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中田英寿氏 特別インタビュー『旅と日本酒』

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日本最大級の“SAKE”イベント「CRAFT SAKE WEEK」は、日本全国350以上の酒蔵へ足を運んできた中田英寿氏が率いるJAPAN CRAFT SAKE COMPANYがプロデュースを行い、今年で4年目を迎えた。大盛況のイベント会場で、中田英寿氏に本イベントにかける想いや自身の旅についてお話を伺った。

目次

「CRAFT SAKE WEEK at ROPPONG HILLS 2019」のテーマは
“日本酒と世界各国料理とのペアリング”

中田英寿氏は「日本酒を様々な国の料理とペアリングして楽しんでもらいたい」という思いからこのテーマを選定。11 日間のイベント中に、和食だけではなくアジア・ヨーロッパ各地のレストランが計 15 店舗出店。厳選されたこだわりの日本酒とのペアリングを楽しむことができる。

会場のコンセプトは「縄」

「CRAFT SAKE WEEK at ROPPONG HILLS 2019」
「CRAFT SAKE WEEK at ROPPONG HILLS 2019」会場風景

今回の巨大アート空間を担当したのは、2020 年ドバイ国際博覧会 日本館の設計を手掛ける永山祐子氏。中田英寿氏と永山祐子氏は、幾度にも渡る議論を重ね、日本の風土が生み出す文化を表現するため、“縄”をコンセプトに空間を設計。使用する麻縄は、日本古来より祝祭の場から日常まで様々な用途で使用されているものである。浮遊感を持った軽やかさが表現でき、遠近問わず見たときにアイコニックで印象的な演出となっている。

原点は旅。皆さんに新しい発見を提供できたら面白い。

―『CRAFT SAKE WEEK』を始めた原点はなんですか?

日本文化を学ぼうと旅を始めたことです。そもそも日本の文化とは何かと考えたとき、実際のライフスタイルに触れる必要があると思いました。旅をする中で伝統工芸や農業・食といった日本固有のものを学んでいたときに日本酒に出会い、その文化を支える方々を含め「面白いな」と感じました。

そして、世界に日本の文化を伝えることを考えたとき、個々の工芸家・農家では難しいと思いますが、僕の海外での経験を活かせば何か貢献できるのではないかと考えました。

その中で、農業は世界に持っていくには規制があるし、工芸品は世界でも多く作られている、でも日本酒は日本でしか作られていないから競合が少ない。そこで、まずは日本酒を広めることからやってみようと考えました。

―今回のテーマとして、世界の料理と日本酒を掛け合わせた意図は?

日本酒が世界に羽ばたいていくには、ワインやシャンパンと同じようにさまざまな国の料理と合うということを知っていただく必要があると思っています。今回“世界各国の料理とのペアリング”という新たな機会を提供していくことで、皆さんの常識を変えていくことができたらと思っています。

―350を超える酒蔵を実際に自分の足で訪ね歩いたと伺いましたが、数多くの蔵を廻ったからこそ分かった発見にはどのようなものがありますか?

多くの蔵を巡るうちに、日本酒は低温で管理するものなのだと知りました。多くの蔵元が0度から−8度で管理していることに驚きましたね。

同時に、ワインはワインセラーで品質をきちんと管理しているのに、日本酒の多くは常温で管理されていることに違和感を覚えました。日本酒はもろく劣化しやすいので、品質管理を怠ると海外に持っていく間に味が明らかに変わってしまう。これから日本酒を伸ばしていくためには誰かが解決しなければならない問題だと思い、日本酒セラーを作りました。これは決して僕がゼロから生み出したものではなく、蔵での管理を形にしただけです。自分の足で廻ったからこそ気づけたことだと思っています。

―今の日本酒についてどう感じますか?

日本酒は地域や風土によって味や香りに特徴が出るのですが、それぞれの個性を最大限に楽しめるグラスがないと感じています。現在は酒蔵の方々にテイスティングをしてもらいながら新しい日本酒のグラスを開発しています。

日本酒を飲むときには器と食がありますが、昔と今で料理のスタイルは変化しているのに、その周りにあるセッティングは変化が遅いように感じます。

例えば“和食”といっても、トラディショナルな形のものもありますが、モダンな和食にも合う食器を作る必要がある。日本酒も同じで、昔は“おちょこ”しかありませんでしたが、時代の変化に対応した器で楽しむものでいいのではないでしょうか。

日本酒ひとつをとっても、食・空間・服装・器といったライフスタイル全体を考える必要性を感じます。

中田英寿氏

今、世界はネットとローカル2つの世界へ変化していると感じる。

―旅をした経験からローカルの魅力はどういったところに感じますか

これまでは国ごとに区切られた世界でしたが、今の世界はネットの中の世界と外のローカルの世界で創られていると感じます。ネットの世界は基本的に、時間や場所にとらわれず情報が言語の壁さえも飛び越え無限に広がりますよね。その分ローカルには、ネットに出てこない小さな情報や、これから生まれるようなコアなものが含まれている。だからこそ地域の魅力が強くなっていく時代になるんじゃないかな。

―ローカルに入り込む時に気をつけていることは?

余計な情報を入れずに行くことですね。ローカルで様々な発見をするためには、とにかく動くことです。重要なことは、どれだけの時間を使ってどこまで行くか。その発見をネットで使うのか、自分の足で使うのかに違いがあります。結局ネットの情報は自分の経験ではないですし。

―では、地域の方とのコミュニケーションから生まれるものを大事にしているのですか?

もちろんそれも大切にしていますが、自分の感性も大事にしています。景色や食・ライフスタイルにおいて、地域の方が当たり前だと思ってスルーしていることに新たな魅力を発見することも面白いですよね。
 

日本文化に探究心を持ち、深く掘り下げる中田英寿氏。
今後日本文化にどのようなイノベーションを起こしていくのか注目したい。

中田英寿氏

イベント概要

日時: 2019 年4 月19 日(金)~29 日(月・祝) 11 日間 各日12:00~21:00 L.O. 20:30
場所: 六本木ヒルズアリーナ(東京都港区六本木6丁目9-1)
参加蔵数: 各日10 蔵 計110 蔵
レストラン数: 延べ15 店舗
料 金:CRAFT SAKE スターターセット 3,500 円(酒器グラス+飲食用コイン11 枚)
追加コイン 1,500 円セット(飲食用コイン10 枚)、3,000 円セット(飲食用コイン22 枚)、
追加コイン 5,000 円セット(飲食用コイン38 枚)
※2回目以降の来場の際は、酒器グラスを持参いただくと、追加コインの購入のみで楽しむことができる。

主催: JAPAN CRAFT SAKE COMPANY
チケット販売: PassMarket にて販売中
URL:https://passmarket.yahoo.co.jp/event/show/detail/018hu6103wzsy.html
ウェブサイト: http://craftsakeweek.com/rh/
公式アプリ : Sakenomy http://www.sakenomy.net/

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