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転職・就職に「農業」という選択を。200以上の農業団体に就農相談ができる「農業EXPO」で、未来を切り拓く!

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2024年8月31日(土)、国内最大級の就農イベント「新・農業人フェア/農業EXPO」が東京国際フォーラムで開催されました。今回は211ブースが出展(うち64ブースは台風10号の影響で出展キャンセル)し、来場者数は1069人でした。「農業に興味があって」「農業法人への就職を考えていて」「酪農ってどんな世界か知りたくて」「セカンドライフに農業を始めたくて」といった1069通りの夢や希望、興味や関心がここに集まり、未来へ向かって一歩前進したことでしょう。2024年はあと2回、大阪と東京で開催されます!

目次

農業EXPOは、就農を夢見る人の生き方を全力で後押しするイベント!

農業に興味や関心を持つ若い世代の人たちや、セカンドライフは農業を始めようと考えている中高年世代の人たちが、農業に一歩を踏み出すための扉を用意しているのが「新・農業人フェア/農業EXPO」です。

「農業とはどんな仕事か、どんな始め方があるのか、資金面も含めてどんな支援を受けられるのかといった、農業初心者であっても素敵な農業者になる夢を実現できるよう、出展者が全力でサポートします」そう話すのは、イベントを協賛する農林水産省の橋本貴子さん。

農林水産省の橋本貴子さん
農林水産省 経営局 就農・女性課 就農促進グループ 経営専門官の橋本貴子さん。

「農業といえば個人経営をイメージされがちですが、最近は法人に雇用されて就農する形も増えてきています。非農家出身者が個人で農業を始めるには、栽培の技術を習得するのに時間がかかることや、農業機械や設備など初期投資が必要になることがハードルとなります。そこで、農業法人に就職してお給料をもらいながら農業の技術を習得しようという人が増えていると考えられます」と、就農の現状を分析します。

就農についての理想と現実を、バランスよく相談しイメージできるのが農業EXPOの出展ブース。この日もたくさんの就農希望・検討者がイベントに来場し、大盛況の様子(場所は、東京国際フォーラムのホールE1)。

未経験のままいきなり就農するのはハードルが高いので、まずは農業体験や農業研修に参加することも橋本さんはすすめます。「自分は農業に向いているか、どんな作物を育てたいかなど、農業EXPOで自分の適性を見つめ直す機会を設けてみてはいかがでしょう。また、農業は地域に入って行う仕事です。移住を含め、生活の場として地域に溶け込めそうかも考えたいですね」。

イベントでは、そうした農業技術のサポートや、農地や住まいの賃借及び取得に力を入れ、新規就農者の受け入れ体制を整えている市町村を探すこともできます。また、新規就農の方法をわかりやすく解説するセミナーも開催され、就農の最旬トレンドを知ることもできます。

人生を変える決断をしようと、ブースで熱心に話を聞き、掲示情報も調べる来場者のみなさん。

「人生を変える決断をされるわけですから、農業EXPOでご自身にとってのプラス面もマイナス面もしっかりと把握していただきたいです。イベントでは就農するための多様な方法や支援を用意してお待ちしているので、ぜひたくさんのブースを訪れてみてください」と、橋本さんは笑顔で話し、次回、次々回のイベントへの来場を呼びかけました。

日本全国のプロ農家とエキスパートが多数出展。農業EXPOのブースコーナーは、就農の夢を叶える近道

自治体だけでなく、農業法人も出展。園芸農業のブースには、女性の就農希望者も多数来訪

(株)早坂園芸
専務取締役・早坂健一さん(右)と早川大介さん(左)。

千葉県南房総市にある早坂園芸は、花や野菜などを栽培・出荷する農業法人です。今回の出展でブース訪問者から受けた主な質問は、農業の仕事や南房総市への移住に関する相談のほかに、「農業法人に勤めたいのですがどうすればいいですかという転職活動中の若い人が多かったのが印象的でした。転職先の選択肢として農業が挙がるようになったと実感しました」と専務取締役の早坂健一さんはイベント終了後に振り返りました。

「ただ、スローライフを送るための農業ではなく、うちはあくまでも会社なので大変ですよとは伝えました」と笑顔。それでも来訪者のうち7名の方がインターンとして研修することが決まったそうで、「アメリカ留学から帰国した大学生や、大手航空会社で客室乗務員として勤務していた女性など、さまざまな背景を持った方々が関心を示してくださってうれしいです。誰もがご自身のキャリアや特技を生かしながら農業の世界で活躍する方が増えてほしいです」と、今後のイベント来場者にも期待を寄せていました。

自治体主導の就農相談は、独自の支援内容がおもしろい。

福島県只見町
左から、只見町役場農林建設課長兼農林係長の三瓶錬さんと、同課農林係主事の目黒誠也さん。

イベントには新規就農者を募集する自治体も数多く出展し、ブースは多くの来訪者で活気にあふれていました。その一つが、福島県只見町です。「南郷トマト」という60年以上も生産し続けているブランドトマトがあり、その栽培の研修生を募集していました。同町のブースで相談を承ける目黒誠也さんは「南郷トマトの栽培者は、研修期間に最大15万円の補助が受けられるなど補助制度が充実しています。移住に関してもサポート体制を整えていますので、ぜひ一度、話を聞きのブースへお越しください」と呼びかけました。

女性で就農を検討している方は“農業女子”に相談だ!

女子のための農業相談コーナー
左から、千葉県一宮町の農薬・化学肥料を使わない野菜農家、齋藤絢子さんと千葉県白子町の玉ねぎ農家、細谷啓子さん。いずれも農林水産省が進める女性の活躍を社会に広く発信する「農業女子プロジェクト」のメンバー。 

また、会場には女性の姿も多く見られました。自治体や農業法人のブースを訪れる前に、女性としてどんなふうに農業に関われるかを知りたい人は、まず「女子のための農業相談コーナー」を訪れてみましょう。ブースで相談の対応をしていた千葉県白子町の玉ねぎ農家、細谷啓子さんは、「女性一人で農業は始められるか、資金はどれくらい必要か、女子って何歳までですか(笑)と、さまざまな質問が飛び交います」と笑顔で話します。細谷さんは農家の男性と結婚する形で農業を始めましたが、子育てをしながら農業をすることや地域社会で暮らすことなど自身のリアルな経験を伝えているので、来訪者にとって大いに参考になるようです。

農業EXPOの会場には「知る!(ご当地農業相談ブース)」、「働く!(農業法人就職ブース)」、「習う!(農業研修制ブース)」、「学ぶ!(農業学校ブース)」の4つのカテゴリーに分けられたブースがたくさん出展しています。今後開催される大阪・東京の回でも、気になるブースを探して気軽に就農相談してみてください。

就農の最旬トレンドが学べるセミナー群。農業初学者から就農準備中の人まで、フェーズに合ったテーマで聴講できる!

<農業初心者のためのわかりやすい農業の始め方講座>

農業に関するセミナーも開催されました。アクシュ代表で農業キャリアコンサルタントの深瀬貴範さんは、「農業初心者のためのわかりやすい農業の始め方講座」というテーマで講演。農業従事者が減少し、平均年齢も高くなっている現状を解説しながらも、ピンチは逆にチャンスであると捉え、農業の始め方や相談窓口、農地を借りたり購入したりする方法など、新規就農を希望する人なら誰もが知りたい情報を的確に、わかりやすく伝えました。立ち見が出るほど盛況で、来訪者の関心の高さがうかがえました。

講演後にお話をうかがうと、深瀬さんは、「たとえば、大学で就職ガイダンスが開かれるとき、業界説明ではIT業界、金融業界、不動産業界、マスコミ業界などさまざまな業界の説明があるのですが、そこに農業界はありません。学生が初めて就職や仕事をイメージする時期に農業は蚊帳の外。それは、農業がずっと世襲制で人材を確保してきたからなのですが、人材不足の今、若者に広く門戸を開くべきでしょう。新卒の学生さんだけでなく、転職やセカンドライフを考える場としても、『新・農業人フェア』は重要だと思います」と語りました。10月27日(日)の大阪での「農業EXPO/農業就職・転職LIVE」でもセミナーに登壇するので、ぜひご訪問を。

<農業法人で働く〜くしまアオイファームを例に〜>

農業を製造業と捉え、サツマイモの生産から流通、営業、管理まで一貫した流れで製造・販売する「くしまアオイファーム」。代表取締役社長の奈良迫洋介さんのセミナーでは、「農業法人で働く〜くしまアオイファームを例に〜」と題して、就農先として農業法人を選択することのメリットや可能性について語りました。講演後、「農業は作ること以上に、売ることが難しい仕事と言えるかもしれません。その点、農業法人に就職して生産を担えば、売る心配はないでしょう。あるいは逆に、売る部署に入って営業の極意を学ぶこともできます。農業は生産だけではなく、販売という側面も重要なのです」と新規就農者に向けて農業法人という選択肢があることを伝えました。

イメージしにくい分野も、詳しく知れる農業EXPO。例えば酪農。ブースを渡り歩けば、仕事の解像度がグッと上がる

牛、牧場、青い空。酪農と聞いてイメージされるのは、そういう光景かもしれません。もちろんそれだけではなく、仕事としての酪農はもっと奥深く、リアルで、やりがいに満ちたものに違いありません。牛や乳製品が好きな方、農業の中でも酪農に興味のある方、ぜひ農業EXPOで酪農のリアルを覗いてみてください。

全国酪農業協同組合連合会

「酪農とはどういう仕事か、どうすれば酪農家になれるのかという基本的なご質問やご相談に応え、多くの方が酪農家への道を歩んでいけるために出展しています」と、全国酪農業協同組合連合会総務部の板倉雅治さんは、「酪農について知ろう!」というブースの主旨を話します。酪農家の基本的な仕事は、牛舎を清掃し、牛に餌を与え、搾乳するという作業を日々繰り返すこと。餌となる牧草を自分たちの畑で栽培することも仕事の一つです。「さらに、牛は人と同じく妊娠しないと乳を出しませんから、種付けと分娩、それに伴う環境の管理も重要な仕事になります」。

酪農の舞台といえば、多くの人が北海道をイメージしますが、青森県から沖縄県まで酪農家がいない都府県はありません。「北海道は生乳の生産量が日本一で、このイベントにも多数の市町村が出展されています。ただ、北海道でしか就農できないわけではなく、希望される都府県での就農もできます」と、板倉さんは自身が事務局を務める「全酪アカデミー」を紹介します。

「全酪アカデミーは、酪農を真剣に始めたいと考える方に研修を受けてもらう人材育成組織です。1年目は福島県矢吹町、または熊本県菊池市の全酪連関連牧場で、2、3年目は希望する都道府県で全酪アカデミーの社員として給料を得ながら研修を行い、最終的には牧場を継承します」。酪農家になるための一つの方法としてそんな進路も提案する全酪連のブース。30〜40代のファミリー層が多く訪れていました。

酪農ヘルパー全国協会
酪農ヘルパー全国協会 事業第一部長・三枝岳敬さん。

酪農の仕事は動物が相手。365日休む暇がないと言っても過言ではありません。けれども、急なケガや病気、家族の行事などで休みが必要なときもあります。そんなとき、酪農家に代わって牛の世話をするのが「酪農ヘルパー」です。酪農ヘルパー全国協会 事業第一部長・三枝岳敬さんは、「酪農ヘルパーは、全国にある酪農ヘルパー利用組合の職員として勤務します。酪農ヘルパーを経験した後、酪農家になる方もおられます。ぜひ一度ご訪問ください」と、ブースへの来訪を呼びかけます。

根室市農畜産業活性化推進協議会
左から、根室市水産経済部農林課長の鵜飼豪生さん/JA道東あさひ理事・田中照義さん/JA道東あさひ 営農課課長・市橋晴美さん/根室市水産経済部長・藤田隆人さん。

北海道根室市は、広大な土地を活用した大規模酪農が特徴の酪農のまち。ブースでは、酪農の仕事や地域での暮らしに関する質問から、新規就農までの道のりをていねいに教えてくれます。根室市農畜産業活性化推進協議会の鵜飼豪生さんは、「就農される前に、酪農体験実習を受けていただくことをおすすめしています。新規就農者への補助制度などもご説明しています」と教えてくれました。

大学生からベテラン社会人まで、多様化する就農のニーズ。「自分のピッタリな情報は得られた?」来場者に聞きました!

左から、水落さくらさん(20代)とお母さんのちさとさん。

- 大学生です。将来は農業の仕事に就きたいです。野菜、果物、あるいは酪農……迷っています。北海道のブースを訪ね、研修制度や新規就農のサポートがあることを知りましたし、現場のリアルなお話も聞けました。農業法人に就職して給料をいただきながら仕事していくのも、経済的な面で親を安心させることができる道かなとも思いました。

松田雄一さん、美沙さん夫妻(30、40代)※イラストはイメージです。

- 自給自足までいかなくても、自分たちが食べるものを自分たちで作るという強みを持った生き方に憧れて、来場しました。農的生活を始める一歩として、畑のお手伝いや収穫のアルバイトをさせてもらって、農業を学んでみたいと思いました。そうやって一歩ずつ進んでいって、理想の生活が実現できればいいですね。

小西聡史さん(50代)※イラストはイメージです。

- 会社員です。家庭菜園とレンタル農園で野菜を育てていますが、数年前から仕事としての農業に関心が深まり、来場しました。8ブースほど回って相談し、農業で生計が立てられそうか尋ねました。収益性の高い作物を栽培すればなんとかなりそうだとわかりました。趣味の登山と釣りが楽しめる地域に移住して、農業を始められたらと思っています。

次回の農業EXPOは10月27日、グランキューブ大阪で開催。その次は12月8日、 東京ビッグサイトで開催!

1日では回りきれなかった方、より多くの選択肢を見出したい方、新たな出展者に出会いたい方、ぜひ次回、次々回の「新・農業人フェア/農業EXPO」にご来場ください。「農業の道に進みたい」と思われる理由は十人十色。皆さまの夢や希望に沿えるよう多様な特色を持った出展者がブースを開設しますので、ぜひ一度足をお運びください。

キャリアチェンジに「就農する」という選択肢を。天職を見つけに、新・農業フェア「農業EXPO」に行こう!

次回:農業EXPO 農業就職・転職LIVE

開催日:2024年10月27日(日)
時 間:10:00~16:00
会 場:グランキューブ大阪 イベントホール
※農業就職・転職LIVEは、農業法人に特化した就農相談会。仕事の内容や職場環境、待遇、やりがいなど、就職を考えるうえで気になることを詳しく聞けるイベントです。

次々回:農業EXPO

開催日:2024年12月8日(日)
時 間:10:00~16:00
会 場:東京ビッグサイト 東8ホール

photograph by Hiroshi Takaoka text by Kentaro Matsui

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