松尾芭蕉が『奥の細道』の旅を終えた地、大垣市。俳句を嗜む私にとって、ここは愛媛県松山市に負けない「俳句のまち」だ。市内には俳句ポストが点在し、俳句関連行事も多い。大人向けの初心者教室や句会も盛んだが、“小さな俳人”も活躍している。
子どもの句はとにかく純真で、着眼点と言葉選びがおもしろい。市内の小・中学校では俳句の授業が年10時間もあり、地元の俳句協会から講師が派遣されるため、プロから直接作句を学ぶことができる。発表の機会は俳句大会や市民投句。さらに今年度から、子どもの句を厳選した句集が市から発行される。この頃から俳句に触れることで、日本語の美しさや四季の恵み、故郷の魅力を心に刻んでいけるのだと思う。
俳句は、世界一短い文学と言われる。感じたままを五七五にのせるだけで、いつもの風景も彩度が変わる。大垣市民にとって俳句は日常の延長線上にあり、子どもも大人も共に楽しめる文学なのだろう。私も一句を書き留めて、ポストへそっと入れた。