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サスティナビリティ

連載 | やってこ!実践人口論

信頼のミルフィーユ

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「実践人口」を増やすための合言葉が「やってこ!」である。「やってこ!」が世代を超えたつながりを生み、ローカルをおもしろくする。信頼の積み重ねで実践主義者のステージが上がっていく。

 みんな、やってる〜? ローカルの未来をつくる「実践人口論」。今回からは僕が敬愛する実践主義者を紹介していきます。記念すべき一人目は、海が抱える課題を解決する『ヤフージャパン』の新メディア「Gyoppy!(ギョッピー)」のプロデューサー・長谷川琢也さん(通称:ハセタクさん)です!

目次

海の課題を伝える「実践主義者」。

 まず「Gyoppy!」について。これは多くの人に海の課題を知ってもらい、海の豊かさを次世代へつなぐことを目指しているWebメディアです。かくいう僕もこのメディアの監修者ですが、取材過程で知ったのは想像以上に海の課題が深刻なこと。このまま魚の乱獲と水質汚染が進むと「2048年には海から食用魚がいなくなる」というデータもあります(アメリカの科学誌『サイエンス』の研究報告より)。

 さらに日本では別の問題も。それは漁獲量の減少や高齢化などによる漁業就労者人口の減少。日本は世界に誇る漁法や魚食文化を持っている国ですが、そのアイデンティティが今、まさに消滅の危機を迎えています。

 魚の獲りすぎは問題。でもそれと同じくらい漁師が減っていることも問題で、それはつまり「魚が食べられなくなる未来」がすぐそばに迫っていることを意味します。そんな未来、悲しすぎる〜! そこで多くの人に海と漁業のピンチを伝えるべく立ち上がった勇者が、今回の記事の主役である実践主義者・ハセタクさんなんです。

思いついたら、必ずやる男。

 ハセタクさんは『ヤフージャパン』の社員ですが、個人でも社会貢献事業に力を注ぎ、世の中にとって必要だと思えることを本気でやり続けています。

 そんなスーパー会社員でもあるハセタクさんが、海や漁業の課題に関わり始めたのは、2011年の東日本大震災がきっかけ。以前は「魚の目が怖くて食べられなかった」と言うほど、魚に対して心理的な距離があったそうです。ただ、ボランティアで訪れた宮城県石巻市で、生死の狭間で海と向き合う漁師たちの生き様に心酔。漁師のイメージを「新3K」(カッコいい、稼げる、革新的)にするべく、ヤフージャパンや地元の漁師と一緒に漁師団体『フィッシャーマンジャパン』を立ち上げました。

 石巻市や宮城県漁協と連携し、若い漁師を増やす活動に力を注いだり、消費者と生産者をつなぐ居酒屋を経営したり。新しい流通をつくるために、空港と組んで水産資源の輸出事業にも取り組んでいます。

『フィッシャーマンジャパン』の活動として行政、漁協と連携し「こども漁業体験」を実施。
『フィッシャーマンジャパン』の活動として行政、漁協と連携し「こども漁業体験」を実施。

 とにかく思いついたことは何でも実現するすごい男! 漁業メディアの構想も約1年前に出会った頃から聞いていたのですが、僕に声をかけてくれたときは「ほんとにやるんや〜!」と驚きました。

 それと同時に僕は「ハセタクさんの頼みなら、断る理由がない!」とも思いました。なぜなら彼は実践主義の先輩であり、必ず結果を出す男だから。実践主義による仕事の連鎖は、僕がまさしくこの社会に必要だと考える「実践人口論」の価値観なんです。だから、僕もやる。

自分ができることは、周りが決める。

 そもそも仕事は、人を巻き込んだり巻き込まれたりしながら生まれていくもの。自分がやるべき仕事は周りの誰かが決めます。ハセタクさんも誰かに強く求められながら、時に自ら未体験ゾーンに踏み込みながら社会における「役割」を全うし、実践主義者としてのステージを上げてきた人なんです。

 ではどうして求められるのか? それは社会課題に向き合う挑戦者として地道に積み上げてきた「信頼」があるからです。それを僕は「信頼のミルフィーユ」と名づけたい。そのミルフィーユがあるからこそ、自分が「やりたい!」と手を挙げたときにも、いろんな人が応援してくれる。目に見えない信頼が循環すること……めっちゃ大事!

 さらに大切なのは「やりたい!」だけではなく、実際に「やる」こと。そして小さくてもいいからかたちを残すこと。その積み重ねでよりたくさんの人を巻き込めて、より大きなこともできるようになります。信頼のミルフィーユ。今回はぜひ、その言葉を胸に刻んでもらえたらうれしいです。

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