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NFTを通して自然の保全・再生を目指す「SINRA NFT」とは?

ローカル×Web3.0編集部

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SINRAは、「Regenerative NFT」と名付けられた「SINRA NFT」の販売を通して、自然の保全・再生を目指すプロジェクトです。

この連載企画は、国と地域を問わずローカルでの活動にWeb3.0の技術や思想を活用している事例を紹介するメディア『ローカルWeb3』からのコンテンツ提供でお届けしています。当記事は『ローカルWeb3.0』にて、2023年10月14日に公開されたものを再編したものです。

目次

SINRA とは?

https://paramita-inc.gitbook.io/sinra/v/japanese/sinranitsuitesamari/anatadakenowonireyou



SINRA NFTを購入することで、環境保全を行いカーボンクレジットの発行を目指す事業者への支援となります。また、実際にカーボンクレジットが生成された後、SINRA NFTホルダーにはカーボンクレジットと対応したNFTが付与されます。この仕組みによって、カーボンクレジット発行事業者は先んじて資金調達をすることができ、カーボンクレジットの生成にかかる費用負担が軽減されます。

どちらのNFTも二次流通が可能で、資産としての価値を持ちます。しかし、カーボンオフセットするために保有するカーボンクレジットを利用したい場合は、SINRAのシステムを通じてクレジットのオフセット申請をしていただく必要があり、Jクレジット口座を保有している必要があります。

Jクレジット口座は法人しか法人しか開設出来ないので、実質的には個人はオフセットをすることはできず、環境再生活動への参加と資産としての保有が価値となります。

https://paramita-inc.gitbook.io/sinra/v/japanese/sinranitsuitesamari/purojekutonomi

NFTはバタフライエフェクトをイメージした蝶のクリエイティブとなっており、NFTを購入する際のタイミングや「CO2の吸収量(t(トン)数)」によって色合いや花の量が変化し、唯一無二のジェネラティブアートが都度生成されます。

https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000003.000124080.html

第一弾として、三重県尾鷲市の森林を対象にしたNFTが2023年8月30日に販売されました。購入はHPから購入でき、1tCO2当たり0.03ETHで購入が可能です。ETHでの購入かクレジットカードでの購入に対応しています。

https://sinra.app/jp

また、SINRAは「Sustainable Innovation Lab」の分科会で検討プロジェクトが組成され、『三ッ輪ホールディングス』、『Next Commons Lab』、『TART』が連携して設立されました。TARTは「山古志DAO」の「Nishikigoi NFT」や「KUMAREON」のアートを手掛けるチームです。

SINRAの設立背景とカーボンクレジット市場

2023年3月20日に発表された「IPCC(The International Panel on Climate Change|気候変動に関する政府間パネル)の第6次統合報告書」によれば、産業革命以降の気温上昇は既に1.1℃観察され、このままでは世界の生態系を維持することが困難となり、深刻な被害が生じると予想されています。このままでは大規模な気候変動等により、環境が破壊され、地球は人類が生活することが困難になっていくと言われています。

よって、2050年にカーボンニュートラルを目指すことを目的とした「パリ協定」など気候変動に対する取り決めが国家間で締結され、世界的にCO2の削減へ動いています。テスラのような電気自動車や太陽光発電等の自然エネルギーの活用も存在しますが、その中で大きな存在感を発揮すると言われている領域が「カーボンクレジット」です。

カーボンクレジットはCO2削減に成功した事業主が削減分をクレジットとして発行し、排出量が多い企業(差引がプラスになってしまっている企業)へ販売する仕組みです。この仕組みによって、削減に成功している事業者は新しい収益源となり、排出量が多い企業は「差引0」の状態を実現することができます。

この仕組みをカーボンオフセット(差引0)やカーボンニュートラルと言います。現実的に、全ての企業がいきなりカーボンニュートラルを実現することは難しいので、カーボンクレジットの売買によって、地球単位で見た際に「差引0」を目指そうとしています。

そんなカーボンクレジット市場には大まかな分類として2種類存在しています。CO2の削減は目には見えないことなので、削減証明として第三者機関が監査し、お墨付きとなる証明書を発行することで企業同士が安全に売買できます。
そのお墨付きを出す機関が、国連・政府主導か、民間主導かの2種類存在します。日本では政府主導のJ-クレジットが存在しています。

https://paramita-inc.gitbook.io/sinra/v/japanese/2-nokbonkurejitto/2-2-kbonkurejitto

SINRAではまずカーボンクレジットの中でも、日本の森林から創出される「Jクレジット」の活性化を目指し、Jクレジットに対応したNFTの創出に取り組んでいます。

また、上述したようにSINRAは2回のタイミングでNFTを発行しています。1つ目がプロジェクト開始時で、2つ目が実際にカーボンクレジットが認証・発行された時です。事業者がカーボンクレジットを申請するには資金が必要となるため、先んじてNFTを販売しておくことでその資金的な援助となります。そして、実際に認証された後にNFTホルダーに実際のカーボンクレジットと対応したNFTが配布されます。このリードタイムは1~2年ほどが想定されています。

https://paramita-inc.gitbook.io/sinra/v/japanese/4-kbonkurejittotoregenerative-nfttono/4-3-kbonkurejittotoregenerative-nfttononore

このSINRAの仕組みによって、カーボンクレジット事業者が積極的にクレジット発行に取り組むことができ、環境保全や再生に繋がります。最終的には「地球上の自然が再生し続ける状態」と「地域経済が持続可能に運営される世界」の両立を目指しています。

SINRAの展望と考察

SINRAは、「Regenerative NFT」という名前の通り、SINRA NFTを通して環境保全より進んだ環境の再生を目指しています。そもそも「ReFi」の語源も「Regenerative」であり、これは再生を意味します。つまり、サステナブル(持続可能)を超えて再生させることを目指しているプロジェクトです。よって、SINRAのRegenerative NFTは環境を再生に導くために、アート的な体験やコミュニティへの参加など、単なるカーボンクレジットのNFT化以上の付加価値を提供しています。

https://paramita-inc.gitbook.io/sinra/v/japanese/sinranitsuitesamari/regenerative-nft

今後のロードマップとしては貢献者向けのマイページリリースや、クレジット種類の拡充等が掲げられていました。なので、第一弾NFTの販売やクレジットの生成を進めると共に、種類を増やし、より貢献のインセンティブが増加するようなプラットフォームになっていくことが予想されます。

https://sinra.app/jp

以上、SINRAの概要と設立背景、展望の解説でした。

筆者としてもReFi領域に興味関心があり、特にカーボンクレジットのトークン化には自身もプロジェクトを立ち上げるほど関心が強いです。中でもSINRAは日本発で、カーボンクレジット発行事業者側の課題解決と思わずNFTを保有したくなるユーザーメリットの両立を目指しており、非常に興味深いです。

正直、現状のカーボンクレジットの売買は基本的には法人間で実施されるものであり、個人ユーザーが参加する余白はあまりありません。そもそもの目的が企業がカーボンニュートラルを目指すために購入するものだからです。これからはより環境問題に厳しくなっていくため、特に上場企業はカーボンニュートラルにコミットしているか否かが株価に反映されるため、カーボンクレジットの需要は上がっていくと予想されています。

ですが、SINRAはこのカーボンクレジット市場を個人ユーザーにまで拡大する挑戦をしています。法人がオフセット目的での購入も可能ですが、環境問題に貢献したいと考える個人ユーザーが体験としての価値と資産としての価値を感じ、SINRA NFTを購入しています。これはこれまでのカーボンクレジット市場ではあり得なかった出来事であり、新しいユーザー層を流入させることに成功しています。

まだリリースされたばかりなので、これからの活動にも注目して追いかけていきたいと思います!

<公式リンク>

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