「SDGsのことをもっと深く知りたい」。
そのきっかけになるおすすめ映画を、各分野で活躍しているSDGs有識者の上田壮一さんに教えてもらいました!
1.ドリーム
監督/セオドア・メルフィ 公開年/2016年 製作国/アメリカ合衆国 時間/126分 DVD 1905円+税(20世紀フォックス ホーム エンターテイメント ジャパン)
SDGsの5番目の目標を考えるとき、この映画を思い出します。黒人であること、女性であることが不利であった時代に、NASAの宇宙計画を「計算」という能力で支えた三人の黒人女性の実話。映画でも描かれる人種隔離政策の実態に驚きますが、彼女たちの才能と努力がそれを乗り越え、受け入れられ、さらには宇宙計画を成功に導いていく姿に感動します。なかでも大型コンピューターが導入されたときに、「計算係」の仕事を取られないためプログラミングを独学で学んでいくくだりは、逆境に屈しない主人公たちのしたたかな志を感じ拍手を送りたくなりました。
1960年代のアメリカで、初の有人宇宙飛行計画を支えた三人の黒人女性の、知られざる苦労、功績を描いた実話に基づくサクセスストーリー。職場での差別にも屈せず、仕事と家庭を両立させながら道を切り開いた女性たちの活躍を、ユーモアを交えながら描いている。
2.ALWAYS三丁目の夕日
監督/山崎貴 公開年/2005年 製作国/日本 時間/133分 DVD 3800円+税(発売元:小学館、販売元:バップ)
以前、WWF職員で霊長類学者の岡安直比さんに「地球1個分の生活を想像するために何か参考になる具体的なイメージはありますか?」と聞いた際、教えてくれた映画です。曰く、生活レベルは腹八分目くらい、生活に必要なものがどのように手に入るかが日々の体感で理解できる。助け合わなければ生きていけなかった大変な時代だけれど、家屋のデザインから生活習慣まで、日本という気候風土にあった「生きている!」と実感できる暮らし。この先、私たちが大切にしなければならない価値観は何か。そんな視点で観るのもおもしろいと思います。
舞台は昭和33年の日本。東京の下町で自動車工場を営む鈴木家、青森県から上京した六子、小説家を目指す茶川などさまざまな登場人物の日常を追う、笑いあり涙ありの群像劇となっている。VFX(視覚効果)と実力派の役者陣によって当時の雰囲気を忠実に再現。
3.100,000年後の安全
監督/マイケル・マドセン 公開年/2009年 製作国/デンマーク、フィンランド、スウェーデン、イタリア 時間/79分 DVD 3800円+税(アップリンク)
ホモサピエンスが誕生したのが10万年前、原子力発電所から出たゴミである放射性廃棄物の人間への害がなくなるのが10万年後。この映画が提示するのは、そんな、とてつもない未来を想像することの難しさと、想像しなくてはならなくなった人間の滑稽さ。原子力発電が廃止されようがされまいが、放射性廃棄物問題は未解決のまま残り続けます。この映画を観たあと、岐阜県瑞浪市にある放射性廃棄物の地層処分の研究施設を訪ねました。みなさんにも見学をオススメします。この問題から逃げずに考え、議論することの大切さはずっと変わりません。
生物に無害になるまでには最低10万年かかると言われている、放射性廃棄物。それを地下500メートルに埋める永久処分場がフィンランドに造られた。ここに世界で初めてカメラが潜入し、プロジェクトを実行した専門家たちに未来の安全性について問いかける。