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大垣名物「水まんじゅう」なぜこんなに美味しい!? その秘密に迫る

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夏に大垣駅前にある和菓子屋を訪れると、おちょこに入った水まんじゅうが店先の水槽の中で冷やされている光景を目にします。大垣の夏の銘菓としてすっかり定着している水まんじゅうですが、なぜここまで多くの人に支持されるのでしょうか。他の地域の水まんじゅうとは何が違うのかを探ってみることにしました。今回は、寛政十年(1798年)創業で、古くから大垣の良質な地下水にこだわった和菓子作りを続ける金蝶園総本家さんにお話しを伺いました。

目次

大垣の「水まんじゅう」と豊富な地下水の関わり

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店頭の井戸舟で冷やされた水まんじゅう。注文が入るとお猪口から出してパックに詰めてもらえる。
金蝶園総本家の8代目店主・北野英樹さんによると、大垣の水まんじゅうの歴史は明治時代にさかのぼるのだそう。江戸時代の終わり頃から井戸を掘る技術が発展し、家庭でも井戸舟を作り、トマトやキュウリなど冷やす文化が誕生したのだと言います。

「“そんな土地で“夏に冷やして食べられるお菓子はできないか”と誕生したのが水まんじゅうだったんです」と北野さん。明治時代より暑さをしのぐお菓子として地元で親しまれてきたそうです。

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「金蝶園総本家 大垣駅前本店」の水まんじゅう販売の様子。行列ができることもしばしば。
大垣市は「水の都」と呼ばれるほど地下水が豊富な町です。濃尾平野に位置し、木曽川、長良川、揖斐川などの堆積作用によって陸地化が進んだことで形成された土地で、濃尾平野の西側に養老山地があり、そこに向かって地下水が流れるのですが、養老山地より西に流れることはできないため、大垣周辺に地下水が溜まりやすくなると言われています。

金蝶園総本家の水まんじゅうも豊富な地下水を利用して作られています。地下水の良い所は年間を通して水温が14~15℃ぐらいに保たれていること。冷たくてきれいな水が安定して出るのだそう。

“ぷるぷる、つるん” 独特の食感が魅力の「水まんじゅう」

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氷水に浸けて食べると美味しい水まんじゅう。定番のこしあん以外にも抹茶餡、季節の餡などがある。
水まんじゅうは半透明の生地にこし餡が透けて見える冷たいおまんじゅうで、ぷるんとした弾力と喉越しのいい食感が特徴です。その秘密はくず粉をメインにわらび粉も混ぜて作られていることにあります。
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できるだけ出来立ての食感を楽しんでもらうため、客の入りを見ながら、つど補充される水まんじゅう。
他の地域でもこの時期「葛まんじゅう」と呼ばれる和菓子が発売されますが、似て非なるものです。大垣の水まんじゅうは、地下水が流れる井戸舟の中に入れて冷やされることを前提に開発されたお菓子です。わらび粉を入れることで耐水性が増し、水の中に入れても溶けださなくしているのだと言います。

葛やわらび粉はでんぷん質が含まれるため、水の中に入れると白く固くなってしまいがち。“ぷるぷる”の食感を保つため、大垣の水まんじゅうは形成段階で水の量をかなり多く配合しています。それは、温かい状態では糊状で手では形成できないほどなのだそう。

そこで登場するのが“お猪口”です。お猪口に餡と糊状の生地を流して形成し、こし餡を中に入れて蒸しの工程に進みます。その後、店頭に置かれた井戸舟に浸けた状態で冷やして販売されるのです。

あっさりとしたこし餡がクセになる!

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販売期間は4月下旬~9月下旬。4個入り520円。8月の月替わり餡は「塩レモン餡」。
金蝶園総本家の水まんじゅうには、食べた時のくちどけにこだわり、ほどよい甘みであっさりとしたこし餡が仕込まれています。

こし餡を作る過程で、まず「渋きり」と言って、渋み成分であるタンニンを茹でて、茹で汁を洗い流すという作業を3~4回も繰り返しているのだと言います。その後に小豆の皮を取り、中身のでんぷん質に水を加えて沈殿させる「さらし」という工程が発生します。小豆のでんぷん質は水に溶けないので沈殿するそうですが、水に含まれた余分な成分を流して、また新しい水を入れてさらすという工程が繰り返されます。

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皮の水分があんこに移り、よりさらっとしたくちどけになる大垣の水まんじゅう。
この工程で大量の水がいるのですが、その時に使われるのが大垣の地下水。14~15℃の冷たい地下水は小豆の鮮度を保ったまま作業をするのに有効なのだそう。また冷たい水の方が早く小豆が沈殿するのだと言います。

「大垣の水まんじゅうは、こし餡作りにも、販売にも地下水が必須で、まさにここでしか実現できない味なのではないかと思います」と北野さん。

ぷるぷるの食感の皮と水にさらさらと溶けだすこし餡の絶妙なバランスがクセになる大垣の水まんじゅうは、大垣の地下水あってのものだということがよくわかりました。

できればその日のうちに食べるのがおすすめ

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透明のガラスの器に盛ると清涼感が増す。
大垣の水まんじゅうの日持ちは2日間です。葛やわらび粉は冷やすと固まりやすいため、独特のぷるぷる食感を楽しみたい場合は、出来立てを食べるのが一番です。

店頭に出される水まんじゅうも、出来てから2~3時間以内のものを常に補充していらっしゃるそうです。

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できればその日のうちに食べるのが美味しくいただくコツ。
北野さんに教わった家での美味しい食べ方のポイントは、

「冷蔵庫に入れず常温保存すること」
「食べる時は器に細かい氷と水を入れ、そこに水まんじゅうを浮かべる」
「氷水で冷やしてから約2分で食べごろになる」

とのこと。この食べ方でいただくと、大垣の水まんじゅうのよさが引き出されるので、ぜひお試しください!

岐阜県大垣市の夏の名物「水まんじゅう」。大垣に足を運んだ際はぜひ食べてみてください。

■金蝶園総本家 大垣駅前本店
住所:岐阜県大垣市高屋町1-17
時間:8:00~18:00 TEL:0584-75-3300
http://www.kinchouen.co.jp/

写真・文:各務ゆか
取材協力:金蝶園総本家

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