公務員時代から現在まで、「実施する側」の視点でふるさと納税に関わってきた黒瀬啓介さん。ふるさと納税と関係人口をつなげるために、いま自治体が何をしなければいけないのか。そのヒントや考える力を養う本を紹介してくれました。
選者 category:ふるさと納税
公務員時代から今に至るまで長年、ふるさと納税を「実施する側」として関わってきたこともあり、自然と今回選んだ本はふるさと納税を行う側である公務員や、出品する事業者の方に読んでもらいたい本になりました。
『1000億円のブームを生んだ 考えぬく力』は、ふるさと納税サイトのなかでもユーザー数1位を誇る「ふるさとチョイス」を運営する『トラストバンク』代表取締役の須永珠代さんの本です。創業からの足跡がまとめられています。いま、ほとんどの自治体において、寄付金を集めることが目的になってしまっています。本来あるべきの「何のために寄付金を使うのか」という部分が抜け落ちているのは大きな問題だと思っています。この本にはそこがきちんと設計されていて、地域活性化につながっているふるさと納税の事例も多数紹介されています。
これまでの慣例慣習を打ち破ってきた全国各地の公務員を紹介している『なぜ、彼らは「お役所仕事」を変えられたのか?』は、ふるさと納税の担当者の方をはじめ公務員の方に読んでいただきたい一冊。この本を読むと、改めて公務員の仕事って素敵だなと感じてもらえるはずです。
ふるさと納税は関係人口をつくるひとつのきっかけや入り口になると捉えています。ですから自治体は、寄付者と地域のつながりをさらに強めていくための施策をどんどんしていくべきだと感じています。また寄付をする側も、寄付して商品の到着を待つだけでなく、その先で自分のお金がどう使われるのか考えたり、報告書をまとめた冊子やWebサイトで実際に使い道を確認してみたりしてほしいですね。きっとふるさと納税への見方が変わると思います。
保田隆明著、保井俊之著、事業構想大学院大学ふるさと納税・地方創生研究会編、事業構想大学院大学出版部刊
木下 斉著、SBクリエイティブ刊
石塚真一著、小学館刊
CUS BRiDGE』のCEOと株式会社『UI』の代表取締役を務める。ふるさと納税に関する自身初となる著書を、2023年3月に出版予定。
地方自治体を応援するWebメディア『Hero
es of Local Government(holg.jp)』の編集長・加藤年紀さんが、組織の壁を越えた10人の公務員たちの考えや仕事術を紹介しています。地域に関わる仕事に携わる企業の方にもぜひ読んでほしいです。
1000億円のブームを生んだ 考えぬく力/須永珠代著、日経BP刊
著者の須永珠代さんが、悪戦苦闘しながらどのようにして「ふるさとチョイス」をふるさと納税サイトの中でユーザー数トップに導いたのかがわかります。ふるさと納税に関わっている方だけでなく、起業を考えている方にもおすすめです。