2020年という年は間違いなくエポックメイキングな一年だった。パンデミックと時を同じくして、極右主義の台頭、ジェンダー、人種差別、ありとあらゆるハラスメントや不正が剥き出しとなり、わたしたちの前に大きな問題として顕在化したからだ。
アメリカ・ニューヨークに暮らすジャーナリスト・編集者の佐久間裕美子さんが本書『Weの市民革命』で描いたのは、そうしたあらゆる社会の綻びや歪みを乗り越え、前へ進もうとする物語である。ファストファッションの台頭による環境汚染や、右傾化するメディア、従業員の雇用環境を蔑ろにして、いたずらに利益ばかり貪る大企業も、すべてわたしたち一人ひとりの意思で変えていける。わたしたちが消費者としてモノを買うことが支持の表明であり、問題のある企業からモノを買わないことがすでに一つのアクションである。そうした意思表示こそがわたしたちにとって暮らしやすい社会をつくるための第一歩なのだ。佐久間さんはそうしたアクティビズムを“革命”と呼んだが、革命とはなにもアジテーションをするだけではない。すでにあなたの生活のなかで、静かな革命は起こっている。
『Weの市民革命』
著者:佐久間裕美子
出版社:朝日出版社