキリさせつつアゲようぜ! って話。

そもそも自炊は、前述の栄養面をコントロールしやすい。その上で冷蔵庫に溜まっている食材をパズルのように使い切る気持ちよさも備わっているし、スマホで適当に調べたレシピ通りに作れば大体旨いのが最高!調理方法もYouTubeでチェックできるから再現性が高いんだよなぁ。

幸いにも全国各地で買い集めた調味料が、キッチンを埋め尽くしている。自炊の基礎さえ身につければ、あとは調味料で一気に底上げできるのも楽しい。たとえば、福岡県糸島市『ミツル醤油醸造』の「生成り醤油」、山梨県甲府市『五味醤油』の「やまごみそ」、山口県長門市『百姓庵』の「百姓の塩」などなど……。いま住んでいる長野県の道の駅やスーパーで買い込んだ地元食材があれば十分だし、最近は生産者から直接食材を仕入れられるサービス「ポケマル」や「食べチョク」もフル活用している。良い調味料×良い食材。当たり前の話なんだけど、この2つをおさえれば炒め物や煮物といったシンプルでベタな料理がめちゃめちゃおいしくなるのよ!

自炊の先にタモリがいる
『寺田本家』の酒粕に一晩漬け込んだ安物ステーキ、ふきのとう、アスパラで自炊。

これがもうねぇ……気持ちいい。気分爽快→滋養強壮のコンボを味わうことができる。経営者が筋トレに目覚める気持ちと同じ感情かもしれない。自炊にハマり始めると世の中の見え方が変わってくるし、自宅で過ごすあり方が変わってくるのは大きな発見だった。世はまさに、新たな自炊時代を迎えている!

家飲みのタモリ論。

自分のためにメシを作るのも悪くないけれど、ある日の家飲みが小さな自炊の連続の延長線上にある、大きな喜びへと生まれ変わった。それはタモリというロールモデルを見つけたこと。テレビで見聞きした話なんだけど、彼は自宅に後輩や仲間を招いたら、黙々とキッチンにこもって料理やお酒を提供し続けるそうだ。

好きな食材や調味料を買い集めて、自分の好きなように調理し、気に入っているお皿に盛り付ける。この一連の自分の「好き」は、一年365日を通した”ぷよぷよ“の連鎖みたいな快感に満ちているのではないだろうか? じゃないとタモリがキッチンにこもって「提供する側」に居続けられるわけがない。そしてタモリの気持ちが少しだけわかる。

きっと私は経営者として、旅好きの編集者として、新たなタモリになりたいのだ。好きな食材、調味料、器、お酒……。これらすべてを同じテーブルに広げて楽しく過ごす。小さな課題を解決し、「好き」を編集して一気に消化する。これぞ”自炊の効能“なのかもしれない。

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