東京五輪の競技にもなり、人気急上昇中のスケートボード。スケートボードショップを運営しつつ、スケートボードやBMXなどができるスケートパークを自治体と一緒につくっている本間章郎さんが、スケートパークづくりのヒントを得るために読んでいる本を紹介します。
『都市デザイン101のアイデア』も、スケートパークづくりに活用しています。スケートパークはその成り立ちや構成によってPark、Plaza、Streetに分けられます。今、欧米で流行っているのはプラザで、スケートパークというより「人が集まる広場」という印象の空間です。植栽があったり、スケボーをしない人もくつろぐ場所があったりと自由度が高いので、都市計画や街づくりの視点が、とても役に立ちます。ただ、プラザは日本にはまだなく、僕も設計はしますが、形にはなっていません。
スケートボードは東京五輪の競技にもなり、多くの人に認知されるようになりましたが、街で滑るライダーに対してはまだ、「うるさい」「危ない」とネガティブな印象を持たれることが少なくありません。三重県松阪市に僕が監修した日本最大級の広さのスケートパークがあり、年間利用者は約3万5000人とかなり多いのですが、その理由は、利用者それぞれに居場所があるからだと思っています。小さなスケートパークの場合、地元の上手なライダーが滑っていると、初心者は遠慮して滑りがちですが、十分な広さがあれば、初心者も楽しく、自由に滑ることができます。上手な人も初心者も、子どもも大人も、地元民も遠方から来たライダーも、居場所を確保しながら一緒に滑ることで、スケートボーディングを通じたコミュニケーションが生まれます。そのなかでルールやマナーも伝えられていき、スケートボードの魅力と理解がもっと広がればと願っています。そんな環境づくりを、本を参考にしながら実践し続けています。
記事は雑誌ソトコト2022年11月号の内容を本ウェブサイト用に調整したものです。記載されている内容は発刊当時の情報であり、本日時点での状況と異なる可能性があります。あらかじめご了承ください。