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連載 | 田舎と田舎の二拠点生活

娘が初めて、二拠点生活を拒否。2歳でまだ理由を話せない。

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二拠点の移動にまったく抵抗を示してこなかった娘だが、令和3年4月1日に、約3か月ぶりに2歳の娘を連れて幡豆に行くと、「小豆島に帰りたい」と毎日激しく訴えた。いつかはそんな日が来ると覚悟していたが、ついに! なぜ? 「イヤイヤ期」だから? 久しぶりだから? 改善策は? と試行錯誤し、疲労困憊の日が続いた。

理由も改善策もわからない。

改善が難しかったのは、娘が「イヤイヤ期」真っ只中だったうえに、本人も何がイヤなのかをまだ説明できないことにある。理由と改善策がわからない。「イヤイヤ期」が理由であれば、ある程度諦めがつく。特にこの時期、小豆島にいた時から「ないものねだり」が激しかった。3か月も空いたので“場所見知り”もあるだろう。
まずは「幡豆もいい」と思ってもらえるよう、私なりに「楽しい」をつくる努力をしたがどんな努力も糠に釘で、「小豆島に帰りたい」は日に日に増すばかり。私は二拠点生活に付き合わせている罪悪感に包まれ、疲れ切り、家の中に不穏な空気が漂った。

解決の糸口は、一時保育の預け先の変更。

同時に激しさが増していたのは娘の一時保育拒否。理由を聞いても「行きたくないから」のみ。泣き喚いて拒むので、試しに2回連続で休ませたが悪化の一方。そこで、一時保育の先生と話すと、娘への想いをていねいに教えてくれた。わかってきたのは、娘が先生に注意をされるのを怖がっているということ。先生は、娘の成長を願うからこそ注意しているのであり、先生の想いもわかる。ただ引っかかったのは、小豆島で通う一時保育の先生も同様の注意をしているにもかかわらず、小豆島の先生のことは大好きで園にも喜んでいくのだ。相性の問題か? と推測した。そうだとしたら園を替えるべき? あるいは慣れた園のほうがいいの? しかも次の園と相性が合うとは限らないし、申し込み期限や手続きなどですぐには園を替えられない。
迷いに迷いながら、幡豆の友人たちから一時保育の情報を収集。試しに別の園に見学に行き、娘に合いそうな園に入園させることにした。
決断から約1か月後、いよいよ新しい一時保育へ。さて、娘の様子は? と初日のお迎えに行くと……すごく楽しそう! ご機嫌ではしゃいでいる娘がいた。そして、途端に「小豆島に帰りたい」がグッと減った! よかった‼ 
幡豆はお父さんと過ごす大切な場所。「幡豆も好き」であってほしい。二拠点生活が続けられるかどうかは、娘にかかっている。これからも成長とともに出てくる「移動は嫌だ」「ここがいい」に寄り添いながら、家族のスタイルを築いていこうと思う。

ある日の夫婦

夫も私も忙しかった5月。なるべく娘を一時保育に預けている間にタスクを達成させようと頑張るものの、終わらない……。半泣きになっている時に、助けてくれたのはお義父さん。丸一日でも喜んで娘と遊び、ご飯も進んで食べさせてくれた。ヒーローです! 救われました! 娘も「じーじ好き」と懐いている。お義父さん、本当にありがとうございます。
黒島慶子(くろしま・けいこ)●醤油とオリーブオイルのソムリエ&Webとグラフィックのデザイナー。小豆島の醤油のまちに生まれ、蔵人たちと共に育つ。20歳のときから小豆島を拠点に全国の蔵人を訪ね続けては、さまざまな人やコトを結びつけ続ける。2017年7月に、愛知県の幡豆で無農薬で大豆と米を育て、米・豆・麦の麹を造る『宮本農園・みやもと糀店』の宮本貴史と結婚し、2018年7月に娘を出産。高橋万太郎との共著『醤油本』を出版。
記事は雑誌ソトコト2021年9月号の内容を本ウェブサイト用に調整したものです。記載されている内容は発刊当時の情報であり、本日時点での状況と異なる可能性があります。あらかじめご了承ください。

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