福島県・葛尾(かつらお)村は、東日本大震災およびそれによる原子力災害後、全村避難を経験しました。2016年に避難指示の大部分が解除され、今、全力で新たな村づくりに取り組んでいます。その力の源になるのが「アート」。若年層の移住者が増えているという葛尾村に行ってみました!
自然豊かな里山とともにある葛尾村
若年層の移住者が増えている村
ただ、その467人のうち135人は避難指示解除後の新たな移住者です。新しいことにチャレンジする若年層が増えてきているそうです。
そして葛尾村では今、「アート」の力を使って村の魅力を再発見し、さらに移住定住の促進にもつなげていこうという試みが始まっています。
※葛尾村で避難指示が継続していた野行地区について、特定復興再生拠点区域(復興拠点)の避難指示が今年6月に解除された。
「人とアートに触れる旅〜1泊2日移住体験ツアー〜」を開催
「『アート』を後押しする移住ってあまり聞いたことがなく、興味を持ちました」などと、アートや田舎暮らしに関心を持つ方が、東京都や埼玉、山形、福島県内などから参加しました。
また、山口さんは葛尾村へのアート移住のメリットについて、「人口が少なく、土地はあるので、作品制作はしやすいと思います。村営の体育館や使われていない中学校の体育館もあるので、展示に使えたりもします」と教えてくれました。
学生たちによる展示「第2回 松本家展」を見学
これは、インターンなどをきっかけに葛尾村に関わるようになった村外の学生など若者たちが、震災を機に人が住まなくなった「松本家」という一軒家に集まり、そこにあった営みをそれぞれの方法で「記録」した、その取り組みの展示会です。
松本家がある地区には縄文時代の人の居住遺跡があり、松本家の畑からは江戸時代のたたら製鉄によるものと見られる鉄くずも出てくるそうです。
1万年にも及ぶ記憶の蓄積を、今の若い世代が掘り起こし、文章や写真、映像、模型などで記録した展示会になっていました。
アーティスト・イン・レジデンスの展覧会も
Katsurao AIRは「対話」「参加」「協働」を目標として運営しています。主に外部からアーティストを招き、村に通ったり滞在してもらいながら作品制作や地域のリサーチを行ってもらう事業です。アーティストの活動を通して、地域の魅力を再発見、発掘し、その内容をアートの力で広く伝えてもらうことも目的の一つにしています。
展覧会では、招聘アーティスト2名が村で暮らす人々と時間をかけてコミュニケーションをとり、そこから得た考えやインスピレーションをもとにした映像作品などを展示していました。
葛尾村から新しいカルチャーのネットワークを広げる
「(全村避難を経験し)一度ゼロベースになってしまった葛尾村の『畑』を耕すために、アーティストに来ていただきたいです。葛尾村の新しい地域資源を掘り起こし、魅力を見つけ、発信してもらいたいのです。そして、この村を好きになる人を増やしていきたい。その支援をしていきます」
ゼロからイチを生み出していく。移住者を支援する制度も多数用意
さらに、お試し移住ができる住宅や賃貸物件としての村営住宅もあります。葛尾村移住・定住支援センターに相談をすれば、制度の詳しい内容説明や、役場の窓口の紹介などをしてもらえます。
山口さんはツアー参加者に「葛尾村は自分たちの力でゼロからイチを生み出せる、可能性を秘めた場所です。たくさんの人とここで楽しいことをしていきたいです。ぜひ、また来てください!」と呼びかけました。
これから新しい魅力がどんどん掘り起こされ、自分たちで「つくる」ことができる人が集まってくる、そんな未来に向かって走り始めていることを実感したツアーでした。
https://konnichiwa-katsurao.jp/
▼ソトコトオンライン掲載記事「福島県・葛尾(かつらお)村で暮らす」はこちら。
https://sotokoto-online.jp/local/15068
『葛尾村移住・定住支援センター』のホームページ「こんにちは かつらお」から引用。